倉沢良弦『ニュースの裏側』

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イデオロギーの敗北

今回の衆院補選を総括するとき、繰り返し書いているが、自民党が候補者を擁立しなかったことを、さも自民党が3敗したと書くのは、いささか早計ではないかと思えてならない。

そもそも、共産党が画策して自民党内派閥の政治資金の取り扱いについて告発させ、社会問題に祭り上げて自民党政権を追い込む戦略に出たが、政治資金規正法と政治資金の取り扱いについては、以前から法の抜け穴は指摘されていて、今回はそれを殊更、大袈裟に取り上げたに過ぎない。

では日本共産党の狙いはどこにあったかと言うと、単に、政党助成金を貰っていないことを自慢する日本共産党が、潤沢な資金を有する自民党に妬んだだけのことだ。しかし、日本共産党とて、公務員や教職員に赤旗の購買を強要してるのだから、どっちがいいかと問われても日本共産党とて同じことをやっている。むしろ、特定の支持層から半ば強制的に活動資金を強奪している日本共産党の方がタチが悪いと言えなくもない。

その日本共産党立憲民主党候補の支援に回ることで、東京15区で勝たせることができた。では、本選になった時、同じことが起きるかと言われれば、必ずしもそうとは言えない。勿論、補選の結果が本選に影響を与えるとは通説としてあるかもしれないが、今回の補選の結果をそれに当て嵌めるのは早計な気がする。

現在、自民党は政治資金不記載問題で信用を無くしているとマスコミは報道したがるが、実は、インフレ対策が有権者の不信を買っているという見方の方が正しいだろう。岸田政権になり、GDPの伸びと賃上げ局面になったことで、財務省はステルス増税路線に舵を切っており、併せて日銀はゼロ金利を解除して金融緩和政策を解除していると見られており、財務省、マスコミ、野党連合が狙っている増税路線、緊縮財政路線、国民生活を苦しめる路線に進みたい勢力が幅を利かせているように見える。

余談だが、何でも批判すること「しか」できない無能な議員が揃っている立憲民主党は、増税路線であることを忘れてはいけない。つまり反自民であれば、政策は何でもいいのだ。2012年以後、安倍元総理に悉く煮湯を飲まされてきた立憲民主党議員は、自分たちの無能っぷりをさておいてアベノミクス批判を繰り返す。日銀関係者の中で緊縮財政派の元幹部は相次いでメディアに登場し、金利政策によって金融緩和政策をやめるように誘導しようとしている。立憲民主党支持者の多くは、経済や財政の何も分かっていない連中がSNSでしたり顔で今のインフレ基調と円安の根源がアベノミクスにあると間違った情報を流布する。

私は折に触れてこのアカウントを罵倒しているが、それは嘘を流布しているからだ。このアカウントは、経済のことも財政のことも金融のことも知らない。知らないことをマスコミ報道と野党議員と財務省に踊らされて、あたかもそれが正しいかのように言い続けている。繰り返すが、このアカウントは嘘しか言わないし、嘘ではないにしても、明らかにデフレ回帰、円高誘導に向かっている。つまり、1990年以後、30年続いた不景気な日本を賛美しているのだ。敢えて言えば、狂っている。このアホウは、理想的には1ドル=50円が理想的だ、などと、浜矩子のようなことを言っている。通貨高は国力を反映すると本気になって言っているのだ。

これが、「意識高い系」と言われるバカの代表格と言って良い。

そもそもその国の通貨の価値を高い安いと他国の通貨で比較することが間違っている。国内流通通貨の価値を他国の通貨「だけ」で判断することは出来ない。また、藤巻健史のように、いずれ日本円は暴騰してハイパーインフレで日本経済は崩壊すると物騒なことを言う者もいる。

通貨価値を単純なドルベースで比較することは、間違っているし、いわんや、金利差で通貨価値を操作するという考え方も間違っている。今、ドルの一人勝ちのように見えているが、今のアメリカはバブル期の日本に似ている。アメリカの経済学者の多くが指摘するように、次に来るのは、ドル高による需要の低下だ。それでなくてもアメリカはインフレに苦しんでいる。インフレが止まらないから、FRB金利を大幅に引き上げるしかない。通貨高になると回り回って国内企業の設備投資とコスト高を引き起こし、過度なインフレに歯止めが掛からなくなる。だから、慌ててFRBは利上げ策をとっている。

元を糺せば、管理通貨制度に移行したプラザ合意の直後、日本は金融緩和を開始すべきだった。歴史に「もし」は通じないが、戦中戦後の日本は、金本位制などとっくに捨て去っていた筈で、そのためには、プラザ合意によるドル本位制移行に抗いながら、進むべきだった。プラザ合意とは、通貨安による高度成長期を経験した日本の防波堤としてアメリカ経済を守ったに過ぎない。日米安保に引っ張られている日本は、金融緩和路線に進むことが出来ず、その結果、バブル崩壊が起きた。バブルが膨れ上がり弾けた背景は、不動産価格が実体経済を反映することなく高騰したことが主因だが、今の中国がちょうど同じ状況になっている。

2012年以後、遅ればせながら安倍元総理が出てきたことで、金融緩和策の重要性が再認識され、一気に局面は好転した。今の日本は安倍元総理が転換した経済状況の中にある。金融緩和策が必要ならすれば良いし、必要なければ絞ればいいのだ。

この簡単な理屈が分かっていないで、外国がやってるから利上げ策をとれ、などと言うのは、ただの暴論でしかない。それが増税したい財務省反自民の勢力に騒がせているだけの話で、特に為替に関しては、野党議員もその支持者もマスコミも偏重した論調が多いのは嘆かわしい限りだ。

プラザ合意以後、日本は米ドルの総量に呼応してマネタリーベースを動かしてきた。今回(4月29日〜30日)にかけて為替が乱高下したと言っても、それは中長期の変化から見れば大したことではない。

市場動向はさまざまな要因で変化するもので、為替の動き一つで一喜一憂する前述のXのアカウントのような言いっぷりは、やはり経済の知識が不足していると言わざるを得ない。つまり、知らないことをもっともらしく言ってはならない典型例だろう。そこには、匿名アカウントだから、何を言っても構わないという甘えがある。為替市場に投資をしていたり、為替の仕組みを理解していない人への悪影響は計り知れない。当人は、SNS上で目立つことを目的にしているので、風説を流布することに罪の意識はない。悪質アカウントと言って良い。

一例として自民党批判を行うことを取り上げたが、ではこれらアカウントの本質とはなんだろうか?

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