倉沢良弦『ニュースの裏側』

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習近平国賓来日延期は日本の景気対策

https://www.sankei.com/politics/news/200229/plt2002290033-n1.html

当然と言えば、当然の報道が出てきた。
情報ソースが政府筋なので、ほぼ間違いない報道だろうと思う。
以前からコラムで指摘してきた通りではなく、日中双方の政府高官との協議も遅れていた中、これはChina政府側というより、現実的にこの時期は無理だよね、ということを互いに確認したということだろう。この点は拙コラムの指摘が、若干間違っていたものと反省している。
総合的、合理的に解釈して、来日延期は当然であって、日中共新型コロナウイルス問題が収束しない限り、実現は難しい。また、経済的な影響の方が甚大なので、Chinaも日本も一定程度の対策を講じてでなければ、そもそも両国国民が納得しないだろう。
加えて、今回衆議院で予算が通過したことで、議論の場が参院に移った。恐らく、ここでも特定野党が新型コロナウイルス対策が遅かったの何のと、政府にイチャモンをつけることになるだろう。何れにしても30日後には予算が通るので、その後、予備費等から本格的な新型コロナウイルス対策費が打ち出されるものと考えられる。当初予算で150億程度の予算を、政府は打ち出したが、来年度予算が通過したことで、最大で5,000億円規模の対策予算の計上が図られるものと思われる。ただ、30日後には厚労省の指針に従って、国民の中に新型コロナウイルスの予防策が定着し、日常生活に実践されれば、或いはその程度の予算規模には至らない可能性もある。問題は、新型コロナウイルス対策費が問題ではなく、消費増税等で失速した経済対策が重要なので、その点は後ほど触れたい。
さて、習近平来日は東京五輪後、10月頃になるのではないか?との観測を産経新聞は記事にしている。それに加えて、筆者が予測することで一番考えられるのは、五輪直後の解散総選挙についてだが、この点も後ほど触れたい。

2月29日の安倍総理の会見では、小中高の休校要請や、感染拡大が懸念されるイベントの中止延期等の要請に関わる説明を行い、今後の対応についても説明を行った。
学校の休校要請が適切だったか否か、の判断は今回の新型コロナウイルスの喧騒が収まってからになるだろう。今の段階で、軽々に発言することは出来ない。
ただ、WHOが発表した最新の報告書を読めば、この新型コロナウイルスの実態が非常によく分かる。今のところ英文原文のみだが、既にNHKが概略を報道している。

https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/who-china-joint-mission-on-covid-19-final-report.pdf
※WHO最新リポート

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200229/k10012308111000.html
NHK報道最新

概略を読むだけで、既にChina国内では新型コロナウイルスが終息期に入っていることが分かる。
また、確かに感染力が強いのも事実だが、概ねインフルエンザと大差無い。20歳以下の年齢なら、インフルエンザの方がはるかに発症率が高いことが分かる。検査難民だのなんだのと騒いだり、クルーズ船に於ける政府対応を批判した声が喧しかったが、蓋を開けてみれば、インフルエンザの予防策に準ずる対策を講じてさえいれば、特段、心配の必要はない。
ただし、私は医療関係者でも何でもないので、やはり厚労省の指針に従い、この1、2週間は感染拡大を予防する意味でも、注意が必要だ。

さて、新型コロナウイルス以前に、日本経済にとって足枷となってしまったのが、昨年10月の消費増税だ。10−12月期の成長鈍化に関して、気候不順等を原因に挙げている経産相財務省であるが、これは消費増税を正当化する方便と言えるだろう。言い換えれば増税路線に向かう財務省官僚のお手盛りの景気判断で、この辺りは国民意識との乖離を表している。そこに今回の新型コロナウイルスによるChina SHOCKが加わってしまった。
以前に拙コラムでも指摘した通り、今回の新型コロナウイルス問題は、日中間に横たわるChinaリスクの側面を新たに表象している。つまり、Chinaに進出、投資してきた企業は方向転換の機会となるだろう。仮に、2ヶ月後にChina国内のサプライヤー企業が操業再開したとしても、日本企業のどうこうが安定するのは、更に1、2ヶ月を要するかも知れない。その意味で、日本企業はChina依存を脱する必要性に迫られるかも知れない。

また、習近平主席の国賓来日については、上記でも触れたように、日本政府がChina中央政府との折り合いをつけたというのが、今回の真相かも知れない。China政府に決定の機会、つまりボールを投げた状態にしたことで、メンツを重んじるChina政府は予定に変更は無いという強気の姿勢を崩さざるを得なくなった。これも上記に触れた通り、実務者協議が進んでいなかったということもあるだろう。新型コロナウイルス対策に翻弄されているChina中央政府としては、日本政府が折り合いをつけてくれたことで、借りを作ってしまった。また、今回の新型コロナウイルスで世界から総スカンを喰らっている状況の中で、China政府を擁護した形になった日本政府は、Chinaから見れば、良き隣人としての態度ととられるだろう。
日本国内のメディアと特定野党はそのような評価はしないだろうが、新型コロナウイルスが鎮静化してみれば、今回の日本政府の姿勢がむしろ世界から評価されることになると、筆者は見ている。
また、東京五輪の開催を10月に延期、ないしは1年引き延ばすという見方もあるが、少なくとも春を過ぎれば新型コロナウイルス問題は鎮静化する。そうなると、東京五輪の夏開催の可能性が高まる。安倍総理が4選を狙うなら、新型コロナウイルス対策を切り抜け、東京五輪を無事に行った時期が絶好の解散のタイミングとなる。
また、仮に東京五輪が10月開催となると、丁度、習近平主席国賓来日という最高のタイミングになる。そうなれば、もしかしたら日本でプチサミットのようなものが開催される可能性もある。名目は、新型コロナウイルスの事後処理的な各国の経済対策等になり、また、中東問題が某かの進展が見られれば、もしかしたら日米中の三カ国首脳会談まで行くかもしれない。
これは、或いは絵空事と言えるかもしれないが、存外、無い話ではないように思う。
何故なら、習近平主席を立てて労うことで、国内での派閥争いに苦しむ習近平を助けることにもなり、安倍総理米朝協議でも新型コロナウイルス問題でも習近平主席を助けたことになる。
これは、読み過ぎだろうか?