倉沢良弦『ニュースの裏側』

いろいろ、書いてます。お仕事のご依頼は、ryougenkurasawa@gmail.com。

サーキットブレーカー発動から見た日本の景気対策

NY株式市場が数日前に少し値を戻したが、再び大幅下落し、サーキットブレーカーが発動された。

https://finance.yahoo.co.jp/quote/%5EDJI/chart?term=3m

昨日の日経平均も、1,200円超えの下げ幅を記録し、ドル−円は103円を突破した。

https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/detail/?code=USDJPY=FX

市場に与えた影響としては、短期であればリーマン級と考えてもいいかも知れないが、むしろアメリカ市場の影響を受けて、安定資産の日本円に資金移動させた結果、という見方も出来る。何にしても、想定の下げ幅に至った為、NYダウはサーキットブレーカーを発動させた。それに連動してNYSEが円買いに舵を切ったということだ。

軽々な発言は市場を同様させるだけなので、麻生財務大臣は「注視する」という言葉に留めた。これには財務官僚のご注進が大きく効いているだろう。
念願の消費増税を果たしは財務省は、呪詛のように財政健全化を省内で唱えるだけで、その結果として景気動向が下向いても、例えば昨年の秋以前の賃金動向や企業収益だけを心の拠り所として、自分たちの増税論の正当性を主張するのだろう。
それも一理あると言えばあって、法人税を下げるだけ下げ、所得税でこれ以上サラリーマンを苦しめる訳にもいかず、その結果、消費税に頼らざるを得ない。それはとりも直さず、財政健全化の呪縛故ではないのか?

GDPの下げ幅は年率換算で7%を超えるという試算もあり、今回の新型コロナウイルスが経済に与えた影響は非常に大きい。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL05HCB_V00C20A3000000/

都市部ではテレワークに移行する企業も増加していて、東京都内の企業の7割近くが出社制限を加え始めた。
私は以前から、過剰反応ではないのか?という指摘を行なってきたが、マーケットも過剰反応を起こした形になった。
その要因の一つには、原油価格の下落が挙げられる。

https://nikkei225jp.com/oil/

欧米の新型コロナウイルス懸念を材料に、OPECが攻勢を掛けるため、増産に踏み切ったとの見方もあり、予断を許さない。

https://www.asahi.com/articles/ASN396TG4N39ULFA037.html

アメリカの場合、民間の株式資産保有率が高いため、過剰反応の結果、今回のような急激な株価下落をもたらす。そもそも、現在のアメリカの株価が上がりすぎていたとの指摘もあり、調整局面ではないかという予測も、成り立たなくはない。

株価下落がたちまち庶民の生活に打撃を与えるということは無いのだが、新型コロナウイルスの影響で新たなデフレ局面に移った場合、有効求人倍率の低下や賃金上昇率の鈍化に繋がる懸念もある。
その意味で、新たな金融政策として即効性があるのは、消費税減税策だろう。国民生活に直接影響を与えるという意味では、その効果は絶大だ。少なくとも今回の新型コロナウイルス問題が鎮静化するまでの期間、軽減税率を全商品対象にするだけで、4〜5兆円程度の金融政策と同じ効果があるし、加えて食品等の生活必需品に5%の軽減税率を実施すれば、更に3兆円くらいの効果が見込める。

これは急務であって、早急に対応しなければ、引き返せない事態になりかねない。