倉沢良弦『ニュースの裏側』

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日本政府と日本の国会議員は緊張感を持て!

中国武漢市より発症した新型コロナウィルスは肺炎症状を発症しやすく、1月23日時点で、中国政府発表で罹患者600名以上、死者17名を数えている。
既に、アメリカ、日本、台湾をはじめ、アジア諸国でも感染者が広がっている。最も懸念されるのは、既に患者は中国の3分の2の都市で感染者が確認されているということだ。情報統制を行なっている中国国内ですら、新型肺炎を懸念する国民が大挙して病院を訪れているとSNSを通じて情報発信されており、最早隠しおおせないことを理解した中国政府は武漢市とその周辺地域の人の移動を完全に遮断するとして、緊急の対策を講じた。その対象者は実に2,000万人以上に登り、異例の情報発信に努めている。
2003年に流行したSARS、2012年に感染源が特定されたMARSの時、国連とWHOは中国政府の情報統制を強く批判し、感染拡大を許したことを非難した。その時の反省を踏まえ、また米中貿易戦争の中で、徐々にその経済制裁に近いアメリカの関税措置により停滞気味の国内経済に悪影響を与えないよう、早めの情報開示と人の移動に制限を加えることとなった。
致死率が3%程度と予測される今回の新型コロナウィルスで最も懸念されるのは、発症しやすいと言われる肺炎症状だ。若い世代には劇症化すると考えられにくとの専門家の見方がある一方、高齢者や幼児、また他の病気症状で体力が落ちている場合、致死率が高くなる可能性がある。また、今回のコロナウィルスは人体に入ってから変異する可能性が高いとの見方もあり、仮に遺伝子情報が書き換えられて人から人への感染力を強める可能性もある。

現在、政府与党は中国国内の状況を注視している段階で、中国人が来日する全ての空港にはサーモカメラを設置して発熱状況が分かるとし、また来日する中国人全てに病気症状の深刻を義務化していると言う。つまり、現在日本の水際対策は法令上できうる限りのことはやっているという姿勢だ。
一方、野党議員は1月23日の施政方針演説に対する代表質問の中身は、「桜」自民党議員の不祥事、違法献金の追及に終始した。確かに、悪戯に国民に不安を与える必要は無いが、違法性の乏しい案件を追及し政権追い落としをやり続けている姿勢はいかがなものか。
日本は憲法上も法律上も、政府が強権を発動できる国ではない。あくまでも民間企業への協力を要請することしか出来ない。中国政府は事実上武漢市からの人の移動を制限したが、日本の航空会社、旅行会社はその中国政府の発表を受けて、日本からの便を停止したり旅行予定を取りやめたりしている。これは日本からの出国のみならず、来日する中国人も同じ対応になる。つまり、水際対策だけでは新型コロナウィルスの流入は止めることはできない。
私もTwitter上等で、現在の政府対応や国会議員の対応に「遅い」「ぬるい」と注文をつけてはいるが、そもそも日本国内に今回の状況に対処出来る法的根拠が薄弱だ。
加えて、WHOは中国政府の公表している内容と、中国以外の国の政府発表に基づき、ただちに緊急措置を講ずる状況にないとの見解を発表を出した。ほとんどの場合、日本政府はWHO等の発表内容が緊急を要する場合を除き、強硬な対策を講じることは無い。

繰り返すが、悪戯に国民に不安を煽ることは許されるものではないが、政府の公式な発表が遅れているのも事実だし、またその政府の対応のあり方を追及する野党議員もほとんど見られない。
武漢市とその周辺都市を封鎖しているとの報道だが、高速道路も一般道も武漢市を出る人で溢れている。彼らは新型コロナウィルスが心配というものあろうが、多くは中国の旧正月春節の休暇で移動している。既に中国全土の3分の2の地域で感染者が確認されている状況で、日本は春節期間だけで200万人近い人が来日するとの予測もある。今日現在で、潜在的な感染者は10,000人はいるのではないか?と予測されている。
現在、地上波では新型コロナウィルスを警戒する番組が放送されはじめているが、それも政府発表が遅れていることが一因であろう。

致死率、重症化率が明確になっていない今だからこそ、また日本国内への流入が不明な今だからこそ、早急な対応が大事ではないだろうか?