倉沢良弦『ニュースの裏側』

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韓国政府が置かれた窮地とは?

日本政府による韓国に対する輸出関連の法令見直しについて、韓国が主張するWTOへの提訴に該当する中身について、元経産省官僚の細川昌彦氏は、2004年以前の取り扱い方に戻したに過ぎず、今回の対象三品目が禁輸措置になるわけではないとの解説を行なっている。

 

https://youtu.be/f_DVxl9okY8

 

経産省が出しているbriefing書類にも、それらの記述は明確に記されている。

経産省文書については、Webサイトで確認が出来る。PDFファイルの連携が必要なので、ここには記載しない。

下記パブリックコメント受付窓口に、参考書類として閲覧が可能だ。

 

https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595119079&Mode=0

 

韓国国内では日本政府による不当な経済制裁だとして、文在寅大統領が国内主要企業の代表に緊急事態である旨の状況を伝え、国内企業との連携強化を訴えた。

それらの文在寅大統領の動きは、支持率低下と政府対応の不味さを指摘する国内世論を回避するための動きとの見方が大半で、韓国国内の野党は文在寅政権批判の材料としている。

また韓国政府筋は、過去に摘発された韓国から密輸出された対象三品目のうち、日本から輸入された物は無いとか、密輸出に関与していたのは日本企業の疑いが濃いといった、ちょっと国際社会の常識とはかけ離れた意見も見られる。

 

https://news.livedoor.com/article/detail/16756306/

 

また、今回、韓国政府が行うとされるWTO提訴に関して、興味深い話しと思えるのが、そもそも提訴自体がWTOの規制に該当しないという点と、トランプ大統領が指摘しているように、WTOに提訴された事案の審査を行う上級委員会が機能していないという点だ。

WTOの審査は二段階で行われるのだが、最終決定を下す上級審の委員が決まっておらず、機能不全を起こしている。アメリカはWTOのあり方自体に不信感を寄せていて、委員の選出を見送っている。トランプ大統領WTOを解散し新たな機関設立まで言い始めた。

 

拙コラムで何度か触れているように、今回の日韓関係の懸念材料は、貿易問題ではなく安全保障上の問題だ。

WTO提訴は、筋違いと言えるだろう。

また、常識的に考えて、韓国政府の主張は無理筋を通そうと言うもので、国際社会の理解を得るのはハードルが高い。

仮に、提訴に踏み切ったとしても、WTOの決定が出るには恐らく数年を擁する。また、WTOの審査が入るということは、具体的な案件についての再調査が必要となり、そうなると表に出ていない韓国企業の不透明な輸出状況が白日の下に晒される。そうなれば、WTOが国連にこの問題を持ち込み、日本政府が主張する安全保障上の問題となり、問題が顕在化して韓国は経済制裁の対象になるだろう。

そこまでの見通しがあって、日本政府は早期に輸出管理に関して方針転換したと見るべきだ。

また、複数の政府関係者は更なる措置の準備もあり、韓国経済に与える衝撃と打撃は、今回の三品目の比では無いとも言われている。

 

韓国政府は今後、どう対応するのだろうか?

文在寅政権が倒れるなど、些細なことだと思えるほどの事態になる前の懸命な判断が待たれる。

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