倉沢良弦『ニュースの裏側』

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今こそ、景気のテコ入れのために財政出動を

昨年10-12月期のGDP速報値が出され、年率でマイナス6.3%の成長率となった。
そもそもGDP速報値が下振れしたからと言って、年率換算すること自体に無理があるのだが、いずれにしても昨年秋の消費増税が市場に影響を与えたことは間違いない。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194/gdemenuja.html

本年1月20日付、内閣府は公式見解として、令和2年度の名目GDP成長率を1.4%、実質GDP成長率を2.1%と至極楽観的な見通しを示したが、その予想を見事に覆す数値が出たことになる。

https://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2019/r020120mitoshi.pdf

個別に項目を紐解いても尚、従来の上昇局面に楽観的な見通しを加えたものに過ぎないのだが、この時点でChinaリスクの一つである新型コロナウィルスによる影響は踏まえていないし、令和元年10ー12月期の数値が反映されていない。つまり、1月20日時点においても、政府の見通しは楽観論が支配していたことを示している。
その後、2月17日に出されたGDP速報値によって、増税後の景気の停滞どころか、数字的に極端に下振れした要因は、消費増税によるところが大きいのは、筆者のように経済に疎い者から見ても明らかだ。
GDP全体に比してインバウンドは1.0%台の影響しかないのだが、つまり、全体を通じて解釈すると国内需要の鈍化を表すGDP速報値だった、と言えるだろう。
加えて、新型コロナウィルスによる国内の経済活動に悪影響を与えるのは必至で、この影響がどこまで拡大するかは、誰にも分からない。
今回の新型コロナウィルスの発祥であるChina国内においては、工業製品は言うに及ばず、加工食品の製造等にも影響が出ている。特に人と物の動きが止まっている以上、経済活動がいつの段階で正常化するかが見通せない。China国内では世界中のサプライヤーの生産拠点が全土の主要都市に拡大しているため、Chinaのサプライヤーの働きとしての脆弱さが露呈したとも言え、従来、拙コラムで指摘している通り、China国内に進出している日本企業は一刻も速くChinaから撤退することを模索するべきだ。
新型コロナウィルスによる影響は、日本のみならず今後世界的に拡大することは、様々な経済アナリストが指摘している通りであり、日本経済がそこから逸脱することも有り得ない。また、仮に今回の新型コロナウィルスの影響が長引けば長引くほど在中邦人の帰国を促す動きが加速することになるだろう。

これも従来から指摘していることだが、Chinaから撤退し、他の東南アジア諸国に拠点を移すことも念頭に、China進出企業は大きな方針転換を迫られる岐路に立たされている。ここで、判断を見送るのは、企業の収益悪化、資産の目減りをもたらすことになるだろう。
少なくとも、China国内で材料調達、部品調達をするメリットは低下していることは明らかだ。

https://www.bk.mufg.jp/report/insasean/AW20170405.pdf

確かに、人件費という点で、まだまだChina市場は魅力となっているのは間違いないのだが、今回の新型コロナウィルス問題をはじめ、China国内における人権問題やアメリカが問題視している知的財産保護問題は、リスクフリーになったとは言い難い。
むしろ、生産拠点を日本に戻す、或いは東南アジア諸国に移転するという必要があるだろう。

話を戻すと、これら対外的なリスクと内需の落ち込みを表す今回のGDPの落ち込みは、一時的なものとは言えないのではないだろうか?
そこで、政府は思い切った経済政策を打つべきで、金融政策の大きな柱である減税措置をこうずるべきだ。
その大きな柱は、消費税減税ではないだろうか?勿論、財政出動も必要だろうが、国内の消費性向を活発化させる即効性があるのは、消費税減税だ。
時限立法でも構わないと思う。
少なくとも、今回の新型コロナウィルスの鎮静化と近年の自然災害の復興が一定程度進むまでの間で構わない。
そのような思い切った減税政策が急務ではないだろうか?

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