倉沢良弦『ニュースの裏側』

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チョ・グク氏辞任劇に邪推

文在寅大統領が、疑惑の渦中にあるチョ・グク氏を強行任命したことで、韓国国内の反文在寅勢力を 勢いづかせる結果となり、同時に改革の対象と名指しされた韓国検察は、チョ・グク氏の家族への在宅起訴を視野に、家宅捜索に踏み切った。
元々、検察の権力が強すぎると指摘されてきた韓国では、お決まりのように大統領経験者が権力の座からひきづり下ろされると同時に収賄、斡旋利得等、様々な罪名により牢屋に入る。それはもう、台本通りと言ってもいいほどで、だからこそ、韓国の検察は健全に機能しているという人もいるが、私はそうは思わない。
一つには、軍政を敷いてきた頃の名残があるように思う。
三権分立が民主主義の一つの形式的な条件だと思うが、その三権分立が機能していない韓国の実態があるのではないだろうか?
軍政による独裁政権から民主化に舵を切った時、大抵、国の形は両極端に分かれる。保守勢力と左派リベラルの台頭だ。これは、日本の戦後と全く同じ道を辿っている。
現在、韓国政府は左派リベラルが支配しているが、それに猛反発している反文在寅勢力は、所謂、保守という表現をされる。ところが、韓国の場合、実は民主化が完了していないのが国の実態ではないか?という右、左双方が同じことを言っている。
保守と呼ばれる右の人々は、親北朝鮮勢力が政権を握ったら、韓国は滅ぶと言い、左派リベラルは真の民主化を図るには社会主義に向かうしかないと主張する。それが、民主化の本筋という訳だ。それらの言い分は、どこに集約されるか?民衆の思いとは裏腹に、財閥勢力が経済を握る韓国において、政治権力を握るものは必然的に経済の力を有する財閥系にすり寄るしかなく、その結果、押し並べて汚職に手を染める。何故なら、財閥企業は日本の前例を見て、財閥解体を恐れているからだ。政治の権力者は常にそこを見続けてきたので、結果的に権力の座からひきづり下された時、自分が手を染めてきた悪事が露見する。
三権分立が公正に機能していたなら、情理や感情に流されない法治国家として機能するはずが、検察だけがやたらに機能し、政治家も手を出せない有様だ。
立法府が機能しない、国政の場は、名ばかりの民主主義に翻弄されるだけである。
韓国が検察の力で権力者を引き摺り下ろす構図は、実は民主主義の否定に他ならないのではないか?
これが、私の邪推だ。
このままでは、文在寅大統領は任期前に弾劾されるだろう。