倉沢良弦『ニュースの裏側』

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人類が対峙しているのは、共産主義か?それとも見えざるウィルスか?

China中央政府は、SARS、MARSの時の対応の遅さが世界的な批判に晒されたことを受け、従来よりも早い武漢市やその周辺地域の封じ込めに躍起になっているが、既に武漢市長が、China中央政府の対応のマズさを指摘しており、次は習近平主席に対する批判の高まりが起こりそうだ。
WHOのトップも武漢市入りし、現場の状況を視察した。また、WHOのテロドス事務局長は習近平主席と会談し、今後のWHOの方針についてChina側の注文を聞いたとの報道がある。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012800400&g=int

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200124/k10012257631000.html

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54963210Y0A120C2910M00/

時系列で見れば分かるが、China国内で新型の肺炎症状を引き起こすウィルス性の疾患が出てきたとの情報は、12月の段階であるが、China中央政府はその情報を隠蔽してきた。一部報道では、新型ウィルスに対して慎重に対応してきた結果、情報公開が遅れたという意見も見られるが、少なくとも初動対応が後手に回ったことは間違いない。
Chinaからの情報発信が遅れたことは、WHOの判断の遅れに繋がった原因の一つであり、また、各国の対応が後手に回る要因ともなった。
日本国内では、1月初旬からChina国内に新たな病原性ウィルスが発生しているという情報が流れてきたにも関わらず、日本政府はWHOの判断を待っていた節がある。また、武漢市内やその周辺地域に住まう在留邦人についても、China国内の報道が遅れたが故に、China国民同様、不安が拡大したのも事実だろう。在留邦人と外務省の駐在員の報告は逐次日本政府にも伝わっていた筈だが、何故、ここまで対応が遅れたのだろうか?
筆者は、China国内に限れば、防衛省のNIDS(National institute for Defense Studies:防衛研究所)の地域研究部中国研究部主任研究官である杉浦康之氏の書かれたChina国内における人民解放軍の新たな指揮命令系統に関する論文で指摘されている通り、習近平体制を中心とした主席責任体制へと移行した結果の情報統制による危機の拡大であると考えている。

http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j19_1_4.pdf

つまり、党中央委員会への権力の集中の余り、地方分権が徹底的に否定された結果、対応が後手に回ったと考えられる。それらは、例えばChina国内に張り巡らされている高速鉄道網も同様だ。China政府の公式発表ですら、既に高速鉄道網だけで約80兆円の赤字を計上しているとされ、利用率を高めるために料金を下げた結果、赤字は解消されるどころか、年々増大している。一説では、地方のGDPの数値同様、中央政府の顔色を窺った数字が報告されていると言う。
最初に取り上げた周先旺武漢市長は、CCTVのインタビューで中央政府から情報公開を2ヶ月間止められていたと暴露し、話題になっている。一方、中央政府武漢市長と湖北省長の対応が遅かったと指摘し、互いに責任転嫁に終始している。
最も懸念された春節休暇前には、500万人の武漢市民とその周辺地域の住民の移動が行われた後、武漢市や周辺都市の封鎖が始まった。
そして、春節の休暇時期に入り、既に多くのChina国民が移動している状況下で、中央政府は国民への移動に制限を加え始めた。既に新型コロナウィルスによる発症者は全省に及び、海外に渡航したChina国民を通じて人から人への感染も確認されている。
WHOは習近平主席の要請により、今回の2019-nCoVの影響について、過度な対応はしないで欲しいとの要請を受け、パンデミックに関しての判断に及び腰であると言われている。

今回の2019-nCoVの発生源の特定について、ここでは言及しないが、SARS、MARSの前例のように、私たち人類は果たして新型コロナウィルスを共通の敵とすべきなのか、或いは偏向した経済発展により内外に影響力を誇示したいChina共産党を共通の敵とすべきなのだろうか?という疑問が湧いてくる。
公衆衛生観念の乏しいChina国内は、今後も新型ウィルスを生み出す可能性は捨てきれない。経済発展を優先するChina共産党は、国内の格差、チベットウイグルの弾圧、アメリカとの貿易摩擦を抱えながら、自国から生まれる目に見えない脅威に対峙する姿勢は消極的だとしか見られない。
経済発展の裏側にあるChinaが抱える本質的な問題の根幹は、China共産党そのものであり、それは同時に他国への脅威でもあると思われてならない。