倉沢良弦『ニュースの裏側』

いろいろ、書いてます。お仕事のご依頼は、ryougenkurasawa@gmail.com。

兵庫県民のことなんか、どうでもいい人たち

兵庫県の問題とは?

斎藤元彦知事が再選され、民意が示された後も、多くの反斎藤知事派が公選法違反だの、内部文書の公開に関する問題は解決してないだのと騒いでいる。

兵庫県民なら、自分の自治体の問題だから騒ぐのは分かるが、キー局のテレビや全国紙が取り上げている中身を見ても、ただ話題性があるから取り上げているだけで、問題の本質を全く理解しない報道が目立つ。

また、県議会擁護論を展開するSNSアカウントの多くに、立憲民主党支持者と思われるアカウントが多いのも不思議だ。県知事選において稲村候補を推したのが、県議会を構成する自民党立憲民主党所属議員が多いからと言うのも理由の一つだろうが、それなら斎藤知事の古巣である維新の会所属の県議会議員は、どうして斎藤知事を擁護しないのだろう?

井戸県政の問題点を指摘し、改革路線の旗手として斎藤知事を支援した筈の維新の会は、今年の春、突如として降って湧いたような県知事のパワハラ、おねだり疑惑が注目されて以後、斎藤知事批判に矛先を変えたように見える。

ただ、自民党兵庫県議連が割れてしまったのも事実で、この点はとても大事な点だと思う。と言うのも、井戸県政の歪みに対して多くの県議員が疑問を呈していたにも関わらず、その改革に、誰も乗り出さなかった。そのタイミングで元官僚の優秀な人が候補者として出てきたことを受け、従来の兵庫県自民党から割れた幾人かが斎藤知事支持に傾いた。これは、県議会が一枚岩ではなかったことを物語っている。だが、やはりパワハラとおねだりの疑いが浮上し、県議会が全員で斎藤知事の不信任を可決することとなった。

会派制を敷く県議会において、党の決定、意志に従うことは、党議拘束の縛りを受ける県議にとって、議員個人の意志とは裏腹な決定であっても、党の決定に従わなければならない。各会派ともに知事の不信任を出すことに決まれば、同様の投票行動となる。それを非難するつもりはないが、今回の知事選の決定過程において、百条委員会を開く前に不信任決議が出されたことが、そもそも、この問題を複雑化させ、大きく報じられる原因ともなった。

また、SNS上では、自死した県民局長の文書に関して、憶測や仮定の話に基づく点が多く、そもそも何故、県民局長が処分対象になったのか?現在行われている百条委員会の論点は何か?が、ひどく混同されていると感じる。

私個人としては、百条委員会における調査が終わっていない段階で、軽々に論ずべきではないと考える。

この続きを読むには
購入して全文を読む

君は『Loose Change』を知っているか?

911テロ』と陰謀論

アメリカにはケネディ大統領の時代から、常に陰謀論が渦巻いている。曰く、CIAがアメリカのディープステート(陰の政府)の実行部隊として、様々な工作活動に従事し、世界の政変等の裏で蠢いていたというものだ。アメリカは第一次世界大戦第二次世界大戦を通じ、急速に発展してきた国力を背景に、世界の警察としての力を保持しつつ、世界に影響を与え続けてきた。

建国300年に満たない若い国家が世界の中心に立ち続けることが出来ている背景は、基軸通貨米ドルの存在と、世界一の経済力、そして世界一の軍事力があるからだ。仮に米ドルを基軸通貨とすることによって、世界の覇権を握るというのが、陰の政府が画策した世界支配の長期的計画だったとして、果たしてそんなことが可能なのか?という疑問はさておき、陰謀論好きな人々は、常にそんな夢物語に心踊らされ、実しやかにそのストーリーを語り継ぎ、想像を膨らませていった。

近代アメリカで最も衝撃的かつ、ショッキングな事件が、2001年9月11日に起きた世界貿易センタービルペンタゴンアメリ国防省)への同時多発テロだ。

当時、世界貿易センターの双子ビルにジェット機が突入し、数時間後に巨大なビルが倒壊する様は世界中に同時中継され、世界の人々が大きな衝撃を受けた。当時から、この事件には何らかのウラがあると囁かれていたのは事実で、アメリカ政府が情報を出し渋っている点や、アメリカ史上最も無能と言われたブッシュ大統領の時に起きたこのアメリカだけでなく世界を揺るがせた事件を、ブッシュ大統領以下、大統領周辺の一部は知っていたのでは無いか?というのは、事件直後から言われていた。それほどに、アメリカ政府の対応が常に後手後手だった。

また、CIAは早くから中東のいずれかのテロ組織が関与する大事件がアメリカ国内で起きる可能性が高いことの情報を掴んでいたとも囁かれていた。

911事件後、2001年時点でアルカイーダの指導者ウサーマ・ビン・ラーディンは事件の関与を否定していたが、2004年には実行したのはアルカイーダであることを公式に認めている。更に捜査の結果、2001年以後、徐々に中東のテロ組織アルカイーダが計画、実行したことが明らかとなり、アメリカ政府はテロ組織によるアメリカ国内への直接攻撃という歴史上かつて無かった事態に対処すべく、徹底した報復を行うことを明言していた。

『Loose Change(淫らな変革)』というドキュメンタリー映画は、2004年、突如としてインターネット上に現れ、インターネットミームの先駆けともなっていった。その作りの良さ、綿密に練られた台本、膨大な資料を使っての状況証拠の積み上げによって、陰謀論系の傑作と言われる作品だ。アメリカの象徴の一つとされた世界貿易センタービルが攻撃された衝撃と共に、このドキュメンタリーがクローズアップされたのは、2001年以後、アメリカ国内では一気に中東問題が注目され、テロ組織壊滅に向け世論が形成されていったことも背景にある。

『Loose Change』自体は、911テロはアメリカ政府批判の為の映画とされている。と言うのも、当時、共和党の支持率回復が必須とされていたブッシュ政権は、その起爆剤がどうしても欲しかったのでは無いか?とされていたことに起因する。もしそうだとすれば、支持率回復の為には、アメリカ国民の目を外に向けさせるに、国家を揺るがす大事件を必要としていたとするなら、911テロ事件はうってつけだった。

大統領就任後、共和党と共に支持率が低下していたブッシュ政権は、911テロによってアルカイーダ許すまじの世論に押される形で、支持率は急上昇し、第二次ブッシュ政権誕生まで高い支持率を維持した。ブッシュ大統領は国防を理由に中東への介入を行い、テロ組織撲滅に向けアメリカ軍派兵を強力に推し進めた。

当時、共和党ブッシュ大統領に反発する民主党は、ビル・クリントンによって徐々に良くなってきていたアメリカの財政赤字を膨大に膨らませたのは、ブッシュ大統領であるとして、中東介入には反発していたが、911テロ事件はその声が霞むほどにアメリカ国内世論を後押しして中東介入を進めさせた。

911ほどの事件を、中東のテロ組織が行えるのか?と言う疑問を投げかけてきた人々は、やはり911テロ事件の背景に、何らかの国家権力の介入があったのでは無いか?と言う疑念が付き纏っていた。そして、公開された『Loose Change』は、戦略的にもインターネット上で小さく公開すると言う手法で成功したと言える。つまり、大々的な広告を打つのではなく、作りの良いドキュメンタリーの手法で、ネット上の有志によって手作りで情報をかき集めつなぎ合わせた結果、その状況証拠と共に明らかに当時のブッシュ政権の背後にいた何らかの力が働いたと結論つけている。このドキュメンタリー制作の手法は、実に巧妙に練られたストーリーで、ブッシュ大統領共和党を直接名指して批判はしていない。あくまで、状況証拠の羅列によって、人々に陰謀論と明確に示さない形で陰謀があったのでは無いか?と印象つけている。

だからこそ、911テロの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンが暗殺され、一応の決着を見た現在でも、この映画の中身を本気で信じる人が、いまだに後を経たないし、2004年に公開されたファーストエディション以後、3回にわたって再編集が行われ、公開され続けている。更にこの映画、ファーストディションは無料公開されたことも、人気を博した背景だ。これだけの取材、資料分析を行い、更に無料公開したことで、ネット上の有志が無償でやったからこそ、商業主義ではない真実のドキュメンタリーだと受け入れられたのだろう。ただ、ファーストエディション公開後は、有料による配布となり、一気にその熱が冷めたのも事実で、根強いファン以外、既に忘れ去られた映画となりつつある。商業的に成功したとは必ずしも言えず、影響は与えたが、パッとした成果は生んでいないというのが現実だ。

ただ、陰謀論の先駆けとして、インターネットミームの作り方としての手法は、後々、多くの人々に影響を与えたことは明白だ。

この続きを読むには
購入して全文を読む

税制改正への道

今回の自公国の合意形成は、本丸の税制改正に向かう、大きな一歩だと感じる。

岩盤であった旧来の税制に風穴を開ける意味で、今回の国民民主党案をベースにした「103万の壁」を打ち破る自公国の合意形成は意味がある。

国民負担率自体が実質賃金が伸び悩む元凶になっているのは間違いないが、しかし、働き控えを起こしている歪な税制にはメスを入れなければいけないと訴えてきた国民民主党の主張が一部、与党を動かした形になった。

当然、この動きに待ったをかけるのが財務省ということになるが、そもそも、総合経済対策として自民党が今回の臨時国会に掲げている35兆円規模の枠組みについて、敢えて再考の動きを見せずダンマリを決め込んでいる財務省は、別の形での増税を模索しているのは間違いない。

日本国政府の台所を預かる財務省を悪者にしたくはないが、財務省設置法の見直し議論が始まるまでは、財務省が抵抗するのは間違いない。そうでなければ財務省の存在理由が無くなるからだ。お父ちゃんの働き次第で家計をやりくりするのはお母ちゃんの勤め。とは言っても、お母ちゃんのやり方次第で、へそくりを作るのも自由と言えば自由だが。

「103万円の壁」見直しへ 自公と国民 経済対策修正案で合意 | NHK 【NHK】新たな経済対策をめぐり、自民・公明両党と国民民主党は、いわゆる「年収103万円の壁」の見直しにつながる内容を盛り www3.nhk.or.jp 

この記事の中で、今回の自公国の政策協議の合意に対して、野党第一党立憲民主党は露骨な不快感を示した。

立民 大西税調会長「野党第1党とも協議するのが筋」

立憲民主党の大西税制調査会長は、党の税制調査会の会合で「『年収の壁』の見直しや『トリガー条項』の発動などは私たちも求めているので結構なことだと思うが、本来、一部の野党とだけコソコソ話すことではなく、われわれ野党第1党にも内容を説明し、正面から協力を求めて協議をしていくのが筋ではないか。私たちもしっかりと税制改正について考え方を取りまとめて与党に申し入れをしていきたい」と述べました。

確かに与野党協議臨時国会通常国会へと前向きな議論を進める下準備は必要ではあるが、立憲民主党はマイナカードと保険証一体化に反対とか、選択的夫婦別姓の法制化とか、たちどころに国民生活に直結した中身には全く興味が無さそうなので、そちらはそちらで勝手にやってくださいと言われたに過ぎない。

優先順位を無視した協議をやってる暇などない与党としては、目の前の問題の解決に向かわなければならず、また国民生活に直接関わる事項を最優先とする以上、いちいち立憲民主党の話など聞いてはいられない。

今回の経済対策の修正案の協議について、立憲民主党が国民民主党案を飲む代わりに、マイナ保険証廃止案を飲めとか、選択的夫婦別姓の法制化を臨時国会で協議しろとか、国会が遅延する可能性が高い文句を聞けと言ってくることが分かっている。そんなものに足を引っ張られる理由がない。

そんなくだらない野党第一党など相手にしてる暇は無いし、国民民主党自民党の宮沢税調会長という高い壁を越えなければならない。緊縮財政の最右翼とも言える宮沢税調会長を納得させなければ、国民民主党案の実現は困難を極めることになる。

そんな時に、税制改革の足を引っ張る立憲民主党を協議の場に引っ張り出すなど、到底、出来ることではない。

税収への不安要素を取り上げることと、実際の税収に基づく財政均衡はイコールフィッティングには決してならない。特に管理通貨制度国においては、基本概念として政府負債は国民資産であるという考え方は変わらない。もちろん、日本円が基軸通貨ではない為、MMTのような暴論は日本では無理だが、アベノミクスの基本概念である通貨量の調整による為替変動リスクの回避は、日本円は可能だ。そしてこれは為替操作には当たらない。

経済のケの字も分かってない立憲民主党議員は、選択的夫婦別姓とかマイナカードがどうしたとか、その打ち出すタイミングが一向に日本の現状に合っていない。その言い分は実にくだらないのだ。本来、臨時国会で言うような政策ではない。数少ない支持者の為だけのポリコレ体質のやり方は、いい加減、三行半を下されてもいいだろう。支持母体は一応、連合ということになっているが、今まで立憲民主党は連合と同調した政策を打ち出したことがあるのだろうか?連合も、もはや諦めているかもしれない。労働者目線の政策の必要性を無視して、日本の0.5%程度のマイノリティの為だけの政策を優先したら、日本社会の構造自体が変わってしまう。ここを批判されている自覚が、今の立憲民主党の議員にはない。

これは自民党石破茂にも同じことが言える。石破茂は、緊縮財政派だが、それは単にアベノミクス批判をして、安倍晋三との違いを言うことで地方の高齢者の支持を得たいだけの話だ。地方の高齢者を保護する政策は、年金生活者にはいいかもしれないが、現役世代にとって、これほど苦しめる政策は無い。この時代感覚というか現状認識の欠落が、石破茂が宰相としての能力が著しく欠けている点と言ってもいい。

この無能力な石破茂体制は、増税しなければ日本の財政が危ないという財務省の無謬性に起因していることは、繰り返し繰り返し言い続けなければいけない。現役世代を大切にしない政権は、潰れるのだ。だから、これも繰り返し繰り返し言い続けているが、自民党内政局のパワーバランスだけに終始した自民党議員は、万死に値する。次の選挙で落選させてもいいくらいだ。そしてこれを支持者は直接議員に伝えるべきなのだ。そうやって議員のレベルを底上げしなければ、政治改革など夢のまた夢だ。

この続きを読むには
購入して全文を読む

現実のジョージ・オーウェル『1984』

「肉まん食べよう」

中国では、「肉まん食べよう」という名称の集団サイクリングが話題で、既に当局が取り締まり、今は沈静化されたようだ。ことの発端は、美味しい肉まんを食べたくて数名が自転車で肉まん屋に向かったことをSNSに投稿したことがきっかけ。それに同調した大学生を中心にした若い世代が、「肉まん食べよう」のテーマでサイクリングを始め、一種のムーブメントになり万単位の人々が行動した。

『報道1930』で、その中身について詳細が触れられている。

その原因となるところは、結論は国内経済の落ち込みであることは間違いない。専制主義国家である中国は、習近平絶対王政の下、共産党という組織的な全体主義に近い政策推進によって、習近平が間違えると共産党が間違い、国民は粛清を恐れ間違っていると分かっていても全員がそちらに向かう。これに反発する国内の動きはあるのだが、依然として中国国内で政変に繋がる動きは出てきそうにない。

その原因は一体、どこにあるのだろう。

中国国内における政変の最初は、1989年の天安門事件だ。中国共産党が恐れるのは、天安門事件の再来であり、民主化に向かう機運が国内全土に広がることだ。

天安門事件の直前、当時の中国の若者も、自転車で天安門広場に向かっていた。その時の若者は、中国を民主化させる為、自分たちが立ち上がるしかないと感じていた。そして、その集まりは中国共産党が恐れるようなクーデターとか政変などではなく、実は希望に満ちた団結だった。当時の記録映像には、笑顔に溢れた若者の姿が幾つも残っている。難しいことは分からないが、自分たちの未来は自分たちが決める権利があると、彼らは考えていた。

ところが、時の中国共産党は、戦車で若者を捻り潰すことを選んだ。これが、現代中国が犯した過ちの最たるものだ。そして、天安門事件の記録を徹底的に排斥し、歴史上から抹殺しようと試みた。

SNS上でもそうだが、消せば増えるのである。たった35年前の出来事だ。天安門事件のニュースは、当時、世界中を駆け巡った。今でも、6月4日が来れば、当時の映像がどこからともなく発掘され、歴史の事実として回顧される。

中国が内戦を経て文化大革命を行い、中国共産党支配の社会を作り上げた時、共産主義に基づく全体主義国家は夢のイデオロギーを掲げる国家としての理想形であり、全国民を幸福に導く政治体制であると、多くの人が信じる反面、それがいかに危険なことかは程なくして中国国民が骨身に染みて分かることになった。

それが文化大革命による信じられない人数の粛清であり、弾圧であり、思想統制だ。これが如何に恐ろしいことか、骨身に染みている世代が、かろうじて残っていた1989年、改革派胡耀邦の死に対する抗議行動をきっかけに、今をおいて民主化革命を行うことは出来ないと立ち上がった若者によって、デモに発展した。そして、血塗られた天安門事件が起きたのだ。

 

気力と体力を奪われた中国の若者

今の中国はSNS社会においてさえ、中国共産党の徹底的な情報統制下に国民は置かれている。自由がない。中国共産党は人々の内心の自由さえ許さない。中国共産党にとって、理想的な政治イデオロギーである社会主義体制の否定は出来ない。否定してしまったら、自分たちの存在理由が無くなる。信じられないが、彼らは本気でそれを信じているのだ。そして、どこまでもその幻想の中に生きている。

日本のリベラル思想に傾倒した人々は、総じて社会主義的な、平等社会を理想として掲げる。その結果、地球上に唯一と言っていい社会主義体制が国家として成立しているかのように幻惑された中国を理想的な国の形と見ている。そして、中国共産党が進める国家資本主義を理想としているように見える。習近平サマが指導してきた国家資本主義の末路が、現在の中国だ。

中国国内の地方政府と中央政府の負債は、分かっているだけで、日本円で2,000兆円規模に上る。それはあくまで中国政府が発表している数字に過ぎない。シャドーバンクを含めるとどこまで膨らむか、多分、中国政府自身も分かっていない。

中国の政府総債務残高の推移(1980~2024年)

地方政府は給料も払えず、不動産市場は相変わらず低迷が続き、頼みの綱の輸出産業もアメリカ主導の関税政策が更に厳しくなれば、今後も落ち込みが続くだろう。

資本主義経済を共産主義がコントロール出来るはずなどない。ましてや、14億人の国民を抱える中国が、僅か数十名の共産党中央委員会でコントロールするなど、神様でもない限り不可能だ。そして決定的に不幸なのは、その中央委員会に誰一人、市場経済や資本主義経済の専門家がいないということだ。

権威主義に基づく全体主義国家において、資本主義経済を実現することが、何故、不可能かと言えば、自由が無いことだ。自由な経済活動を許さない限り、イノベーションも生まれず、競争原理が働かないので経済発展も無い。少し考えれば分かることだが、中国共産党は、一党支配を維持する為には共産党支配を脅かす「集団」や「団体」が出来上がることが何より怖い。そして、経済力で中国共産党に影響を与える人々が出てくることが怖いのだ。その根幹が自由を押さえ込むことだ。

この共産党の政策は、理想的な社会主義の機構を生むことなく、経済の歯車が狂い始めると全てが狂い始める。中国国民はそれが分かっているから、何かの形で抗議行動を起こしている。そこには暴力も政府批判も無いのに、共産党はそうやって人民が集まることを恐れる。自分たちに跳ね返ることを恐れているのだ。

日本人と中国に進出している日本企業は、イザとなれば、中国から撤退すればいいと考えている。しかし、未だ10万人以上の在中邦人が、中国共産党の人質状態にあるという危機感が無さすぎる。そして、在中邦人は、中国への投資も出来ず、中国から撤退しようとすると共産党に出国停止されるリスクを負っている。この現実に対しての認識があまりに欠けている。

習近平体制は、最悪の場合、反政府勢力のクーデターを引き起こしかねない。以前のクーデターはアメリカが主導し、裏で手引きしていたが、今のアメリカにその力は無いし、国際社会から猛烈な反発を呼び込んでしまう。国内第一主義を掲げるトランプは、絶対にそんな冒険はしない。となると、中国国内の暴発が起きるきっかけは中国国内から発生することになる。そして、その先にあるのは無政府状態だ。

中国は中国共産党以外、とって変わる政治体制が存在しない。だからこそ、国内の引き締めに躍起になっている。それはつまり、歴史を巻き戻す作業だ。毛沢東から鄧小平に至る時代への回帰だ。中国国民が好むと好まざるに関わらず、そうするしか、他に方法が無い。習近平体制が崩壊しても、次に新たな習近平が出てくるだけだろう。そうやって、中国は年々、後進国化が進む。究極は今の北朝鮮のような国になることだ。

この続きを読むには
購入して全文を読む

空気を作る県議会とメディアの自滅

今秋の兵庫県知事選の結果について、オールドメディアとネットの対立構造を理由にしては、今後の自治体の首長選挙が間違った方向性を生む可能性をひしひしと感じる。確かにオールドメディアとネットでは、情報の偏りがあったことは事実だと思うし、オールドメディアの傲慢な報道姿勢は目に余るものがあるのも事実だが、問題は別にあると思えてならない。

またネット上に氾濫するリテラシーが不足した情報について、結局は、受け手が判断するしかないと言う側面も露わになった。行き着く先は、検索サイトのアルゴリズムに左右されるネット情報という、漠とした不安に怯える社会を作り出すことにもなりかねない。検索サイトが作り出す世論でいいのか?という原初的な議論も喚起されることにもなるだろう。

AIが作り出すギミックに乗せられる人間サマという、安っぽいSF小説のテーマという笑えない世界は、これから先、起きることはないとは思うが、一方、たかがネット情報ごときで構成されるほど、人間の脳みそが作り出す判断基準は陳腐ではないと信じたい思いもある。

オールドメディアであれ、ネット情報であれ、実は根底は同じで、それらが作り出す空気感が問題なのであって、今回の兵庫県知事選という茶番劇は、まさにその空気が作り出したものだった。誰かが描いたシナリオではなく、それぞれの自己保全の言動が作り出した、ただの空気でしかなかった。むしろ、自死された県職員も可哀想なら巻き込み事故を喰らった県知事も可哀想なら、一番の被害者は兵庫県民だとも言える。前回の拙稿で触れたように、そこに生まれる責任について、誰も言及していないことが、またぞろ、同じ現象を引き起こしてしまうのではないか?という懸念もある。

それは兵庫県という自治体だけの問題ではなく、他の自治体も同様で、前回同様繰り返すが、地方自治の在り方、地方行政の在り方に帰趨させなければ、20億円もの血税を投じた選挙の意味が霧散してしまうだろう。

ではオールドメディアに対してもネット情報を流布する「名無し」の第三者に対しても、リテラシーを求めることで対峙する関係性を解消できるかと言われれば、それは違うということになるだろう。リテラシーなどというものをオールドメディアや氾濫するネット情報に求めても仕方ない。それは法律の分野の話であって、とどのつまり主権者は誰なんだ?という問いに帰るしかない。

この原則は、紙媒体だろうと、地上波垂れ流しメディアであろうと、「名無し」文化の象徴である5ちゃんねるだろうと、勝手なことを放言するだけのネット民だろうと変わらない。媒体が変わっても、時代が変わっても、それは呉越同舟護送船団方式の勝手きままな言説を放言するだけの一方向性の言いっぱなしでしかないのだ。そこに唯一存在するルールは、事実しかない。エビデンスは何か?という問いしかないのだ。

バカ朝日新聞の記者が、「エビデンス?そんなもんねーよ」と吐き散らかしたのは、事実だけを報じることはメディアや報道の死を意味するという宗教の教えに立脚しているだけのことであって、それこそ、報道の死を意味しているが、ご自身は気づいてない。つまり、バカ朝日新聞なりのバカな正義感に立脚しているのだ。

これは朝日新聞がバカなだけではない。オールドメディアであろうと、ネットメディアであろうと、自分たちに正義があると盲信する全ての情報媒体に言えることだ。報道機関が事実を報じ、その裏どりをするのならまだしも、空気を作り出すことに先鞭をつけるのは、報道機関としての職務放棄だ。世論を誘導したいなら、活動家になれば良いのである。公共機関に近い性質の報道機関は、テレビは国民の財産である地上波で放送を行い、新聞は消費税は軽減税率の対象になっている。つまりオールドメディアと言われる報道機関は、優遇されているのだ。その報道機関が特定の恣意的な報道姿勢なら、それは報道機関ではなく、既得権益業界ということになる。

この続きを読むには
購入して全文を読む

石破茂のオトモダチ、ばら撒き、130万円の壁

石破茂のオトモダチ

石破茂にオトモダチって、いるの?

あ!一人、いた!

第二次石破政権誕生により、閣僚はほぼそのままスライドする形で内閣の布陣が決まった。

https://www.kantei.go.jp/jp/103/meibo/index.html

最も関心を集めているのが経済対策だが、今の所、前岸田政権の政策を踏襲する形になるだろう。岸田前総理は色々と言われているが、経済対策、インフレ対策については概ね、出来ることは全てやったという印象がある。ただ、自民党の政治資金不記載問題に端を発する旧来の派閥政治に批判を受け、半ば追われるような形で政権を移譲することになってしまった。その意味で、実はアベノミクスから菅政権、岸田政権と、決して悪い形で経済対策が続いてきたわけではない。問題は、何の政治的イシューを持たない石破茂が、順当に政策を踏襲していけるか?が、鍵になるだろう。

安倍晋三が、「石破茂だけは総理にしてはいけない」と、蛇蝎の如く嫌った石破茂の本性は、繰り返し指摘しているように、政策に具体策が無いことであり、と言うかそもそも政策など持ち合わせていない。石破茂の目的は総理総裁になることであって、政治改革も増税論も他人の受け売りに過ぎない。だから、ブレるのだ。これ、物凄く大事なことであって、こうやって世論は形成されていく。雰囲気なのだ。空気というやつである。そこには根拠も理屈も何もない。石破茂自民党が主張する王道に反対することで、一端の改革派気取りなだけで、彼が総理総裁になって一刀両断に断行した改革は、何一つない。何一つないのだ。

周囲に流されているが故に、例えば経済政策も財務省の受け売りだ。これは明確にしておきたいのだが、石破茂は財政の黒字化を本気で信じている。管理通貨制度の理屈も分からず、財政は政府支出の財源は税収であると本気で信じている。これが、彼が最もヤバいと言われる所以だ。

その石破茂の考え方に同調しているのが野田佳彦だ。立憲民主党議員の多くは、どうも近代経済学ケインズ以後、進化してないと信じ込んでいるのだろう。その旧来のケインズ経済学に財務省設置法が重なり、何が何でも財政は均衡しなければいけないという幻想に囚われてしまっている。その意味では、経済学や財政論、金融論の知見の無い石破茂にとって、野田佳彦立憲民主党の議員、財務省官僚にとって御し易い格好の総理大臣と言って良い。いわゆる都合のいい女で、いつでも切り捨てることができる。

石破茂は足元が脆弱な内閣なので、「私を捨てないで」という想いだけで、野田佳彦を頼りにしているかもしれない。

これは観測でしかないが、石破茂野田佳彦以上に大連立を希求していたのではないだろうか?何せ、石破茂の苦悩を察し、ああでもない、こうでもないと指南してくれ、石破茂を持ち上げてくれる存在は、目下のところ、野田佳彦立憲民主党議員と財務官僚以外、思いつかない。

理経験者として総理大臣の労苦を知る身としては、野田佳彦以外にいない。その意味で、石破茂が頼りにしているのは、森山自民党幹事長ではなく野田佳彦立憲民主党代表ではないだろうか?

「石破さん、辛いだろ?大変だろ?私に協力させなさい。楽にしてあげる」と、野田佳彦が言ったかどうかは知らないが、衆院選後、多くの立憲民主党議員や幹部が石破茂に対し猫撫で声で擦り寄る姿勢を見せたのは、大連立を模索してのことではなかったか?

私にはそう思えてならない。

この続きを読むには
購入して全文を読む

どうなる?臨時国会

特別国会が開会され、衆参の議長、副議長、そして首相指名選挙が行われ、第二次石破茂内閣が誕生した。

落選や党代表職に就いた為、2名が入れ替わりになったが、第一次石破内閣の人事がそのままスライドした形になった。不安定な政権運営の状況は変わらず、また自民党内には石破茂退陣論が渦巻いた状況の中で、難しい政権運営を迫られる石破茂総理は、無事に臨時国会を乗り切り、補正予算成立にこぎつけることが出来るだろうか?

第2次石破内閣 最新ニュース 閣僚一覧|NHK 【NHK】第2次石破内閣 閣僚の顔ぶれやプロフィール 最新のニュースをお伝えします。 www3.nhk.or.jp 

過半数を維持できない自公連立政権は、日本維新の会と国民民主党の政策をどこまで呑めるか?に焦点が集まっている。国民民主党はあくまで「103万円の壁」を178万円に上げることにこだわり、日本維新の会は政治改革を第一に掲げる。

立憲民主党も政治改革という点では一致しているが、他に政策の柱は無い。自民党の不安定な政権に乗じて政権交代を目指したい立憲民主党であるが、政権交代をしてやりたいことは何もない。

立憲・野田代表「熟議と公開、新しい国会つくる」 政策実現迫る野党:朝日新聞デジタル  立憲民主党の野田佳彦代表は、首相指名選挙の結果を受け、「石破氏も過半数に足りない。相当、厳しい政権運営になるだろう」と記 www.asahi.com 

政治改革する上で、企業・団体献金の廃止を第一に掲げてはいるが、それが本当に第一でいいのかという疑問は付き纏っている。

立憲民主党衆院選で一気に過半数獲得に至らなかった最大の要因は、政権交代は目指すが、その先に何を実現するのか?が、有権者に見えなかったからだ。自民党政治資金規正法の不記載問題は、あくまで自民党内の問題であり、この問題をあげつらうなら、与野党関係なく国会議員全員に関わる問題となる。しかし、ここまでマスコミと組んで政権交代を目指すだけの地歩が固まっていたのに、政権交代に至らなかったのは、ひとえに立憲民主党は国民に期待されていなかったからだ。

立憲民主党衆院選前から国民民主党と組んで連合を巻き込み、国民民主党案を飲んでいれば、或いは政権交代ができたかもしれないが、野田佳彦代表は石破茂同様、まず目指したのが首班指名で自分が指名されることであり、その後の野党連立政権で国民の意識が変わるような政策を打ち出せなかった為に、結局は政権交代に至らなかった。野党にしてみれば千載一遇のチャンスだった筈だ。その機を逃したのだから、もう野田佳彦が総理大臣になることはない。

『報道1930』で野田代表は、政治倫理審査会に裏金議員と言われる人々を引っ張り出し、必要なら予算委員会においても証人喚問すると息巻いている。しかし、そんなことを国民が望んでいるだろうか?野田代表が強気に出る背景には、衆議院の委員長ポストを五つ、憲法審査会のポストをとったからだろう。

政権交代を目指すための地歩を固めた上で、来年の参議院選挙、場合によっては衆参ダブルにして一気に政権交代を目指すということなのだろう。

ただ、各種委員会の運営も含め、果たしてそれを国民が見た時、仮に未だ批判しかしない野党のイメージが残り、かつ、臨時国会や来年の通常国会でも国民を置き去りにした政権交代ありきの国会運営となった場合、どのような感想を持つだろう?

その意味でも、衆院選挙前から国民民主党の政策を飲む野党連携が取れていたなら、あるいは野田政権が誕生していたかもしれない。つまり、そこは政局で勝ちきれない野田佳彦の弱さを感じる。

裏を返せば、使い物にならない石破茂が首相になる手助けをしたのは、結局、野田佳彦だったということになる。それが政界であり、政治というものだ。その読みの浅さが、立憲民主党が国民から支持されない要因の一つだと考える。

野田佳彦がワンチャン狙っていたのは、大連立であり、暗に石破茂にそれを迫った。ところが、ネバネバ総理は、国政よりも自分が戦後最短の総理になりたくない保身が勝ってしまった。野田佳彦の読みは、石破茂はもっと国民と国政のことを考えていたと思っていたのに、石破茂の本性を見たのではないか?つまり、石破茂は政治家ではあるが自民党という巨大組織を引っ張るようなリーダーではなかった。

この続きを読むには
購入して全文を読む

解散総選挙はいつ?

石破内閣が「死に体」状態に陥っている。

党内融和、党内結束をいくら打ち出したところで、石破茂に責任論をぶつける議員の声は、馬耳東風なのか、お構いなしで勝手なことを言い続けている。

自民 両院議員懇談会 石破首相 衆院選の結果陳謝 結束呼びかけ | NHK 【NHK】自民党は、衆議院選挙で大幅に議席を減らしたことを受けて、およそ3時間にわたって両院議員懇談会を開きました。石破総 www3.nhk.or.jp 

彼は戦後最短の自民党政権となることだけは、なんとしても避けたいと考えているし、そもそも今回の自民党大惨敗の責任は、自分には無いと考えている。これが石破茂という男の本性であって、真に改革派だと言うなら、今、自民党に必要なものは何か?に耳を傾けるべきだ。改革派だと嘯(うそぶ)いて有権者を世論誘導したマスコミも本人も、この際、猛省を促したい。党内をまとめ切る力も無いのに、改革派もへったくれもない。

事実として自民党が負けたのだから、いくら自分の前の自民党執行部が招いたと考えていても、当代が責任を負うのが、組織というものだ。実は、自民党総裁選前から、仮に石破茂になったら衆院選自民党は大負けするだろうという観測が、まるっきり無かったわけではない。ただ、自民党内部でキングメーカー争いに加担した議員によって、最終的に石破茂に投票したのではなく、キングメーカー争いの岸田文雄に投票したのだ。この事実は、自民党議員は素直に反省すべきだ。

石破茂とは裏切りの歴史を紡いできた国会議員だ。しかし彼の狡猾なところは、自民党から出て行かなかったところ。伝統的に保守系の支持者が多い地方において、自民党から出ていくことは彼の国会議員人生そのものにも関わる。だから、自民党議員でありながら、自民党批判を繰り返すことで、地歩を固めてきた彼が、自民党を抜ける筈はない。そして政府内部にいないから、暇を持て余している間に地方行脚を繰り返し、偽りの改革派を演出して地方の支持を取り込んできた。

この「自民党の内部から」的な自民党批判は、外部から見る人以外にも自民党支持者に対しても、一定の説得力がある。ようは内部にいて批判するのは気骨があると思われるのだろう。そして、マスコミ的にも都合がいい。マスコミは伝統的に自民党が嫌いで、政権交代というドラスティックな社会変革にマスコミが活躍したと思われたい野望がある。だから、自民党内部から自民党批判をする石破茂は、マスコミが持ち上げるには格好の存在だ。

悪名は無名に勝るとは言うものの、国政は広く国民生活全般に影響する以上、投票率が低いとは言えど、衆院選について国民は少しくらいは真剣に投票に臨もうとするだろう。何せ、政権選択選挙なのだ。小選挙区で絶対的な支持を得ている石破茂は、今回の選挙でも早々と当確を出した。つまり、拙稿で何度も触れているように、選挙区で強いことが、彼の勘違いの元になっているのかもしれない。

石破茂が国政に残り続けることが、選挙区でも自分自身でも自民党内でも分かっているのだから、少なくとも選挙において石破茂に文句を言う自民党議員はいないだろう。選挙に強い政治家が良い政治家なのだ。いくら高邁な理想を語ろうと、正義感丸出しで聞いた風なことを語ろうと、落選すればただの人だ。特に衆院選の楚瑜選挙区においておやである。

マスコミは常に、次の総理候補に石破茂の名前を挙げる。公正な世論調査と言いながら、自分たちで世論を作り出して自分たちで調べるのだから、石破茂が上位に来るのは当たり前だ。何せ、オールドメディアの情報しか知らない人を相手に世論調査をするのだ。

いい加減、これまで石破茂を支持してきた人たちも、気づいたに違いない。地方の有権者や地元の有権者、メディアに出演した時、耳障りのいいことを言い続けてきた石破茂は、自民党の総裁になった途端、馬脚を表し、政治家としては大したことがないことがバレてしまった。おそらく、最後の最後に石破茂を推した岸田前総理もその取り巻きも、石破茂の実力を知り、落胆しきりだろうと思う。これが、石破茂の裏切りか、とも思ったのではないだろうか?

では自民党内部としては次のことを考え始めるのは当然だ。

この続きを読むには
購入して全文を読む

第二次トランプ政権に足りないもの

第二次トランプ政権の誕生

日本時間11月6日午後、日本の識者と言われる人々の予想はことごとくハズレて、トランプ大統領が誕生した。

意識高い系リベラルな識者は、単に自分の願望を述べていたに過ぎず、現実は残酷にも彼らの願いを断ち切ってしまった。曰く、これで世界はより一層、混迷の時代に突入するとお通夜状態だ。

世界のリーダーであるアメリカがリベラル政権を経て自国第一主義に回帰することで、ウクライナ支援もイスラエル支援も行われなくなり、親中政権が誕生することで中国が台湾侵攻するのを許すことになると警戒している。つまりトランプ新大統領は、リベラルからも保守からも警戒されていることになる。

トランプは『MAKE AMERICA GREAT AGAIN』を繰り返し、自国第一主義へと国民を先導する。アメリカ国内の分断は本当に深刻で、不法移民を含む野放図な移民政策を推進してきた民主党政権の遺産は、世論を二分しただけのことだ。それに憤っていたのが、都市部以外に住まう旧来のアメリカ国民であり、実はアフリカ系アメリカ人も現在の大量に溢れかえる不法移民に辟易しているのだ。

好調なアメリカ経済は、近隣のラテン系移民を呼び込むことになり、そのラテン系移民が、実はアメリカ社会の底辺を支えていることもまた事実だ。だが、今のアメリカ社会の分断の背景には、不法移民を含む移民政策そのものに対しての過度な保護政策がある。加えて、再生可能エネルギー推進のように、アメリカ社会全体のインフレを呼び込む政策がある。確かにアメリカ経済は好調ではあるが、一方、新型コロナ感染等、世界経済の成長鈍化の要因が大きく、反動は世界全体にインフレを呼び込んでいて、アメリカ社会も例外ではない。そして、ロシアによるウクライナ侵攻がエネルギー市場全体の不安定さの要因となり、失速した中国経済は、世界的な需要過多と反面中国国内の消費失速を招いている。

そもそも中国経済の指標はどれもアテにはならない。実態経済はマイナス成長に陥っている為、輸出に頼る中国は輸出品目もデフレに陥っている。供給過剰な製造業が鈍化することで、中国は国際社会での立場を悪化させているのだ。

アメリカ経済は消費によって回っているので、莫大な輸入品が必要になる。その大消費社会のアメリカを支えてきたのが、中国だ。勿論、今でもそれは変わらない。最近ではやり方が巧妙になり、以前はアメリカの業者が中国から物を仕入れていたが今では華僑がアメリカで法人設立してアメリカ企業に成りすまして中国の製品を大量にアメリカに送り込んでいる。アメリカの企業で物を買ったはずなのに、商品は中国から直輸入で届く。ところが、バイデン政権もトランプ前政権も、中国の覇権主義に業を煮やし、中国製品への関税をかけており、更に関税額を増すと中国を脅している。

それを恐れて第三国のペーパーカンパニーを経由してアメリカに商品を送ることもやってるようだが、そんなことをしたら、莫大な送料負担が増える可能性があり、中国国内の過剰生産品はアップアップの状態で行き場を失いつつある。

EU諸国は中国との経済的なつながりが強い国が多いが、ロシアのウクライナ侵攻が影響し、ウクライナNATO入りが協議されている中、ロシアを支援していると言われる中国の製品に対しては、アメリカ主導で経済制裁に近いやり方を検討したりしている。

何より、中国が最も恐れているのが、香港ドルと米ドルのペッグ問題。これは普通に考えればあり得ないことなのだが、もし、中国共産党が台湾に侵攻したり、これ以上太平洋の島嶼国や、最悪は尖閣諸島を奪いに来たら、アメリカは戦わずして勝つ方法として、真っ先に香港ドルと米ドルのペッグを止めるだろう。

古今香港~いまさら聞けない香港の「仕組み」--香港ドルが米ドルに連動しているわけ 〜ドルペッグ制の仕組み www.hkpost.com.hk

そんなバカなことが起きるわけないと言う人もいるだろうが、ロシアがウクライナに侵攻したように、イスラエルがイランを含む周辺国と第6次中東戦争の引き金を引きそうな深刻な事態になったり、今の国際社会は、何が起きるか分からない。

 

トランプ政権は親中ではない

また自国第一主義のトランプは親中だと言う誤った解釈をしている人もいるが、これは大きな間違い。トランプは親中などではない。中国は相手にしていないというのが本当だろう。アメリカの対中戦略が変化したのは、オバマ元大統領の頃からと言われている。中国のやりたい放題にやらせていたら、いつの間にかウォルマートやターゲットの商品が中国製品に埋め尽くされていた。アメリカの製造業の危機を憂えたオバマ元大統領が、徐々に対中強硬戦略に切り替えたと言われている。

そしてついに第一次トランプ政権の時、かの有名な通商法301条に基づき、追加関税を実施した。

301条対中追加関税の見直し結果と今後の展望(米国) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報米国のバイデン政権は、301条に基づく対中追加関税の対象品目の拡大や関税率の引き上げを発表した。一方で、適用除外対象品目も www.jetro.go.jp

トランプは大統領就任後、更に追加関税を設けると発表したバイデン政権の政策を変えるとは一言も言ってない。それどころが、同盟国日本における中国脅威論を米軍に置き換え、太平洋諸国の平和と安定の意味から、軍備増強を続ける中国に対して、太平洋における米軍を増強すると共に、経済的な中国への依存度を抑えると明言している。トランプの外交姿勢は実にシンプルで、余計な喧嘩はしないが、いつ喧嘩になってもいいような備えはしておくという考え方だ。

中国への依存度を下げるとなると、台湾における半導体技術がリスクになる。だから、九州と北海道に最先端の半導体工場が出来たことは、大きな意味があるし、トランプがこれを大事にしないわけがない。何より、最先端の半導体は、世界のごく限られた国でしか生産することができない。それが最強の同盟国である日本に出来たことは、非常に大きな意味を持つ。

実務重視のトランプは、台湾への依存度が下がっても、同盟国日本の半導体はなんとしても守ろうとするだろう。そうしなければ、アメリカ経済も困るからだ。ましてやアメリカの軍事力を重要視するトランプにとって、戦略物資の半導体技術は基幹どころか最重要品目。その意味で、中国を牽制する意味でも同盟国の半導体工場は守らなければならない。

では、ビジネスマン出身のトランプ大統領を分析する上で、要となる見方はどこか?

トランプ大統領誕生 | Blog - News - 山猫総合研究所 – 三浦瑠麗 yamaneko.co.jp

国際政治学者の三浦瑠麗氏は、第一次トランプ政権誕生のおり、以下のように分析している。

『トランプ現象とは、その本質において、保守的なレトリックで中道の経済政策を語ることなのです。それによって、伝統的な共和党支持層を取り込みつつ、新しい有権者の獲得に成功したわけです。辻褄が合わないところも、一貫性がないところもあるけれど、保守的なのはレトリックであって政策ではありません。エリートのほとんどは、この点をいまだに理解していません。トランプ氏について、移民排斥、女性蔑視、イスラム恐怖症、マイノリティー軽視などの過激発言が注目されてきましたが、トランプ氏は同時に、高齢者福祉は不可侵であり、公共事業の大盤振る舞い、一部の投資所得への増税を公約しています。これは、「小さな政府」が金科玉条の従来型の共和党候補から出てきません。トランプ現象を、白人貧困層の不満の捌け口に過ぎないと切り捨ててきたエリートは、この点は見誤っているのです。事実、トランプは白人中上位層からも幅広い支持を得ています。』
トランプ大統領誕生

この指摘は実に的確だと思う。

 

この続きを読むには
購入して全文を読む

日本の原理主義と衰退する宗教政治

先鋭化する社会

結論を先に言うと、日本共産党社民党公明党は同じ政党である。

いや、正確に言うと同類の政党である。

3党ともに信者に支えられていて、その点、何も相違点はない。これは多くの有権者が同意してくれるだろうと思う。

本来、宗教に支えられている政党は、革命思想を打ち出し、原理主義化し、先鋭化することで次第に別の団体との確執が起き、どちらか一方か、或いは双方、消えてなくなる。当初の共産主義革命思想や人間革命思想や社会主義革命思想はどこへやら。いつしか存立危機に屁理屈を言う始末で、自意識の高いリベラル風情同様、政治的イデオロギーはいつしか終焉することを意味している。

総括という名の拷問にしろ、対話という名の折伏にしろ、それは内部の内輪揉めに過ぎないのだが、手段が目的化することで、組織が瓦解するのは世の常だ。

そもそも、共産主義にしろ社会主義にしろ人間革命主義にしろ、一個人の内心に踏み込む民主主義を冒涜する考え方で、自然の摂理に則らない機械論的な人間の捉え方であって、本来、リベラルを自称する人はここを批判しなければいけない。ところが、日本も世界も、リベラルを自称する連中ほど、共産主義社会主義に親和性を見出す。近代言語学の祖である生成文法ノーム・チョムスキーは、アメリカのリベラル主義に多大なる影響を与えた一人であるが、彼自身、共産主義との対立を鮮明にし、むしろ無政府主義の重要性を説いた。これが、今に繋がるリベラル思想の源流にある。

また、何度も何度も書いているが、同じくアメリカのリベラル政治のもう一つの潮流であるジョン・ロールズの提唱した『正義論』(社会契約論と社会正義)に基づくリベラリズムがある。

チョムスキーロールズも、いずれもリベラリズムの源流を知る上で、欠くことの出来ない存在であり、政治的リベラリズムを語る上において、も同様だ。日本でリベラルの自称する人々の心象風景には、元を辿れば必ずと言って良いほど、この二人に行き着くとも言える。

共産主義革命思想だろうと、人間革命思想だろうと、社会主義革命思想だろうと、「革命」を旗印にイデオロギー化した政治思想に基づく政治活動は、日本で保守と言われている政治的立場をとる人々や政治家よりも、はるかに硬直して排他的になってゆくのは何故だろう?私は常にそれが疑問で仕方ない。

共産主義を標榜する団体や個人ほど、先鋭的で暴力的になる傾向があるように感じているのは、私だけではないだろう。

この続きを読むには
購入して全文を読む

今回の衆院選は革命である

衆院選前半の評価


衆院選の情勢調査によると、有権者の支持政党は(13日現在)自民党33%、公明党3.5%、立憲民主党13%、日本維新の会5%が主な支持率となっている。

【速報】初の石破内閣支持率調査!衆院選直前の政党支持率、比例投票先は?(選挙ドットコム) - Yahoo!ニュース 選挙ドットコムはJX通信社と共同で、10月12日(土)、13日(日)に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査 news.yahoo.co.jp 

これは選挙ドットコム調べだが、各メディアの調査内容は、そのメディアの特性が微妙に反映するので、数値は一律にはならない。ただ、左派政党支持のメディアであっても、それほど違わない政党支持率が出ているようだ。

この結果に、自民党関係者は大いにショックを受けていることだろう。日経新聞の調査に至っては、かつてないほどの低支持率のままだ。もっとも、野党の支持率も押し並べて低い。

石破内閣支持28%、発足時最低 時事通信の世論調査 - 日本経済新聞 時事通信が11〜14日に実施した10月の世論調査で、石破内閣の発足後初の支持率は28.0%だった。発足時としては、2000www.nikkei.com 

自民党政治資金規正法上の不記載問題が話題になりながらも、国民の意識はそんなことはどうでもいいから、現状のコストプッシュインフレへの対策をなんとかしてくれ、と言うのが本音だろう。地方で人気があったとされる石破茂にしても、期待とは裏腹に、言うことが二転三転したことで、一体改革派と言われた石破茂はどこに行ってしまったのか?という有権者の落胆が支持率に表れている。

自民党も大したことが無いし、立憲民主党をはじめとする野党も大して期待は出来ないと言う不幸が、今の日本の現状であることは、既に拙稿で何度も触れている。その中で、迎えた今秋の衆院選に、何を期待して、どこに投票すればいいか?が有権者の悩むところだろうが、前回の拙稿でも触れたように、だからと言って、野党に政権を委譲するのは最も悪手と言わざるを得ない。

今回の表題に「革命」と付けているのは、左派リベラルのポンコツ政党、違った、自称意識高い系の政党、違った、頭のあまりよろしくない人々が大好きな革命思想を言っているのではない。旧来の自民党が統治してきた政治体制への変革ではなく、選挙に対する有権者の意識が大きく変革すると言う意味での革命だ。

そして旧来の有権者の在り方は、これも言い古されているが、オールドメディアが作り上げようとしている世論に、あまりにも誘導されてきた意識に気づくべきで、同時に、それで政治体制を作るのではなく、有権者自身が他人の情報に左右されない政権選択をすべき時に来ていると言うことだ。

この続きを読むには
購入して全文を読む

衆院選後

立憲民主党の現実

一強多弱と言えなくもない日本の政局は、自民党の党内政局の果てに、石破茂というどうしようもない総理大臣を生み出すことになった。

それもこれも、政治資金規正法上の不記載問題が生じ、最も簡単に政権交代が出来てもおかしくない状況にありながら、それを成し得ない脆弱な野党陣営によるところが大きい。これは再三に渡り指摘したことで、つまり今回の衆院選政権選択選挙などとも言えない、有権者の悲哀の一つの現れなのだ。だからこそ、弱々しく主張に乏しい野党陣営に政権を渡してはならないとも言える。

立憲民主党無党派層にも一定の支持があると言われている野田佳彦元総理を代表に立てることで、立憲民主党支持者のみならず、自民党に不信感を抱いている有権者の取り込みに必死だ。

先日のReHacQでは、立憲民主党の小西ひろゆきと中馬一馬前衆議院議員が出演し、ひろゆきと西田亮介日大教授とで、今回の衆院選を踏まえつつ立憲民主党の今後について討論を行った。その中で小西ひろゆきひろゆきの質問を理解出来ず、自己主張に終始し、相変わらず簡単なことを4倍くらいの時間をかけて小難しく回答するということを繰り返していた。

ひろゆきは、ああ見えて思想性としてはフラットであって、討論の場での自分の立ち位置を意識しつつ、討論の中身そのものが前進することに終始している。その結果、相手の言ってることの矛盾点や、疑問点を突いているに過ぎないのだが、小西ひろゆきは喧嘩を売られているくらいにしか思ってないのだろう。

ひろゆきと共演した小西ひろゆきは、常にひろゆきを言いくるめること「しか」考えていない。それを小西は「論破王を論破する」と言ってるが、聞いてるこちらは、論点のすり替えでしかなく、論破でも何でもない。国会の質疑と同じで、ご自分は東大卒で経産省出身のエリート意識が腐臭となっていることに気づかず、ひたすらに頭がいい自慢を繰り返している。それは、有権者視点から見ると、腐臭なのだ。臭いのである。

選挙を控える中谷は、立憲民主党を見る有権者の厳しい目を知ってか、小選挙区有権者を意識して、随分と下手に出ていたようだ。もともと、謙虚な人物像ではあるが、立憲民主党臭が拭えない議員の一人である自分をどう感じているのだろう?今回の衆院選で、立憲民主党臭を党としても自分自身も払拭したいと感じているように感じた。つまり、立憲民主党仕草は、小選挙区から当落線上で喘ぐ議員にとっては鬱陶しくてならないのではないだろうか?だから、エリート臭と鼻持ちならないリベラル臭を漂わせる小西ひろゆきなど、鬱陶しくてならないんじゃないだろうか?その辺りは、率直な中谷の意見を聞いてみたいものだ。

ひろゆきは討論の中で、論点を簡潔に表現できないんですかね?と疑問を小西ひろゆきにぶつけており、「小西さんは姿勢を変えるつもりはないんですね」と、有権者の誰もが感じている小西ひろゆきの問題点を喝破した。それは中谷が一番言いたいことなんじゃないだろうか?

小西ひろゆき改憲論、護憲論、国会議員の憲法遵守義務などを聞いてると、いつまで経っても国会で改憲発議など出来ない。つまり、小西は自らを憲法学者と評しながら、言ってることの矛盾に気づいてない。有権者はとっくに小西の矛盾に気づいてるのに、スネ夫顔ご本人、違った、小西ひろゆきご本人は憲法学者の立場と国会議員の立場の双方を自認しているからこその矛盾に気づいてないのかもしれない。

この続きを読むには
購入して全文を読む

それでも私たちは自民党に投票するしかない

日本の政治の不幸は選択肢が無いことだとも言えるが、一方、先の大戦後、日本には自由と平等のある社会を民主的な政治体制によって構築するという制度が輸入された。

イギリス議会の様式を採用した大日本帝国政府は、自由と平等を旗印にして世界の覇権を握ったアメリカに倣い、半ば強制的ではあるが、新たな日本国憲法によって、新たな時代を迎えることになった。

日本に民主主義が無かったわけではなく、明治以降、制約はあるものの民主的選挙は行われてきた。また、昭和に入ってからも非公式ではあるが共産主義活動も行われてきた。天皇制を敷く日本に対して、天皇制と王制を勘違いした戦前の共産主義者は、地下に潜る形でセクトを構成し、共産主義革命を夢見て若者やインテリ層の洗脳活動をせっせと行ってきた。元々、欧米の民主主義国家以上に自由があった日本にとって、確かに富裕層、貴族、華族が統治の特権階級と言えなくも無いが、そんな『るろうに剣心』的歴史認識も間違ってはいないが正しくはない。

確かに帝国陸軍の暴走による戦禍はあったとしても、それを権力の暴走と解釈するのは、正しい歴史認識と言えるかは、大いに疑問だ。何となれば、今のロシアの屁理屈のように、当時の日本の歴史観と国際社会を見る目は、今とは大いに違っていたのだ。つまり、その時代はその時代の国家としての意味があった。当時、確かに左翼主義者が天皇制や軍国主義を批判していたとは言え、また、軍部に関わらない地方都市の住民が戦争に突入することに抗うことが出来なかったのは厳然たる事実であって、戦後日本の法曹界、芸能界、報道各社が一気に左傾化したのは、歴史上に現れるイデオロギーの振り幅が故とも言えるだろう。

戦後数年間、日本の左翼の強がりは最高潮だった。軍国主義がもたらしたとされる戦禍は、300万人の日本人同胞の死に繋がったことが最大の理由だ。これにより、日本人は戦争アレルギーが増し、同時にアメリカと対峙する共産主義国家は、日本を共産主義化することでアジア全域に共産主義を拡大しようと試みた。それがあの手この手による、日本左傾化の主因だ。

ところが、至る所で繰り返し述べているように、共産主義自体が人類に否定されたイデオロギーであり、もはや共産主義者の革命思想は行き着く先のゴールを失ったと言って良い。中国共産党は革命思想が未だに続いていて、彼らの論理から言えば、華夷思想に基づく漢民族支配こそが正しいのだという間違った論理だ。本当に漢民族が世界で最も優秀な民族か否かは不明だが、漢民族が世界を支配「すべき」だと言う「べき論」が中華思想の源泉にある間は、漢民族は世界から認められない。しかし、漢民族が世界を支配するまで、華夷思想を掲げ続けるだろう。その華夷思想共産主義を結びつけたのが、福井準造の『近世社会主義』に端を発する日本の社会主義思想だったことを忘れている人は多い。中国共産党の源泉は日本だった。三国志の時代から現代まで、中国の統治観は変わることはない。清国を倒し中華民国を設立したが、その中華民国を倒して共産主義革命と漢民族華夷思想とを重ね合わせた思想性は現在に至るまで生き続けている。しかし、台湾に中華民国政府が存在している以上、中国共産党の革命は終わっていない。

中国共産党GDP世界2位まで経済を伸ばしたと自慢するのに、政治イデオロギー的には、一向にその革命思想は成就しない。中華民国政府を倒してこそ、中国共産党の革命思想の実現の筈が、全く、それが進んでいない。だから習近平の革命思想の根幹である祖国完全統一の思想も終わらない。そしてそんな絵空事を馬鹿馬鹿しいと感じているのが中華人民共和国国民でもある。中国国民は、祖国統一など全く関心が無い。それより、地盤沈下した国内経済をなんとかしてくれと言うのが、本音中の本音だ。

既に中国ウォッチャーや専門家と言われる人々から、中国国内の経済状況の実態や、若年層の失業率等、厳しい現状が報じられており、情報統制を敷いている中国共産党から本当のデータが出てくることはないと思うが、その数字が真実と乖離しているとは言えないだろう。繰り返すが、漢民族による華夷思想と革命思想を結びつけた一党独裁制度は、共産主義者以外を排斥すると言う態度を崩していない。つまり、革命思想の無き人は、全て共産党の敵であり、資本主義は労働者を苦しめているのだから、労働者を解放して民衆の手に平等な社会を取り戻そうとの点前を崩さない。つまり革命思想を堅持する中国共産党こそが正しいのであり、決して間違えることは無い無謬性を有している。だからこそ、実態を隠し、表面を取り繕っていけば国民を騙し続けられると考えている。

この理想主義や国民を平等にするという謳い文句の危険性は、平等と同時に自由を国民から奪うものだ。私が共産主義を批判し続ける理由の根幹は、まさにこの一点にあると言ってもいい。確かに平等も自由も、人間が生きていく上において欠くことは出来ない。日々の生活の糧は収入であるが、その収入に職業選択の自由があるからこそ、相互補完する人間社会が形成される。そして、労働に対して一定の等価性が維持されるからこそ、平等な社会が実現するのだ。この自由と平等の両立を行なってきたのが、戦後の自由民主党的な政治体制だと言って良い。

自由に偏することも平等に偏することも、どちらもバランスを欠く。自由と平等の相剋の実態が国家を形成してきたアメリカを見れば、未だ、その答えは出ているとは言い難い。

一方、外国文化を上手に取り入れながら独自の文化を形成してきた日本は、島国であるが故に陸続きの国とは違う発展を遂げ、今日に至っている。これも以前から言っていることだが、日本こそが自由と平等が保障された理想的な社会主義国家と言えるのだ。つまり、自由民主党が作り上げてきたものは、右も左も、保守も革新も包含した統治機構であり、どちらに偏することもない、理想的な体制なのだ。

石破茂新総理になり、解散総選挙を目前に控えた状況で、自民党への風当たりが強い。このままいけば、自民党は大きく議席を減らすことになるかもしれない。しかし、自民党に取って代わる野党がいない以上、我々に選択肢は限られている。

総選挙より重要とも言える自民党総裁選において、党内政局のパワーバランスの結果が石破茂新総裁に帰結したが、これが正しい選択だったとは言えない。それは現在の政局を見れば、一目瞭然で、新総理の力量で選択された新総裁ではなく、党内政局のパワーバランスから生まれた新総裁だからこそ、石破茂新総裁、新総理は、ブレにブレている。繰り返すが、石破茂の力量が総理総裁の地位に上り詰めたのではない。パワーバランスの結果に過ぎないのだ。だからこそ、私は石破茂に票を投じた国会議員を猛烈に批判した。石破茂が変節して言うことがコロコロ変わるのは当たり前で、彼は総理総裁になることが目的で、日本の方向性などまるで関心がない。彼は党内政局に打ち勝つことが目的であり、その先にあるものは何もない。だから岸田政権の継承を言うしかないのだ。

石破茂が誕生したキングメーカーは菅元総理と言われているが、真のキングメーカーは岸田前総理だろう。岸田前総理も、石破茂に期待など寄せてはいない。岸田前総理が見ているのは、石破茂の次の総理総裁だ。今の自民党議員の政治資金不記載問題の沈静化を図るのが、石破茂の使命であり、石破茂は国民の期待を裏切ることで役目を終え、次の政権に引き継ぐことになるだろう。

経済対策にしても外交安保にしても、石破茂の変節は酷い。近代の総理総裁の中でもかなり酷い方だと思っている。これも何度も何度も言ってることだが、彼には理想など何も無い。リーダーの器では無いのだ。だからこそ、地上波で改革開放の旗手と持ち上げられる。つまり、自民党内にあって自民党内を批判する役割が石破茂であり、それ以上でもそれ以下でもない。テレビのコメンテーターが彼の役割なのだ。

石破茂新総理批判をする人は、彼の本質を見抜いている人だと断言しても良い。

今回の衆院選自民党は大きく票を減らすかもしれないが、その本質は、自民党議員への批判票ではなく、石破茂への期待の裏切りだと言って良い。石破茂が最初に国民を裏切った結果だ。しかし、これで終わらない。石破茂は次に緊縮財政と増税で二度目の国民への裏切りを行うだろう。

それでも尚、自民党に票を投じるしかない日本国民は、ある種の不幸を背負っている。

唯一の希望は、大きく議席を減らした石破政権が早期退陣を果たし、新たな日本のリーダーが生まれるまで、忍の一字で待つことだ。

そして、それは現有野党では決してない。

この続きを読むには
購入して全文を読む

アジア版NATOは、石破茂の甘さの表れ

過去、似たようなことを言ってたとぼけた総理大臣がいた。鳩山由紀夫と言う。もう既に過去の人であり、自他ともに認める宇宙人なので、今更、鳩山由紀夫を取り上げるのもどうかと思うが、ともかく、石破茂同様、似たようなことを言ってた人がいたのも事実だ。

鳩山由紀夫は経済圏としての東アジア共同体構想であり、今回、石破茂は欧州のNATOのような軍事的互恵関係の枠組みを構想しているように聞こえる。

鳩山総理によるアジア政策講演 アジアへの新しいコミットメント-東アジア共同体構想の実現に向けて-(仮訳) www.kantei.go.jp 

鳩山由紀夫東アジア共同体構想は、友愛の精神のもと、アジア諸国が皆で幸福になりましょうという、綺麗事に彩られた構想で、その核となるのが、
日本製品アジア諸国で普及しても、日本でアジア諸国からの輸入が増えても、それだけで相互理解が実現することはありません。「人と人との触れ合い」を通じてはじめて、我々は真にわかりあえます。その技術、道具を互いに学びあうことも大切です。こうして我々は、様々な協力を始めることができるのです」
と言う、いかにも美辞麗句を並び立てただけの言葉の羅列に過ぎない。

経済発展を遂げていた中国の台頭を踏まえた時、デフレ不況に喘いでいた日本にとって、中国経済は不可欠であると同時に、日本の技術を中国サマに無条件で提供しようと言う風にも聞こえる。

これに猛反発したのが時の自民党政権だった。それは当然だろう。何を好き好んで日本が世界でプレゼンスを獲得するための経済の柱となる革新的技術を、中国サマの為に提供しなければいけないのか?しかも、中国共産党は1990年代以降より進めてきた経済発展の裏で、国策として様々な謀略に関して警戒感を強め始めた矢先、美辞麗句に彩られた鳩山由紀夫の言い回しは、日本を中国に売り渡すかのような聞こえ方をしたのも当然だ。

加えて、これも当時から指摘されていたことであるが、尖閣諸島に関する鳩山由紀夫の見解はほとんどの日本人の考え方とは真逆のものだった。

嘘つきな鳩山由紀夫元首相。「尖閣諸島は『日本が盗んだ』と思われても仕方がない」発言、していた(篠原修司) - エキスパート - Yahoo!ニュース 昨日25日、鳩山由紀夫元首相が香港のフェニックステレビの取材に対して「(中国側から見れば)尖閣諸島は盗んだと思われても仕方news.yahoo.co.jp 

近隣諸国と経済的連携を踏まえながら、相互に発展を図るのは、国家としては理想形であると思うが、一方、軍事力を背景に他国の主権を侵害するような行為に対して、一定の警戒感を持つのは、個別的自衛権の範疇で当然であり、その意味で、あたかも自国の国益を害するような発言を現役の総理大臣、或いは元職の総理大臣が行うことは、国民に対する一種の裏切りとも言えないだろうか。理想は理想として大切にすればいいが、一方、その理想ばかりが先行することで国民に不安感を及ぼすような総理大臣が、果たして、国家と国民のリーダーと呼べるのだろうか。その疑問は拭えない。

日本は戦後、GHQの管理を経て現在の主権国家たる日本のあるべき防衛の形を模索してきた。その帰結として、現在の日米安保の在り方が見出されてきた。

石破首相、日米地位協定の改定に意欲 「同盟強化」強調 - 日本経済新聞 石破茂首相は1日の就任記者会見で、日米同盟を強化するため地位協定の改定をめざすと明言した。自衛隊の能力向上を目的に訓練基地 www.nikkei.com 

石破茂は、現行の日米安保を覆すものでもなく、自衛隊の修練も含めた地域に関して、アメリカに協力を求める、つまり安保条約と日米地位協定は別物であって、日本がアメリカに基地提供し協力しているように、相互主義アメリカにも自衛隊に対して協力してもらうのは当然だ、との認識のようだ。これも、一見、尤もらしい言い分に聞こえるが、そもそも、日米地位協定という非常に高度な外交問題に関して、アメリカに事前協議を行った上で発言しているのか、大いに疑問だ。

仮に日本のそれが相互主義、或いは互恵関係の一環だと言うなら、実質的に国連決議の中身にも抵触する問題であり、国際的にも最高度に位置する日米安保上の問題にも発展しかねない。

それに加えて、アジア版NATOの創設に中国の加盟を否定するものではないかのような発言があったとなれば、アメリカとの同盟関係に亀裂を生じかねない。

石破茂氏のアジア版NATO構想は反米か媚中か? 島田洋一、月刊「正論」で批判 - 月刊正論オンライン 過去に防衛大臣などを歴任した石破茂氏が、自民党総裁選出馬にあたり発表した基本政策の中に、「アジア版NATO」創設があった。 www.sankei.com 

総裁選を経て総理大臣に就任し、10月1日の組閣には、森山自民党幹事長の意見が大いに取り入れられたと言われている。今回の組閣に関して、安倍派、二階派外しを露骨に行ったこと、また、総裁選本選において麻生派を出し抜いてキングメーカー菅元総理の働きを重視したことが、自民党内の融和を欠いた人事となったことを懸念する識者は多い。

幸いにして、再三、触れているように、現状で野党の支持率が低下している中において、総選挙をやったとして、自民党議席を減らしたとしても、野党が政権を奪取する可能性は限りなく低い。であれば、減らせた議席数にもよるが、新総裁の責任論を追求するまでには至らないだろう。

ましてや、鳥取選挙区で絶大な支持率を誇る石破総理は、万が一にも小選挙区議席を落とすことはない。つまり石破茂がアジア版NATOなどという妄想を抱き、自民党総裁選で打ち出したのは、自分が総裁になれば、という大前提で自ら理想としてきた安全保障のあり方を言葉に表したが故だ。

地方の有権者は、石破茂が尤もらしい顔で、なんだか小難しい外交の話、安全保障の話をすれば、石破は日本国と国民の安全保障を本気で考えていると勘違いするのも分からないではない。少なくとも、ここ20年くらいの日米安全保障の現状を見てきた人間には、石破茂の言うアジア版NATOの幼稚な理論、安倍元総理が苦労してようやく形にしてきた「自由で開かれたインド太平洋」構想、岸田前総理がこぎつけた「インド太平洋経済経済枠組み(IPEF)」の努力を霧散させるほど、幼稚な理論なのだ。

そして、石破茂は左派リベラル議員の多くが言う、中国と外交によっての結びつきや問題解決は可能とする甘えた考えの具現でしかない。鳩山由紀夫もそうだが、アジア全体でイニシアチブを持つためには中国と連携するのが良いと考えているのは、実に甘い考えで、中国と連携すると言うことは、単純に生贄が必要で、中国はそれを日本国民と日本領土に求めてくる。そして中国は自らの巨大な市場を日本企業に提供すると言うが、実際は中国の国内法を優先して日本企業の好きにさせないし、武力による牽制を行う。これが中国の華夷思想に基づく戦狼外交そのものなのだ。

言わば、石破茂は外交のあまちゃんなのだ。

この視点を抜きに、石破茂の外交を語ってはいけないのである。

石破総裁は本当に解散総選挙するか?

5回目の挑戦で漸く、念願の自民党総裁という地位を得た石破茂であるが、では、今の情勢の中で即時解散する勇気が石破茂にあるだろうか?

早速、各メディアで早めの解散総選挙有権者の信を問うと、大袈裟に風呂敷を広げているが、私はその胆力も、先を見越した戦略も無いと考えている。

自民 選対委員長に小泉進次郎氏 石破新総裁が起用の意向固める | NHK 【NHK】自民党の石破新総裁は、今回の総裁選挙で争った小泉進次郎氏を党の選挙対策委員長に起用する意向を固めました。www3.nhk.or.jp 

早々に小泉進次郎氏を選挙対策委員長に起用する意向があるやに、情報がリークされているが、それで自民党が今の議席を守れるかは、大いに疑問だ。確かに進次郎は、国民人気もあり、周囲は百戦錬磨のブレーンが固めている。しかし、今回の総選挙で古い自民党を刷新する旗頭として総裁選に出てはきたが、結果は、思わしくはなかった。

もっとも、進次郎の場合、父親の小泉純一郎氏から、まだ早いと言われていた中、総裁選出馬を決めた。進次郎氏としては、早々に総裁職に就て、党内での自らの派閥形成の地盤を作るも良し、仮に総裁になれなかったとしても、一度、総裁選に立候補し一定の支持を集めたとなれば、次の総裁選に出馬の資格を自動的に得たと考えるのが自然だ。また、一定の議員票を得たとなれば、党内での発言権が大いに増すことになるだろう。どっちになっても進次郎にとって悪いことにはならない。

一方、石破茂としては、これ以上進次郎が党内で発言力を増したり、勢力図が変わるような動きをされると、ただでさえ党内人気の無い石破茂としては、目の上のたんこぶになりかねない。また、来る衆院選において新しい自民党の顔として進次郎を選挙の最前線に立たせることで、自民党の下野を食い止めるということだろう。選対委員長ともなれば、全国を飛び回って候補者の支援を行うことになり、仮に衆院選で惨敗などすれば、当然、総裁の責任問題と共に、真っ先に詰腹を切らされるのは選対委員長である進次郎だ。つまり、人事によって、党内の力関係に楔を打とうと考えているのだ。

石破茂らしい、浅はかな考えだと思う。

本当に衆院選議席を確保したいなら、まず、自民党の地方票を固める必要があると同時に、比較的弱いとされる都市部での票固めを考慮すべきで、都市部は浮動票がかなりの割合を占めているのだから、むしろかなりの党員票を確保した高市早苗氏に選対委員長をお願いするのが妥当だと言えなくもない。

ただ、次の総裁選を睨んでいる高市氏が、選対委員長などで満足するとは思えず、また石破総裁による抑え込みも勘案すれば、当然、選対委員長など受けないだろう。高市氏が固執するとすれば、それは内閣人事ではないかと思う。

いずれにしても、既に早期解散が報じられている以上、衆議院議員は選挙モードに突入しているだろうし、来週になれば、為替と株価が出てくる。

新総裁誕生で「石破かよ」「日本終わった」続々トレンド入り なぜ「石破ショック」起きたのか(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース  自民党の新総裁に石破茂元幹事長(67)が選ばれ、次期首相になる見通しになると、一転して円高が急速に進み、日経平均の先物取 news.yahoo.co.jp 

石破茂自民党新総裁になった途端、為替も株価も軒並み、市場の落胆を表すような数字が出ている。SNS上でも、石破茂新総裁に落胆する声が相次いだ。安倍晋三時代を知り、安部政治を継承した経済政策を、菅元総理、岸田総理と継承したことで、株価は上昇し、有効求人倍率も高止まり、賃金も上昇機運になっている。せっかくの好景気に入りかけ、デフレ不況から本格的に脱却出来る筈だったのに、財務省脳の総理が誕生するとなれば、有権者の落胆は計り知れないだろう。デフレ日本の地獄から漸く明るい兆しが見えてきたのに、自民党の旧派閥政治が、それを全く無意味にしてしまうと感じたのだ。

この続きを読むには
購入して全文を読む