倉沢良弦『ニュースの裏側』

いろいろ、書いてます。お仕事のご依頼は、ryougenkurasawa@gmail.com。

結局、誰が勝つの?

今回の衆院補選は折り返しを迎え、現時点での大勢は立憲民主党有利と言えなくもない。

中でも注目の的になっているのが東京15区だが、自民党としては唯一候補者を出している島根選挙区が重要になってくることは間違いない。と言っても、ここで大胆な仮説を立てると、今回の補選、むしろ自民党は勝つ必要は無いと考えているのではないだろうか?

同様の考え方は、拙稿で折りに触れて取り上げている通り。

つまり、昨年末の段階の自民党の考え方と、今年に入って以後は大きく変化していると見るべきだ。政治の世界は生馬の目を抜く世界であることは再三、触れてきた。その中で生き残る程度のことが出来なければ、政治の世界を渡り歩くことなど叶わないことも触れてきた。

これまでは、自民党議員に限れば、党内派閥の影響があまりに大きく、選挙で他党と戦い、次に自民党内で力を蓄える必要があった。国会議員を志した以上、いずれは総理大臣を目指すのは当然だろうし、数多くの名だたる国会議員がそう述懐している。

自らの選挙区で世間の審判を受け、次に自民党内での勢力争いを視野に入れながら、順当に党内の役職、政権内での役職を経ていくのが慣例であった。

ところが、自民党内の派閥による政治資金不記載問題に端を発し、自民党全体の派閥再編の動きに至っているのが現状だ。私は、自民党内の派閥は無くならないと考えているのは、以前も触れた通り。

そして、自民党に代わって政権を維持できる政党は今の野党には無いのも、以前から触れている通りだ。

むしろ、今、東京15区で問題になっている選挙妨害問題は、自民党には追い風になると考える。

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新旧交代する東京15区

東京15区の騒ぎの本質

自民党が立候補者擁立を回避したことで、今回の補選よりその先にあると言われている解散総選挙の方が注目が集まっている。

東京15区の騒ぎはその表れでもあって、諸派が入り乱れており、その主張もバラバラだ。とはいえ、今回の東京15区で起きている選挙妨害行為については、各党からコメントが出されるほど、過去に例を見ない状況になっている。と言うのも、SNSや動画サイトが発達した結果、今回のような選挙活動と称して再生数を稼ぐお金儲けの手法が広がったことで、選挙はお金になると勘違いした輩が、出現してくるようになった。

確かに政治的主張も幾分かはあるだろうが、それなら他候補の演説の邪魔をしたりなどする必要もなく、自らの主張を粛々と行えば良いのだが、彼らの目的はお金儲け以外には無いので、とにかく話題を作ることを主眼としている。

彼らのやり方について、過去に彼らと同じようなやり方で再生数稼ぎと売名を行ってきた立花孝志氏は、自身のYouTubeチャンネルで自戒も込めて次のようにコメントしている。

ようはお金目的の為の選挙活動であり、彼ら自身が議席を獲ろうなどとはハナから考えていはいない。それよりも、広告料と寄付金をアテにしているだけの話で、今回の衆院補選が終わっても、別の選挙で同じことを繰り返すだろう。つまり、くだらない選挙妨害行為を止める手段は、結構、限られていて、選挙期間以外で常時マークしておいて、違法行為があれば現行犯逮捕してブタ箱に入れるか、現在のYouTubeチャンネルを潰せば、彼らは迷惑行為をやる意味がなくなる。

そもそも、ほとんど支持者がいない状況で、本当に当選して税金で飯を食えるようになるならともかく、これだけの迷惑行為の目的は当選など考えていないことは明らかだ。にも関わらず、迷惑行為、選挙妨害行為をやめないのは、他に目的があることは明らかだ。

そして一連の迷惑行為、選挙妨害行為がエスカレーションしている経緯は、立花氏が動画の中で詳細を説明している。

各党の議員にしても、前代未聞だとか、問題だと言う前に、ことの経緯を調べるべきだと思う。その上で公選法改正に言及するなり、すべきであろう。確かに今回の衆院補選で当選したとて、解散になれば失職する。その意味で、前回の拙稿で触れたように、自民党は今回の3補選は動向は注視するだろうが、むしろ静観の構えだろう。特に岸田総理は、混乱をきたす解散は望んでいないにしても、伝家の宝刀を抜くタイミングは見極めていると推察する。

衆院東京15区補選 候補者一人一人の横顔は 元職・新人の9人で争う激戦に 衆院東京15区(江東区)補欠選挙には元職・新人の9氏が立候補し、激しい戦いを繰り広げている。投開票は4月28日。9人の横顔 www.sankei.com 

少なくとも、現在の情勢を踏まえると、東京15区は立憲民主党の酒井候補がややリードの展開かもしれない。確かに都民ファーストが支援しているとはいえ、乙武候補については小池都知事の経歴詐称疑惑が大きく影響していることは否めまい。

そして、確実に票固めを行いつつあるのが、日本保守党かもしれない。日本保守党は初陣として十分に知名度を上げる効果はあっただろうし、バカどもが妨害行為を繰り返したことがむしろ良い方向に影響したとも言えるだろう。

日本維新の会候補の金沢氏にしても、東京選挙区の有権者が大好きな若い女性候補というのが良い影響を与えていると思う。また、大阪の吉村知事が応援に訪れたのも、影響が大きかったと思う。

奇しくも3女性候補が強みを発揮している展開ではないだろうか?

国会議員には女性が少ないと言われるが、少なくとも今回の衆院補選に出馬している女性候補は、東京都という土地柄、有権者に大きな意識転換を与えているのは間違いないだろう。演説内容を聞いていても、これら女性候補者の声には一定の力強さを感じるし、それらと比較した時、スキャンダルで国会議員を断念した過去を持つ乙武候補はやはり不利にならざるを得ない。加えて、秋元候補は汚職事件で実刑判決を受けていたり、党としての知名度アップを狙う福永候補は、選挙活動そのものを行っていない。また、須藤候補は政治実績に乏しいし、根本は話にならない。

私は東京15区は女性の3候補に絞られたと考えている。

そして繰り返すが、私は今回の補選によって今後は国政選挙において女性候補が増加するだろうと見ている。元々、リベラルな有権者が多い東京ではあるが、有権者としては、投票先を考えあぐねているのが現状ではないだろうか?

と言うのも、無党派層が増加しているその背景にはやはり都市部の有権者には、党派性を問題視しない人が増加傾向にあるのではないか?と思えてならない。

そもそも有権者無党派層が増えることや、投票率が上がらない背景は、日本の社会が安定していることが考えられる。この点も、幾度が指摘してきた。マスコミや野党支持者は、これまでの自民党政治に対して有権者がノーを示しているから無党派層や投票に行かない人が増えていると言うが、それは違う。政治に対して何も関心が無いからこそ、党派性に拘らず、また投票に行かなくても良いと判断している人が増えているに過ぎない。政治に何も期待しないのではなく、何を変える必要があるんだ?というのが有権者の本音なのだ。本当に日本社会がどうしようもなくなったら、有権者は投票行動を起こす。2009年衆院選において政権交代が起きたことを忘れているのだろうか?政権交代は起きたのである。有権者自民党政治に抗議の行動をおこなったのだ。

つまり、日本という国には厳然として民主主義が機能しているのである。

その上で、今回の衆院補選、特に東京15区を見るに、敢えて自民党が候補者擁立しなかったことで、自民党なき選挙に有権者がどのような投票行動を起こすかが大きな注目点になっている。一部には、党派性を踏まえない候補者自身の政治信条や人間性が問われる選挙だと評する人もいるが、繰り返すが旧民主党による政権交代が行われたことで、既に日本の有権者の本質は明確になっている。それは最大党派が無党派層になったことで明確ではないか。

 

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解散前夜

衆院3補選と岸田総理の本音

今回の東京15区、島根1区、長崎3区の衆院補選は現在のところ、自民党の2戦敗は決定している。島根1区については、立憲候補の亀井亜紀子氏が知名度の点で一歩抜きん出ている印象がある。ただ、島根は保守王国とも言われ、元々、自民党の強固な基盤があった地域であるため、自民党県連が一枚岩になれば、或いは錦織候補の勝利もなくはないという状況だ。

自民党選対は、今回の3補選に積極的に候補者擁立を見送った形だが、それは解散総選挙の可能性を睨んでのものだろう。

東京15区は、私は乙武候補有利と思っていたが、小池都知事学歴詐称疑惑問題が再燃したことで、その可能性は低くなった。都民ファーストが全面的にバックアップしているのは間違いないが、さりとて無所属で出馬せざるを得ない状況は、予測を困難にしてしまったと言える。乙武候補は前回出馬の折もスキャンダルにより断念した経緯があり、今回も自分のことではないとは言えど、混乱を呼び込んだ。つくづく、この人は国会議員に縁が無いのかもしれないと思わないでもない。

とまれ、今回の補選を解散に向けての試金石とする見方は、ここに来て様相が変わったと感じている。

むしろ、結果次第ではあるが、岸田総理の腹づもり一つで政局が大きく変わる展開になってきたことを踏まえると、岸田総理の運の強さを感じる。自民党は派閥解消に追い込まれ、野党は選挙対策が不十分なままだ。与野党ともに岸田総理の気持ち一つでいくらでも状況が変わるし、言い換えるなら、今、国政で最も強力な立場にいるのが岸田総理ということになってしまった。

今回の訪米は、内外ともに反響が大きく、アメリカの対中政策にすら少なからず影響を与えているし、野党は日米安保の一線を越えたのではないか?と外交委員会等で小西ひろゆきなどが騒いでいるが、逆に、日本政府が安全保障上、過去と一線を画す段階に踏み込もうとしていることで、新たな枠組みの時代に突入したことを示している。むしろ日本国民がそのことを実感できるが故に、野党がギャーギャー騒いでいるのだ。野党が騒ぐことは中国も同様に騒ぐ。彼らはある種、一蓮托生で自民党政治が大嫌いなので、騒ぐのである。このあたりを踏まえて、外交や安全保障問題を見ていくと、日本政府の立ち位置が鮮明となるだろう。

アメリカはウクライナイスラエルの二正面状態の中、対中戦略、対北朝鮮戦略の上で日本と韓国を重視している。安倍元総理がインド太平洋の安全保障という概念を打ち出したことで、AUKUSが生まれたと言ってもいい。つまり、安倍元総理は太平洋の安全保障の在り方を変えた。ここが、歴史の大きな転換点だった。岸田総理は、その安倍元総理が作り上げた新たな安全保障の枠組みを継承している。その上で、今回の訪米における岸田総理のスピーチを読む時、アメリカとの関係性に重要な指針を示していると言っていいだろう。岸田総理は、来るアメリカ大統領選を見据えている。共和党にも民主党にもいい顔をしただけだと酷評する前に、その中身を読み解けば、ある種の周到さも感じるのだ。中国の近隣諸国への武力と経済力を背景にした圧力を、むしろ逆に利用しているとも言える。

米国連邦議会上下両院合同会議における岸田内閣総理大臣演説

もちろん、今の自民党への逆風がある中で、同盟国アメリカでのスピーチの内容は、解散総選挙自民党総裁選を控えながら果たしてどこまで踏み込むべきか?との疑問はある。あるのだが、少なくとも、岸田総理自身は解散総選挙のキャスティングボードを握っているのは確かであって、つまり、今の時点で仮に解散しても野党に勝ち目は無いことも見越しているし、有権者目線で見ても、今の野党に対して自民党に成り代わって政権担当能力があるなどとはとても思えない。

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賃上げと財政出動と解散と

今年度の賃上げ後の動向

今年の春闘は、上場企業を皮切りにバブル期を超える勢いで賃上げが進んでいる。

現在は、中小企業がどの程度追従出来るか?が目下の関心事だ。一方で、実質賃金が上がらないとの報道が目立つ。もっとも、この数字は2月までの速報値で、インフレ率も含め、春闘の数字は反映されていない。

実質賃金、プラスは夏以降か リーマン時に並ぶ23カ月連続減―2月調査

NHKによれば、中小企業の回答状況は概ね、高い数字を示しているが、やはり大企業には及ばない。

春闘2024 高水準の賃上げどう波及?実質賃金は23か月連続でマイナス続く

この状況下で労働者不足が深刻な中小零細企業は、厳しい選択を迫られている。しかし、今、踏ん張らなければ、企業の存続にも影響を与えかねないのは誰しもが分かっていることなので、必然、インフレに向かわざるを得ない。2月時点の勤労統計を見ても、物価上昇に賃上げが追いついていない状況が鮮明だ。

2月実質賃金1.3%減、名目賃金増も物価上昇に追いつかず=毎月勤労統計 厚生労働省が8日に公表した2月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比1.3%減少した。1年11カ月連続で前年割れ jp.reuters.com 

例え1回だけとは言え、6月に実施される減税措置による影響がどの程度出てくるのか?は見ものだ。夫婦2人子供2人だとして、12万円の所得税減税となる。

令和6年分所得税の定額減税の仕方

これにより、一時的にせよ可処分所得は増加する。現在大企業から中小企業まで賃上げが行われているが、今回の定額減税は、実質賃金の上昇にどう、影響があるだろうか?現在の賃上げ動向を見ると、一人当たりの平均賃上げ額は5,500円となっており、これに定額減税額を加えると、年額で186,000円となり、賃上げはあくまでベース賃金のことなので、これに賞与分を加算すると、年額で20万円程度、可処分所得が増加することになる。

2022年中に賃上げを実施済み・実施予定の企業は85.7%。改定額は3年ぶりに5,000円を上回る(国内トピックス:ビジネス・レーバー・トレンド 2023年1・2月号)|労働政策研究・研修機構(JILPT) www.jil.go.jp 

これに実質的な消費者物価指数や家計の出費動向を加味すると、統計局の家計調査の数字だけ追いかけても、なかなか、厳しい状況は続きそうだ。

消費支出
消費支出(二人以上の世帯)は、 1世帯当たり 279,868円
前年同月比 実質 0.5%の減少 名目 2.8%の増加
前月比(季節調整値) 実質 1.4%の増加
実収入
勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、1世帯当たり 561,495 円
前年同月比 実質 2.5%の減少 名目 0.7%の増加

統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年― 総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計www.stat.go.jp 

2020年基準 消費者物価指数

これらを踏まえ、当面の解決策として、例えばこれまで以上に消費税減税策を打ち出す党も出てくるだろう。或いは、今年度予算を批判して、歳出削減を尚一層言い出す政党も出てくるかもしれない。

 

以後、

 

・結局、何が問題?

・解散時期

 

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戦争したい人々

戦争をしたい専制主義国家

ウクライナーロシア戦争の状況は、双方での情報戦があり、戦況を確実に知る術は無いに等しい。その中で、かろうじて現地の映像で判断するに、ロシア側はお得意の兵士の大量投入と、旧式の弾薬の大量投入、そしてミサイルを中心にしたピンポイント攻撃が行われているようだ。一方、ウクライナ側は、ゼレンスキー大統領は欧米に対して武器弾薬の供給して欲しいと訴えている。このニュースだけを観れば、ウクライナが戦況的に厳しい状況にあると考えがちだが、むしろウクライナはドローン攻撃の精度が増し、ロシア国境を越えて攻撃を行うなど、効率を優先した戦略を徹底している。

ニューズウィーク日本版 2/27号 特集:開戦2年 ウクライナが敗れる日[雑誌] | ニューズウィーク日本版編集部 | 趣味・その他 | Kindleストア | Amazon Amazonでニューズウィーク日本版編集部のニューズウィーク日本版 2/27号 特集:開戦2年 ウクライナが敗れる日[雑誌www.amazon.co.jp 

ロシアは国内のイスラム教徒との軋轢を抱え、先日のモスクワ郊外のコンサート会場の無差別攻撃により、イスラム国を自称するイスラム原理主義者の一部がロシア国内のイスラム教徒の結束を促そうとしている。ロシア連邦からの独立を目指す中央アジア黒海周辺国は、プーチンの強権政治に辟易しているロシア連邦内の小国を巻き込み、連邦からの独立を目指す動きに拍車をかけるかもしれない。

モスクワ郊外銃撃 プーチン大統領「野蛮なテロ攻撃」死者133人 | NHK 【NHK】ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで22日、銃撃のあと火災が起きたテロ事件で、捜査当局はこれまでに133 www3.nhk.or.jp 

中国は国内経済が若干の上向きを見せているとはいえ、コロナ前に回復する兆しは無く、不動産業界の不良債権、地方政府の不良債権は、天文学的な数字に近づきつつある。中国は経済規模が大きいからというのは言い訳に過ぎず、国民の資産を膨らませてきたツケを、今後払わされることになるが、そもそも、実質的に中国国内の企業は国有企業だとしても、不動産市場で膨らませ過ぎた信用創造の反動(収縮)は、1980年代から現在まで培ってきた経済全体を下支えする基盤を、僅か1、2年で崩壊させるほどのものになるだろう。この状況を軟着陸させるだけの経済や財政に明るい、或いは手腕を見せる官僚がいるようには思えない。

既に欧米や日本のメディアも、中国共産党がでっち上げる数字ではなく、中国の本当の経済状況を報じるようになってきた。

出口なき低迷 中国経済どこまで落ちる?【Bizスクエア】 | TBS NEWS DIG (1ページ) ゼロコロナ政策の終了から1年3か月、いまだ中国経済は出口なき低迷を続けている。中国経済は一体どこまで落ちるのか。長期化する newsdig.tbs.co.jp 

つまり、中国政府は日本のバブル崩壊に学んだと言ってるようだが、今の中国の状況から見ると、とてもでは無いが日本の不良債権処理以上のバブル崩壊の後処理が出来るとは思えないのだ。

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東京15区の混沌と欧米の奴隷商人

東京15区の衆院補選と移民問題が関係あるか?と言われれば、相関関係は無いが、底流にあるものは同じだと感じる。

今回の東京15区補選にみる候補者乱立の状況を分析してみると、自民党の弱体化した選挙には往々、リベラルを自称する候補者が乱立することになるという典型例がそこにある。日本の政治環境では必然だが、同時にその先にあるものを注視する必要があるだろう。

自民党の対立軸

ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、ご自分のYouTubeチャンネルにおいて、「日本の政界における対立軸の本質は、保守対リベラルであり、今の自民党保守政党ではなくリベラル政党であって、日本国内の本来の保守政党は日本保守党だ」と評していて、自民党がリベラル政党になったからこそ、その対立軸としての新しい保守政党である日本保守党がクローズアップされてくるだろう」と分析していた。

私は長年、自民党がその本質においてリベラル政党であり、むしろ日本の唯一のリベラル政党は自民党であると言ってきた。私がそれを確信したのは、今の岸田政権ではなく安倍元総理の時代だ。

【リベラル左翼になった自民党】 『新しい保守の潮流 日本保守党』 最新【リベラル左翼になった自民党】 『新しい保守の潮流 日本保守党』2024/4/3(水)16:00生配信アーカイブ・東京www.youtube.com 

リベラルと言う言葉の定義については、諸説あるとしても、以前から指摘しているように、アメリカの哲学者ジョン・ロールズが提唱した地域コミュニティにおける共生社会の最適解を模索する上でのリベラリズムがそもそもの発端ではないかと私は考えている。

表題の現代の奴隷商人と併せて、この点については、後ほど触れる。

さて、今回全国的にも注目されている東京15区だが、その原因は、自民党が独自候補を擁立せずリベラル寄りの乙武氏を支援すると決めたことで、先述の長谷川氏は、LGBT理解増進法推進時の有り様も含め、自民党がリベラル寄りの政党に移行してきた証左だと解説している。流石にそれは極端だと思わないでもない。そもそも、政治資金不記載問題で揺れる自民党にとって、今回の補欠選挙に独自候補を立てて全力で応援できる状況にないことが、年初来からはっきりしていた。自民党としては補欠選挙ににエネルギーを割く余裕が無い。

東京と言えば公明党のお膝元でもあるが、公明党もだからと言って、即座に集票力のある候補者を立てられる状況には無かったのだろう。いれば直ぐにでも擁立した筈だ。つまり公明党も内部的には創価学会自体の基盤も怪しい状態になってきていることを示している。

自民党が独自候補を立てず乙武氏支援を決めた背景は、乙武氏を擁立した「ファーストの会」が中道保守の政治思想を持っているからで、立ち位置としては自民党に近いからだろう。今回の乙武氏支援がそのまま小池都知事の「都民ファーストの会」との協力関係強化や、都民ファーストの会自民党を取り込んで、小池百合子政権誕生まで一気に進むと予測している人もいるようだが、それはないだろう。

仮に衆院解散に合わせて小池都知事が辞任し、衆議院に鞍替えしたとしても、公明党を押さえつけて小池総理誕生まで持っていくには、時間が必要だ。自民党内の派閥が解消されたと言うのはただ表面的なことであって、元々、清和政策研究会(安倍派)の流れを汲む小池百合子は、自民党内では保守本流と言えなくもない。その意味で旧安倍派が小池百合子を担ぎ上げれば、或いは自民党内の取りまとめも可能かもしれないが、現在の自民党にその体力は無い。だから、小池百合子都民ファーストからファーストの会を作り、独自候補として乙武氏を立てる戦略に出た。ファーストの会が躍進することは地域政党都民ファーストの会が躍進することになる。つまり、現在の大阪維新の会日本維新の会の構図に似ている。というか、小池百合子氏は、維新の成功事例に学んだのではないだろうか?

保守本流を自認する日本保守党が、本当なら都民ファーストの会と組むべきなんだろうが、百田尚樹氏も有本香氏も飯山陽氏も、小池百合子のことが大嫌いなので、それは考えられない。また、日本保守党は単独で6万人の党員を集めたため、資金的にも多少の余裕があり、初戦の戦場に東京15区補選を選んだのは、初陣としてはド派手なデビューになり、名前を売るには十分な舞台だろう。ご本人たちは当選する気マンマンだろうが、仮に落選しても日本保守党の名前を売るに十分な役割を果たすことになるだろう。

ただ、保守を自認する有権者の多くは既に日本保守党入りしているので、これ以上、日本保守党の党員が増えるとか、次の衆院選で日本保守党が躍進するとは考えにくい。今の日本保守党に対する有権者の動きは、日本第一党支援の有権者の動きと極めて酷似している。つまり保守層は動くかもしれないが、肝腎要の最大政党である無党派層を動かすにまでは至っていない。無党派層が動かない限り自民党の盤石の体制は変わることは無いだろう。

無党派層が常に注視しているのは、極端から極端に走ることの危険性ではないだろうか?確かに最近の自民党には問題があるとしても、だからと言って、売り手市場の現在、特に新卒者に有利な労働市場であれば、他に文句は無いだろう。ましてや賃金もバブル期並みのベアが続いている。企業は賃金を上げなければ雇用を確保できない状況になっている。この状況で、保守だの革新だのリベラルだのと言ったところで、若い人の心は動かない。むしろ、そうやって騒ぐ中高年を冷ややかな目で見るだろう。

仮にデフレ脱却だと騒いだところで、そういう日本にしたのはあなたたち世代でしょ?と言うのが本音の部分ではないだろうか?

日本保守党に入党し、リベラル政党に堕した自民党に喝を入れる!と息巻いているのは、実は高齢者であって、そこに若い人は魅力を感じない。私が日本保守党を見ていて感じるのは、中高年は心を動かすかもしれないが、これから日本の担う年齢層には、主張の中身の割にそれほどの魅力はない。

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中国撤退を決めきれない経営者たち

チャイナリスクの高まりは日毎に増すばかりだ。

特に目立つのが、中国国内の経済を回す為の石炭となっていた不動産市況は下落の一途であり、不動産関連会社のデフォルトは続く。

中国の地方政府もまた中国国民も資産形成に不動産を使っていたが、売れない、作れない状況が続く中、仕方なく中国なりの不良債権処理として、安値で不動産売却を行う動きが加速している。そもそも、売りたくても買う人がいない状況で、不良債権処理など出来よう筈もなく、結果、資金難に陥った不動産会社はデフォルトすることになる。

もはや、中国国民は、一時的なデフォルトも敢えて容認して、とにかく、投資金を回収するか、建築途中の不動産を完成させて住めるようにしてもらうかしか無くなっているのだろう。

不動産関連の業界に関わっていた労働者は、資金難で賃金が払われない、材料の調達が出来ない不動産業者が増えたことで、働き手も不動産業界、建築業界から遠のく状況になれば、ますます、ゴーストタウンが広がるばかりになるのではないだろうか?

中国共産党のアキレス腱は、革命思想の党なのに革命の可能性を潰していってるところのある。そもそも革新的なイデオロギーだった筈なのに、自らが独裁体制を作ると、それに反対するしたり文句を言う連中を軒並み粛清し、革命を許さない社会を作っている。革命しないと言うことは進歩しないと言うことで、つまり中国は共産党が誕生した100年以上前から、何も進歩していない。だから計画経済として国家資本主義をでっち上げた後、それが暴走してしまったら止める術を知らないのだ。何せ、国家資本主義を否定することは独裁者習近平を否定することになる。習近平の否定はつまり、革命思想なのだ。

革命を標榜し、資本主義を打破することを目的とすることを党是とする中国共産党にとって、民衆が共産主義を打倒することを目的にしたら、それは自己矛盾になってしまう。資本主義を打倒する革命思想が、自分たちを倒す革命思想に負けてしまうことは、共産党には許されないことだ。革新政党なら本来、そのような革命思想そのものを賛美しなければいけないのに、倒されるのが自分たちであることを認めることはない。つまり、保守主義だ。

100年間、変えられなかった政治思想を新しいものに変革することを認めないのだから、保守主義だろう。まるで社民党日本共産党のようではないか。自民党改憲しようと革新的な提言をしようとするのに、それを否定するのである。憲法は一言一句、変えてはならないと言うのだ。これほどの矛盾は無い。立憲民主党の小西ひろゆきなども、改憲を否定するのだから、保守主義者と言って差し支えないだろう。彼は自分のことを憲法学者と言ってるようだが、同時に自分はリベラルな政治家だとも言っていて、リベラルならより時代に合った革新的な思想であるべきなのに、憲法を変えることは絶対否定する。

日本の護憲派中国共産党は、その意味で広義で同じだ。両方とも、現在の体制、現在の在り方を変えることに意を唱える。リベラルであり革新派である筈なのに、だ。

バブルが崩壊し、日本の製造業は、一気に不況とは何か?を経験することになる。
そして、追い討ちをかけたのがアジア通貨危機リーマンショックだ。冷え込んだ景気は、急激な円高と共に製造業が安い人件費を求めて中国に進出することになった。これらの経緯は必然とも言えるもので、日本に限らず先進国は安い人件費を求めて中国に進出した。その中には、アップルや大手電化製品メーカーや大手自動車メーカーなどがいて、部品供給のインフラとして中国の工場をそのネットワークに加えた。

日本の製造メーカーのうち、部品供給する中小企業や、メーカーが一貫生産にこだわった結果、より賃金の安い中国に日本の技術を持ち込み、日本で作る製品と同程度の品質を維持しようとした。

中国と世界の製造業の関係性と併せ、中国と日本の製造業との関連性とその問題点については、経産省のまとめにその詳細を見ることが出来る。

製造業を巡る現状と課題
今後の政策の方向性

このレポートを見れば、一目瞭然だが、日本の製造業はコロナショック後の早期の回復を示しているものの、やはりそこには中国頼みの面は否めない。

日本の製造業以外の企業も含めると海外に事業展開しているのは、全体の0.25%しかないが、製造業全体の売り上げは54%を占めている。

また、法人企業統計のうち輸出額の実に90%を海外事業体が占めている。これは一重に中国に生産拠点を置く企業が貢献していると言える。金額こそ80兆円程度で中国のGDP全体に占める割合は少ないとも言えるが、しかしこの数字は中国が日本を強請る材料としては十分だろう。中国に言わせれば、中国経済が頼みの綱だろ?と日本に言いたいのだ。

また、この点の裏付けとして、英文になるが、2014年のRIETI(独立行政法人経済産業研究所、英語名称:The Research Institute of Economy, Trade and Industry)のレポートに、国内企業との関係性の詳細が書かれている。

The Impact of Multinationals' Overseas Expansion on
Employment at Suppliers at Home: New evidence from
firm-level transaction relationship data for Japan

 

amzn.to

 

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令和6年度予算成立のその後

令和6年度予算が衆参で可決され、決定したことで、通常国会は種々の法案の審議に移ることになる。

野党は自民党の政治資金不記載問題を理由に支持率の回復と、来る衆院解散に向けての潮流を作り出そうとしたが、必ずしもそれは成功したとは言い難い。

各メディアの支持率を見ても、決定的に野党が次期政権を狙えるところにはいないことが、明確だ。

政党支持率

今年度予算は過去2番目の規模になるが、予算フレームの中身で見ると、税収の伸びと公債費が減ったことで、規模的には若干縮小した。

令和6年度予算フレーム

令和6年度特別会計

特別会計の歳出総額は436兆円だが、半分以上は会計処理上相殺されたり、一般会計には全く無関係のものなので、実質、207兆円の純計額を見ていく必要がある。また、ただ直接的に我々の生活に関わる部分は7兆円程度だ。下図がその内訳となる。

特別会計について(令和6年度予算)

令和6年度予算の中身で岸田政権の是非を分析するのは、非常にテクニカルな面が大きく、我々一般庶民には多少、縁遠い話に聞こえてしまう。

岸田政権はデフレ脱却を掲げている以上、ある程度の予算のスケールを持ちながら、景気刺激策を打ち出すことになる。メディアで取り上げられているような
、6月の減税策については諸説が飛び交っているが、財務省よりと言われる東京財団政策研究所の土居丈郎研究主観の見立てでは、今回の減税策により所得格差は縮められると結論つけている。

岸田内閣の「所得税減税」の家計へのインパクト | 研究プログラム | 東京財団政策研究所 R-2023-072岸田文雄内閣は、11月2日に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定し、その中に「所得税減税」 www.tkfd.or.jp

このシミュレーションの中身は、詳しく見ると分かるのだが、所得が平均値を下回る世帯には多少の恩恵があるかもしれないと言う数字だ。詳細は是非、東京財団の文章をご確認いただきたい。

財政の面での難しい数字が並ぶ内容よりも、我々が注力すべき点はどこになるだろう?

上述の各政党の支持率の動向を見て、率直に感じるのは、国民民主党の玉木代表が
触れているように、果たして野党は共闘が可能なのか?と言う点ではないだろうか?

この動画の中で玉木代表の言を借りるならば、そもそも立憲民主党は維新の会と組む気などサラサラ無いだろうと言う点だ。ひろゆき氏は立憲と維新が組む上での国民民主党の役割について言及したが、玉木氏は立憲民主党と維新の会が組むことは、立憲民主党内部で意見集約が出来ないだろうと見ている。

私も玉木氏と同意見だ。

立憲民主党は、日本共産党が有している固定票を利用することと、政策面で共有できる部分があると考え、共産党との共闘を模索してきたが、共産党と組むことは連合に反発することであり、また有権者の期待を無視するやり方だ。それはとっくに数字が証明しているのだが、立憲民主党共産党に共鳴しているかのようにしきりと近づこうとしているように見える。

共産主義者に考え方が近い議員が多い立憲民主党は、私が幾度か指摘している日本の自称リベラルには「意識高い系」と言われる革新系の議員が多い。自らを頭がいいと勘違いしているから、頭でっかちで理想論を振りかざす議員のことだ。だから最初にイデオロギーを持ってくる。それがLGBTだったり人権重視だったり戦争反対だったり改憲に反対だったり在日外国人を擁護したりする姿勢だ。それらなんちゃって平和、なんちゃって反戦、なんちゃって反差別がかっこいいと思っている。そう、かっこいいと思っているのだ。アメリカの都市部に多い、意識高い系リベラルと同じだ。

理想論が先に来るから、現実問題は一切無視して構わない。そして、自分たちの理想論が全てなので、その理想論で苦しむ人、迷惑を被る人がいても、気にしない。何故なら、自分たちの理想論の方が大事だし、自分たちの理想論が正しいと思っているからだ。そして、総じてこれら意識高い系バカには、偏差値が高く、それなりの企業にいる人が多い。これを頭が良いバカと言うのだ。現実は無視し、理想に生きることがかっこいいと思っている。

 

続きはnoteにて → 倉沢良弦『ニュースの裏側』

再エネ賦課金の先にある問題とは?

2013年以前、旧民主党時代に決定した再エネ賦課金が、令和6年4月から平均的な家庭で1世帯あたり月額1,396円になる。

再エネ賦課金、単価引き上げで標準世帯は月836円負担増に(経産省) - 日本商工会議所 経済産業省はこのほど、再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格と、24年度の賦課金単価 www.jcci.or.jp 

この負担増の諸悪の根源は、産業用太陽光発電であることは明白だ。

現在、太陽光発電が賄っている日本国内における総発電量の割合は8.3%〜9.9%と言われている。

環境エネルギー研究所2022年

数字に若干変動があるのは、太陽光発電システム自体が不確定要素が大きく、発電量にムラがあるためだ。

旧民主党以前の自民党政権時より、デフレ不況下における電気料金を軽減する施策の一環として家庭支出を軽減する目的で、太陽光発電を含む新たなエネルギーとして再生可能性エネルギー事業の推進を図り、東日本大震災を機に史上最も最悪の総理の一人、菅直人補助金と再エネ賦課金を決定して一気に太陽光発電が普及した。

5月電気代、大手全社値上がり 政府の再エネ賦課金引き上げで(共同通信) - Yahoo!ニュース  5月の家庭向け電気料金は、大手電力10社全てで4月に比べ値上がりする見通しであることが21日、分かった。再生可能エネルギ news.yahoo.co.jp 

官僚の知恵の産物として、当時は選択肢が他に無いという現実も踏まえ、また学術的な裏付けも踏まえ、確かにそうだと思わないでもないが、一方で、今の欧米の潮流が示すように、地球環境だのSDGsだのと行った所謂「流行り物」に乗っかることの危険性は示されつつある。今、欧州社会は「意識高い系」の人たちが壊してしまったと、それを否定する人はいないだろう。移民問題、環境汚染問題、CO2問題等、それらは「自」意識が高い「だけ」のバカが作り出した世界は、差別と貧困が待っている。そして、「意識高い系」の人たちは相変わらず金儲けに走る。

 

続きはnoteにて → 

再エネ賦課金の先にある問題とは?|倉沢良弦

日本は外国人労働者を受け入れるだけの国か?

春闘」と日銀の利上げ政策への転換

おどろおどろしい題名を付けているが、最後までお読みいただければ、筆者の危惧するところをご理解いただけるものと思う。

日本以外の国が利上げ政策などでインフレ対策に苦しむ中、日本はようやく金融緩和の好影響により、コストプッシュインフレの影響下であっても、安定的な賃上げが行われるようになってきた。

アングル:内需株にフォローの賃上げ、中小への広がり懸念 上値に不透明感も 春闘の強い内容を受け、株式市場では国内消費への期待で内需株物色が強まるとの見方が出ている。一方、今後の焦点となる中小企業に jp.reuters.com

令和6年度「春闘」は、昨年度を上回るベアが実現しつつあり、自民党政務調査会が行った中間取りまとめの中を見ると、自民党が政府に提言する骨子も見えてきている。これらは、構造的な賃上げをどう行っていくか?の重要な論点となる。

これについて大企業が先陣を切って大幅な賃上げに動いたことに、連合の芳野会長は「良いスタートを切れた」と、今後に大きな期待よ寄せた。

構造的な賃上げ環境実現へ 「労務費指針」徹底と下請法見直し検討を中小企業・小規模事業者政策調査会、競争政策調査会 | 政策 | ニュース | 自由民主党 党中小企業・小規模事業者政策調査会(会長・伊藤達也衆院議員)と党競争政策調査会(会長・山際大志郎衆院議員)は合同で構造的なwww.jimin.jp

とりわけ、現在の労務環境の具体的な調査内容とそれに基づく指針は、法改正(下請法)も含め、今後、一層議論が行われる中身となるだろう。

構造的な賃上げ環境の実現に向けた提言

特に、人件費の価格転嫁は上述の下請法の改正、独禁法問題とも深く関わり、3月7日の与党提言を受け、上場企業はじめ大手企業は相次いで先行して大幅なベアに踏み切ったものと考えられる。

今回の大幅なベアは平均で5.28%に達するが、この数字はバブル崩壊前に準ずる数字であると言える。

日本のデフレ不況の要因の一つが実質賃金の伸び悩みであったことを考えれば、30年間慎重姿勢だった企業側が、人材確保に大きく舵を切ったと言っていいだろう。

33年ぶり5%超でも「賃上げ一色」はまだ遠い 「ファイブ・ツー・エイト(5.28)!」「33年ぶりです!」まるでテストに臨むように、連合の会見場に集まった記者たちは、机 toyokeizai.net

この最大の要因はインフレによるものであるのは明白で、重要なのは、人件費の価格転嫁を進めなければ人材確保が難しくなってきた市場の実態が挙げられるだろう。と言うのも、今回の春闘の数字のうち、大幅な賃上げを回答した企業は全体の労働人口の中で従業員数1,000人以上の企業であり、全体平均は従業員数300人を下限とする企業全体の加重平均となり、最終的に中小零細を含めると賃上げ企業は7割程度にとどまるのではないか?との試算もある。

東洋経済オンラインの記事中でも触れているように、仮に日銀のマイナス金利政策解除に至る状況にまで賃上げが拡充するかは、現状では分からないと言うのが本当のところだと思う。

外国人労働者不要は本当か?

ようは労働力確保、人材確保の点で、足枷になってきた実質賃金の伸び悩みは、企業においてものっぴきならない状況であることを露呈したのが、今回の賃上げであって、次に来るのが足らない労働力をどのように確保するのか?という問題だ。
政府は年金支給年齢の上限引き上げや、高齢者の医療費負担をチラつかせながら、より長く働いて欲しいとの本音を見せている。

また、過去最高となる外国人労働者数(200万人)を受け入れるにあたり、技能実習生制度の見直しと入管難民法改正を閣議決定したことで、より一層、外国人労働者の増加が見込まれる。

外国人「育成就労」創設へ 入管法改正案を閣議決定:時事ドットコム 政府は15日の閣議で、外国人技能実習制度を廃止して「育成就労」制度を創設する入管難民法などの改正案を決定した。未熟練労働者 www.jiji.com

この法改正について、中身を見ないで批判する声があるが、日本国内の労働環境の現状を踏まえれば、労働者不足は深刻な状況に陥っていることは明白だ。

今回、閣議決定された法改正の中で重要と思われるのが、従来の「特定技能1号」枠の拡充が挙げられる。これは、従来の制度において習熟した技能を獲得した外国人が確実に増えていることを意味する。と共に、日本における外国人労働者受け入れのシステムが確立されてきたことを意味する。

新たな改正案では、5年間の滞在期間延長と共に永住権取得までを考慮した内容になっている。これは現実を考慮した改正案と言え、日本の就労人口の減少は著しく、特に中小零細でより顕著な傾向があることを示している。またそれに比して、生産現場やIT企業向けエンジニアは圧倒的に不足しており、それらの分野の求人市場はますます活況を呈する可能性が極めて高い。コロナ禍にあってさえ、新卒者の採用状況は好転していたが、少なくとも大企業の多くが新卒者を大量に採用すると共に、若年層の中途採用も今後は増えてくるだろう。つまり、中小零細にその波が来ることは目に見えている。製造業はその傾向がより顕著になるだろう。

これを喜ばしいことだとばかりも言ってられない。賃金上昇が従来の労働環境全体に広がっているとは、現状では言えないからだ。また、自民党の提言にあるように、商品価格の上昇が労務費へと適切な価格転嫁が行われない労働市場においては、従来の下請け制度自体の見直しを図る必要がある。

闇雲に外国人労働者批判を行ったとて、労働市場が大変な状況になっている現状を見る必要があり、大前提として、圧倒的に労働者は不足しているのだ。

労働人口

この現実を直視すれば、外国人労働者が200万人になって大変だ、などと呑気なことは言ってはいられない。それもこれも、バブル崩壊から現在に至るデフレ日本が自ら招いた結果なのだ。

今、政府は子育て支援だとか、外国人労働者受け入れに関する法改正をやって、一刻も早くこのことに取り組もうとしているが、結婚や子育てに関心を示さなくなった若年層を切り替えるには、一朝一夕にはいかない。現在の新卒者の親世代が元々、デフレ不況下で子育てをやってきた。つまり、今の新卒者や若年層は豊かさを知らないのだ。

図1 労働力人口|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT) 労働に関する各種統計調査結果や指標の情報。更新は随時。データのダウンロードも。 www.jil.go.jp

話を元に戻すと、これら労働者不足の現実に対処するには、段階的な取り組みが必要となるが、今回の春闘の途中経過の段階で、日銀がゼロ金利解除を言い始めるのは、些か拙速と言わざるを得ない。財政・金融委員会での野党による執拗な財務省と日銀への追求に根負けしたとしたら、それは政府の失策と言われても仕方ない。

中小零細にまで賃上げが波及したとは言えず、しかもインフレに至っては継続性があるデマンドプルインフレとは言えない。単に輸入品の物価が上昇しただけの話でコストプッシュに陥ってるだけだ。現在のインフレ状況を以てインフレ率が上昇したし、他国も金利を上げているんだから日本も上げろと短絡的な財務省と日銀イジメを繰り返す立憲民主党階猛議員が如きは、日本経済を潰したいのだろうか?とさえ、思う。

今の現状で利上げ策の話を持ち出すのは、時期尚早ではないだろうか?

日本はチャイナリスクを回避する新たなサプライチェーン構築が急務であり、安倍元総理の時代から、脱・中国の路線を引いてきた日本政府は、本格的な対策が急がれ、あるいは中国に出ていた製造業の日本回帰の動きを加速させることになるだろう。少なくとも半導体市場においては、とっくに脱・中国が始まっている。

アングル:日本の半導体に台湾勢が商機、「脱・中国」で事業拡大 米中対立を背景に半導体ブームに沸く日本で、台湾の半導体関連企業が事業を広げつつある。受託生産世界最大手の台湾積体電路製造( jp.reuters.com

韓国のサムスンが神奈川県に半導体工場建設を計画し、400億円規模の投資を決め、経産省も200億円を補助することが決定している。サムスンは中国工場で安い賃金で行いたいと考えていたのだろうが、欧米が緩やかに中国とのでカップリングを模索する中、アジアでの生産拠点の一翼を日本が担う計画に先んじて、日本進出を決めたとも言えるだろう。

ここがかなり重要な要素となる。つまり、日本における労働市場生産現場への信頼は、実は日本人が考えている以上に大きいのだ。この点を抜きに、製造業の日本回帰は語れない。日本の生産現場への信頼をテコに今後を見据えるべきで、だからこそ、中国に進出している企業は、脱・中国をどのように進めるかが大きな課題なのだ。日本の技術力を過信するわけではないが、少なくとも、高い信頼性を維持できることは間違いがないだろう。もっとも、iPhoneを日本で生産するようになると、今の倍の価格に跳ね上がることにはなるが・・・

このように、外国人労働者に忌避感を抱く人々は、現実をもっと直視すべきだと考える。

 

以後、

 

外国人を利用する野党と外国人受け入れの先にあるもの

 

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「漂流」する中国

中国の負債額は誰も知らない

昨年12月、中国に投資している外国企業にとって、背筋が凍るようなニュースがダイヤモンドオンラインに書かれた。

中国国内の債務総額は一体総額でいくらになるかは誰も見当がつかないのだが、中国の外からの観測による数字だけでも、想像を絶する金額になる。

中国の巨額「隠れ債務」 危機的状況に
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こちらの記事によれば、地方政府が中心になって不動産開発の原資となっている融資平台の負債総額を含めると、中国政府の債務残高は分かっているだけで1,500兆円はあると言われ、実際にどれだけの額に上るか、誰も分からない状況だ。

ただしこの金額には、シャドーバンクと言われる民間の金融機関の負債額は含まれていない。

世界2位の中国のGDP総額は円換算で2,600兆円規模と言われているが、そもそもGDP総額にはこれら負債による不動産や地方インフラの建設が含まれる。つまり、実際には建設や着工されていない工事代金も含まれる。

中国の地方政府が発行した社債の直近の支払いだけで軽く100兆円はあると言われ、地方政府は借り換え債で乗り切る構えだが、その保証を中央政府が全て行うとなると、中央政府の債務は鰻登りになることは避けられない。

香港市場に上場している3,000社は、外資を得る目的として、各社の財務諸表を開示しているが、仮にその数字が本当であったとしても、利払いすら行えない財務状況であることが顕になっており、中国国内企業で同様、もしくはもっと酷い状況の企業がどれほどの数に上るかは、これも誰にも分からない状況だ。特に不動産関連企業は、既にかなりの数が賃金の未払い、工事着工の中断に陥っていると言われている。

むしろ怖いのは、中国経済がそのような苦境にあることに、中国国民は一種の諦めの感情があることなのだ。不動産価格の高騰を背景に資産形成を目論み複数の不動産を所有していたに関わらず、一向に進まないマンションや別荘地の建設に対して、一部の個人投資家はデモを行ったり銀行に取り付け騒ぎを起こしたりもしたが、それらの騒ぎはSNSの情報を遮断し、公権力で抑え込むなどして無かったことにされている。また、それらデモに参加すると個人を特定され、中国共産党から圧力をかけられる。

とどのつまり、投資による資産形成を目論んでいた中国国民は、再び、三度、毛沢東時代の中国を体験していることになる。

中国国民の「諦め」の本質とは何か?

中国も日本と同じ官僚国家であるが、というか日本の官僚支配制度の源泉は中国にあるのだが、そこには日本以上の無謬性が存在している。つまり中国共産党は、「官僚は間違えない」という不文律が存在していて、そこに絶対の統治権がある。共産党一党独裁であるが故に、国民には政治的選択肢が存在せず、だからこそ共産党は国家資本主義によって現代の中国国民を黙らせている。この点は、繰り返し拙稿で触れてきたことだ。今までよりいい生活をさせてやるから、文句を言うな、と言う態度だ。

国民に主権は存在しない中国らしい態度だと言える。

国家資本主義とは中国が考えついた浅はかな考え方だが、主権は中国共産党にあることは既に明らかで、事実、中国国内には資産1億円以上の富裕層が1億人いると言われているが、多くが中国共産党と強く結びついている。以前に比べて中国は著しく賄賂の文化が減ったとは言いながら、それは形を変えて存在しているに過ぎない。公に賄賂なりが無くなったと言ったところで、国営企業の多くは決定権を中国共産党が有し、国家事業に関わる企業の多くは中国共産党員が経営している。国家予算と国家事業の多くが中国共産党員の経営する企業に富が流れる仕組みになっているのだから、ズブズブどころかただの特権階級に他ならない。

その上で、中国国民が中国共産党に対して反旗を翻さない理由は、「諦め」以外にあるだろうか?元々、鄧小平の改革開放以前の中国は、自分たちが豊かな国に住むことなど夢のまた夢だったろう。それが、30年かけて「豊かさ」の尊さを体験したことで、一見、上手くいっている国家運営を中国共産党に任せていたとして、仮にそれが失敗に終わったと国民が感じたとしても、既に中国国民に政治体制を変えるほどの気力が残されているようには見られない。

中国共産党が国家運営で反体制派を封じ込めることに成功したのが、この若者の無気力化ではないだろうか?ANNが取り上げた「漂流族」がまさにそれで、古くは人口爆発を懸念した「一人っ子政策」や、優秀な学生を生み出すことをやめた「宿題、学習塾禁止令」と国会資本主義によりかりそめの豊かさを経験させることで、特段努力を積み重ねなくとも、食べていくだけならそれほど難しい中国では無いと言う意識を植え付けることが出来て、より一層、若い世代の無気力化を進めることができた。

私が以前から言うように、一国の政変を抑え込む手法はそれほど多くはない。例えば、中国共産党が国民の政治的改革を望まなくさせる手法は、国民を豊かにすれば政治的な改革をしようと思う若い世代はいなくなる。日本でこれほど自称リベラルが政権奪取を画策しても支持率が低下する一方である原因は、少し考えれば分かる。今の日本社会はデフレ脱却出来てないとか、実質賃金が上がらないと言ったところで、社会の安定感は他の先進国の比ではない。そんな安定した社会を壊してまで政権政党を変えようと、誰が思うだろう?また、日本国民は今の安定した日本社会は良くも悪くも自民党が作り上げてきたことを知っているし、無意識のうちに自民党が真のリベラル政党であることを知っている。だから、最大政党の無党派層が動かないのだ。

今の中国は、高度成長期直後の安定期からバブル崩壊前夜の日本に極めて酷似している。ただ、経済政策があまりに陳腐なので、弾けるバブルの大きさが日本とは桁違いに大きい。それはきっと中国国内の民衆も気づいている。気づいているが、どうにも出来ない。日本のように自由で平等で民主主義が存在する国なら、主権者の国民が立ち上がることが可能だが、そもそも中国には自由も平等も民主主義も存在しない。それは毛沢東という独裁者が出て以後、中国社会に存在しない言葉になった。古くは戦国時代でも同じことが言える。秦の始皇帝は民衆を解放したのではなく、殺しまくって当時の民衆を疲れ果てさせて抵抗する術を無くして、秦を樹立した。それが中国の歴史だ。

 

以後、

 

・中国全人代中国共産党の今を見通す指針

・「漂流」する中国

 

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政治資金不記載を追及して、得する人、損する人

参議院予算委員会で騒ぐテレビタレントたち

国会の予算委員会で野党がやたらと政治資金規正法上の不記載問題で自民党議員や閣僚を追求している。

特に熱心に「問題だ〜!」と騒いでいるのが、立憲民主党のいつものメンバーだ。
立憲民主党の目的は、当然、自民党を瓦解させ、政権交代しようということなのだろう。れいわ新選組山本太郎も、「総理、いつ辞めていただけますか?」などと、テレビ映りを意識した常套句を繰り返すばかり。

問題の本質は、そもそも政治資金規正法上の不記載を「裏金」と間違った呼び方をする点なのだが、野党議員諸氏は、テレビに映ればそれで満足なので、一向、そんなことは気にするそぶりはない。

以前の拙稿でも書いたが、彼らのやってることは、モリカケサクラの時に見た風景と極めて酷似している。裏金、裏金と言い続けることで、有権者への印象操作を繰り返しているのみだ。共産主義と同じで、嘘も100回言えば本当になるというやり方だ。いわゆる、刷り込みだ。

有権者にとって大事なのは、自民党はけしからんと言う刷り込みの次に来るものなのだが、そこは野党は誰も言わない。

立憲民主党の小西ひろゆきは、政治資金規正法の説明は懇切丁寧に行うのだが、それによって自民党議員はけしからんと言う「だけ」で、国民が聞きたい、では自民党政権を倒した後、仮に立憲民主党が政権を獲ったら国民に何をしてくれるのか?は、言わない。

予算委員会なので、予算組みを行った後、政府として予算執行するにあたり、国民の付託を受けて行政を取り仕切るに値するか否か?を問う場であると言うのは、一見、尤もらしいと言えばもっともらしい。しかし、その与党自民党立憲民主党に変わったとして、或いは野党連合に変わったとしても、政治資金規正法自体は何も変わらない。とするならば、立憲民主党やその他の野党とて、同じ政治資金規正法の枠内で政治活動を続けていくことになる。

仮に今の自民党政権政治資金規正法を守っていないと指摘するなら、立憲民主党は問題となる政治資金規正法の中身について議論すればいいと思うのだが、それをやると政治資金規正法の恩恵を預かる自分たちも火の粉が降りかかることを知っているから、そこは言わない。自民党が違法ではないが脱法行為を繰り返しているという屁理屈は、自分たちに跳ね返ってくるだけのことで、では立憲民主党と野党連合が政権を握ったからと言って、彼らが政治資金規正法を守る保証はどこにもない。

政治資金規正法は、政治家個人への献金を禁止する目的で制定されたものだが、ザル法であることに変わりはなく、政治家個人が管理しないと言うだけのことであり、政治家の租税回避の手段であることに変わりはないのだ。政治活動費用を国庫から支出することで政治家の贈収賄を回避しようと言うのは幻想に過ぎない。やり方はいくらでもあるのであり、むしろ、その手法を残していることが問題だと言えなくもない。

ただ、立憲民主党が指摘するように、政治家が脱法行為として、或いは裏金としてパーティー券の一部を得ていたという指摘については、必ずしも正しくはない。と言うのも金額が少なすぎるし、そもそも違法行為を行なっていたわけではない。違法行為なら検察の調査で立件されているだろう。実際にそうはなっていないことが、裏金ではなかったことを証明している。司法がそう判断したことをいくら国会の予算委員会で問題視したところで覆すことは出来ない。

山本太郎自民党の旧派閥の領袖に対して泥棒呼ばわりしたが、それこそ名誉毀損とも言えるレッテル貼りであって、山本太郎の発言は、いくら国会での議員の発言は罪に問われないとしても、相応しいとは言い難い。ましてや、れいわ新選組の議員2名が国会議員としの品位に欠けるとして厳重注意処分を受けている。その先にあるのは、議員資格の剥奪(議員辞職勧告)であって、そのような議員が所属している公党が有権者から厳しい判断をされることにもつながる。

元々、れいわ新選組は企業からの献金を受けていないと言いながら、街頭演説で生活困窮者の生活を守ると大見得を切りつつ、その生活困窮者から寄付金を募っている。勿論、違法行為ではないと言いながら、政治資金規正法の枠内でやっていることは自民党のパーティー券と同じだ。それも、記録が残らない形で寄付金を受け取るなど、むしろ自民党よりもタチが悪いとも言える。

また、れいわ新選組は、街頭で御涙頂戴の無駄話を繰り返し、何だか分からないけど立派「そうな」ことを言ってる山本太郎に感動した人が投票することで、大島九州男のような金儲け主義の議員を生み、年間4億円の政党交付金を得ている。つまり税金から支給される金を目当てにしている。その意味では、政治資金規正法の恩恵を受けているのだ。ここを山本太郎は言わない。隠している。自分たちは政党交付金を貰ってるから寄付金は要りませんと言うならまだしも、それを言わないで寄付金を募っている。山本太郎の得意技である、どこでも泣けるというお芝居を使って。

以後、

 

・野党の主張は矛盾だらけ

自民党議員は得してるのか?

・損する野党

 

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日本保守党よどこへ行く?

衆議院補欠選挙に向けて

3月6日(水)、日本保守党が、来る東京15区の衆院補選に向け初の候補者擁立を行うことを発表した。

イスラム研究者の飯山陽氏で、麗澤(れいたく)大学で教鞭を執る学者だ。

メディアの出演、イスラム教に関する書籍も多く、数少ないイスラム教の専門家と言える。

YouTubeでは「飯山陽のいかりチャンネル」を運営し、多くのチャンネル登録者がいて情報発信能力も高い。

日本保守党が昨年10月に発足し、これまでに約6万人の党員参加者を誇り、豊富な資金力を得て、いよいよ具体的に政界に打って出るにあたり、東京15区から飯山陽氏を出馬させる作戦をとった。

私は以前の拙稿で、日本保守党発足の背景について言及してきた。

要約すると、これからの日本に必要な政党政治とは何か?を、日本保守党結党の背景を取り上げながら考察した内容となっている。詳しくは、是非、拙稿をお読みいただきたい。

今回は日本保守党が具体的な候補者を出して衆院補選に向けて戦略を出してきた点に触れながら、前回の拙稿で触れた点を更に深掘りしてみたい。

ただ、一有権者として言わせていただくと、飯山陽氏は今回の東京15区支部長に就任するにあたり、noteに挨拶文を出しているのだが、仮に有権者に向けての挨拶文だとすれば、有料っておかしくね?とXでポストしたところ、早速、ブロックされた。

おそらく日本保守党党員向けの挨拶文であり、選挙活動に必要な費用負担を党員にお願いする意味で有料にしたのだろうが、一般の有権者向けに挨拶文を出すとしたら、有料よりも無料で誰でも読める発信の仕方の方が良かったのではないか?と一有権者としての感想を持った。

ご本人は、ご自分のYouTubeチャンネルで、自分を批判してきた方が有料で文章を出していることを批判しておきながら、ご自分も同じことをやっているというのは、些か、辻褄が合わないのではないか?

とまれ、私は東京15区とは縁もゆかりもないので、実際に補選に参加することは出来ないのだが、飯山陽氏の衆院補選の結果は、その先にある解散総選挙を占う意味でも重要な選挙になることは間違いないと注目している。

東京15区は、前自民党衆議院議員柿沢未途氏が第20回統一地方選江東区長選における公職選挙法違反の疑いによって、自民党離党、議員辞職に追い込まれたことを受けての補選であるが、柿沢前衆議院議員事件に前後して、今の自民党内派閥のキャッシュバック問題が相次いで報じられ、今国会においても自民党内派閥の今後について野党が厳しく追求を行っている。

柿沢未途被告に懲役2年求刑 柿沢被告「万死に値する」と謝罪 東京地裁:東京新聞 TOKYO Web 昨年4月の東京都江東区長選を巡り、区議らに現金の供与や申し込みをしたとして公選法違反(買収など)の罪に問われた前法務副大臣 www.tokyo-np.co.jp 

柿沢氏の事件はあまりにも露骨だったために、言い訳しようもなく議員辞職に追い込まれたのだが、自民党にしてみれば、4月に行われる島根1区、長崎3区、東京15区の衆院補選の結果が、その先にある解散総選挙に向けての大きな試金石となるのであって、その結果如何で解散が早まる可能性は非常に高い。

 

以後、

 

自民党衆議院補欠選挙

・保守層の分断

 

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文春記事に価値は無い

松本人志氏の文春記事によって、あたかも週刊文春が芸能界の闇を暴露していると思っている人は、実は大きな誤解をしていると言えるだろう。

確かにジャニーズを解散に追い込んだジャニー喜多川氏の性加害問題を暴露してきた文春は、社会に対して芸能界の構造的害悪を暴露したということで意味はあった。ジャニー喜多川氏は、男性アイドルグループという日本の芸能界における独自のジャンルを確立した功績は大きかったが、その裏側にはジャニー喜多川氏の性加害に裏打ちされた構造的な闇が存在したこと早い時期に暴露してきた文春も、一応の結果を残してはきた。

ただ、今回、ジャニーズという企業が世の中から抹消されるきっかけを作ったのが文春であったか?と言われれば、そうではない。実際にはガーシーがカウアン岡本氏に行ったインタビューがきっかけであり、BBCが製作した番組がきっかけとなって、世界的にジャニー喜多川氏の闇が暴露されたことが大きいだろう。

松本人志氏の一件について、文春が追及しているのは、刑事事件の可能性が高い事件や芸能界の構造的な問題を追求したのではなく、松本人志氏の被害者とされる女性の証言を記事にしただけのことで、こう言ってる人がいるよと、真実相当性があるとの疑いを記事にしているに過ぎない。言い換えるなら、読者に「匂わせ」を行うことで、興味を引き、雑誌や文春オンライのビュー数を稼いでいるに過ぎない。

以前の拙稿でも触れたように、文藝春秋社が行っているのは、単なる営利活動であって、その金ズルになっているのは、読者だ。読者が興味をそそる記事を書いて、お金を稼いでいるだけの企業だ。

私はそれを悪いと言ってるのではなく、読み手がそのことを忘れてはいけないと言ってるのだ。

文藝春秋社にしてみれば、松本人志氏の問題、ジャニー喜多川氏の問題、その他政治家や芸能人の下ネタ記事にしても、それで社会を浄化しようなどと微塵も考えてない。いずれのケースも、記事にされるような行動を起こしたご本人が悪いのであって、それを取材して記事にして何が悪い?というスタンスだ。

事実、書かれている記事が事実か捏造か虚偽かの部分よりも、読者は記事内容に何が書かれているか?しか関心がない。文藝春秋は、たとえどのような記事内容であっても、読者は時が経てば忘れることをよく知っている。だから、次から次へと、政治家や芸能人の下ネタを探し回っている。次々と、記事になる題材を探しているだけのことで、そういう雑誌社だと知ることが大事なのだ。

文藝春秋に対しての認識を変えた上で、下ネタに興味がある人なら雑誌を買えばいいし、文春オンラインのサブスクに入会すればいいと思う。しかし、他人の下ネタなどどうでもいい人間にとって、そんな無価値な記事に金を払うことはドブに金を捨てるようなものだと知っている。日々の平凡な生活にあって権力者と言われる人、金持ちと言われる人、世の中で注目されている人の下ネタを読んで溜飲を下げる自分こそが無価値な存在であると気づくまで、ドブに金を捨て続ければ良い。

 

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政倫審開催と小野寺委員長解任決議案という茶番

野党国対のつまらなさの表象

実につまらないと言うのが、率直な感想だ。

政治倫理審査会を開催したとて、それ自体に何の意味も無いことは国会議員なら知っている筈なのだが、どうも野党議員は鬼の首を獲るかのように政倫審の開催を迫っていた。

ところが、2月29日の政倫審が行われても、野党の議員の中で決定的に自民党議員を追い込むような離れ業をやってのける議員は出なかった。

野田元総理の舌鋒が鋭かったと、一部の野党支持者が言ってたが、国会の委員会と政倫審では意味合いが異なるし、言ってることは委員会質疑と大差はなかった。

国会の主たる目的は立法府であることだ。日本は法治国家なので、国家の統治機構と行政は全て法執行機関としての役割を持っている。立法府である国会は、国民の民意の具現である選挙を経て選ばれた国会議員によって、主権者である国民の代わりに立法を行う。

その中でも最重要な立法が予算を通すということだ。その意味で、通常国会予算委員会は数ある国会の委員会の中でも最重要に位置付けられている。

ここ数年の国会においては憲法審査会も最高法規である日本国憲法の改正に関する議論の場であるとして、重要視されているが、やはり最重要なのは本予算委員会だ。

今回、予算を通したくない、あるいは与党に譲歩を迫りたい野党は、小野寺委員長の解任決議案を提出した。言い換えれば、最後の手段に打って出たことになる。

今国会においては、自民党の派閥による政治資金不記載問題に焦点が当てられ、いかにも野党が自民党の各派閥議員を追い詰めたかのような印象報道が目立つが、その中身を見ればやはり決定打に欠ける。

 

以後、

 

・野党の茶番

 

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