倉沢良弦『ニュースの裏側』

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今こそ大規模な財政出動を!

本日(2月8日)、水道管の破裂が原因の事故が報じられた。

https://news.livedoor.com/article/detail/17786990/

この事故だけでなく、ここ数年、水道管の破裂や自然災害による河川の堤防決壊が相次いでいる。これは、巷で話題の気候変動が原因というより、その必要性が叫ばれながら一向に進まないインフラ整備が原因であろう。
既に、高度成長期に整備した国内の主要インフラはその利用期間の限界を迎え、ポイント毎の補修工事で凌いでいるケースが多い。
一昨年、昨年と続いた豪雨災害による被害は、そうした公共工事が追いついていない地方都市を直撃している。確かに、予想を超えた雨量や、避難体制等も要因の一つかもしれないが、実際に被害に遭った地方を回ると、明かに国土強靭化の遅れがもたらした災害とも言える場面に何度も遭遇した。
従来より、国土交通省は全国にハザードマップを作成していて、近年の被災地のほとんどがそのハザードマップで危険視されてきた場所ばかりだ。
このコラムでは水道管破裂の事故をきっかけに、遅れている日本のインフラの再整備に向けて、今、何が必要なのか?を考えてみよう。

昭和30年代に始まる高度成長期、日本が戦後復興で最初に手掛けたのが、インフラ整備だった。これを後押ししたのが、経済成長だ。固定相場制だった円相場は内需拡大のために必要な資源購入に多大な支出を伴ったが、それに倍する輸出産業の興隆で、瞬く間に日本をGNP(国民総生産)世界2位に押し上げた。好調な経済は潤沢な税収をもたらし、それによるインフラ整備を進めることで、日本中の市町村を結ぶこととなり、国内物流の基礎を作り出した。道が整備されれば、産業が興隆し人が住む。人が住むには、エネルギーや生活インフラの整備が必要となる。現在、各都道府県の主要都市に作られた生活インフラは、元を質せばこの時代に遡ることが出来る。
各地の港湾施設も整備され、より輸出入の規模は拡大していった。また、変動相場制に移って以後、好調な経済を支えてきた日本企業と日本円は、円高が進むことによって、日本人が海外に出て行く足掛かりが整うことともなり、日本の多くの企業が世界に進出していった。
現在、日本はバブル崩壊リーマンショックといった経済危機を乗り切り、デフレ不況下に喘いでいた時代を乗り越えようとしている。平成30年、有効求人倍率はバブル期を超え、GNPからGDP国内総生産)額は、過去最高を更新している。経済学上の完全雇用状態は失業率3%以下と言われているが、直近の政府発表では失業率は2.8%だ。
2013年以降、労働人口は累計で440万人純増にも関わらず、あらゆる業種で人材不足は深刻な状態で、足らない労働力を補う外国人労働者は、既に160万人を数える。
昨年末から拡がりを見せている新型コロナウィルスは、世界中に罹患者が拡大しているが、China以外で最大の感染者を出している日本は、とりも直さずChinaとの関わりの深さを表している。現在、China国内に進出している17,000社邦人120,000人という数字と共に、Chinaから来る観光客は年間900万人以上、日本で就労しているChina国民は30万人いると推計されている。
つまり、新型コロナウィルスのような事象の影響を最も受けるのも日本である。政治体制や文化の違いによるChinaリスクはあるものの、日本はChinaと経済的、人的にうまく付き合ってきた。しかし、ここにきて果たしてChinaリスクを無視してこれ以上の関係を維持する必要性があるだろうか?
内需が7割を占める日本経済だが、好調な経済であるからこそ、抜本的に税制を見直し、思い切った日本国内の再整備を見直す必要があるのではないだろうか?
つまり、China依存のサプライサイドから新たに東南アジアへとシフトし、日本の産業技術振興を進めつつ、インフラの再整備に動けば、国内経済はより盤石なものへとなるだろう。
その意味で、今こそ赤字国債を使って思い切った財政出動に踏み切るべきなのではないだろうか?また、昨年行われた消費増税は例え少なりとは言え、好調な国内景気に水を差した感は否めない。せめて、増税を見直し、赤字国債を5カ年計画100兆円規模で実施するだけで、その経済効果は大きい。
新型コロナウィルスが今後世界経済に与える試算は、10兆円以上とも言われている。その影響を最も被るのは、経済規模の大きな日本だ。だからこそ、一時的にでも国民や企業の税負担を軽減し、野党や世界中の国々がなんと言おうと、金融緩和と併せて大規模な財政出動すべきだ。
筆者の意見は暴論だと批判を受けるだろうが、むしろ今こそが、ピンチをチャンスに変える機会だと思えてならない。