8月23日、韓国政府は『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府の間の協定*1』の破棄を一方的に発表した。本来であれば、協定自動更新日（毎年11月23日）の90日前に通達（期限8月24日）しなければならないことから、韓国政府の判断に注目が集まったが、条件付きでの延期等が韓国メディアのスクープ情報として流れた直後、韓国政府は一方的な条約破棄を発表した。
これまで、アメリカ政府も冷静な対応を迫り、日本政府も条約破棄に関しての韓国政府の判断を期待していたが、日米韓の連携に水をさす形での韓国政府の対応に、日米両国の今後の対応が注目されると、各メディアが報じている。
もともと、旧民主党政権時から日韓におけるGSOMIA*2 締結の動きはあったが、2012年の韓国側からの締結延期の申し入れに始まり、日韓政府との交渉は難航してきた経緯がある。その後、韓国の保守系大統領であった朴槿恵大統領時代（2016年11月23日）に条約が締結された。
今回、韓国政府は「韓国の安全保障上の重大な懸念が生じた」的な表現で、GSOMIAの延長を行わないということであるが、これで困るのは韓国政府であり、韓国軍だ。本条約の本文を読めば、この条約の意味するところは、軍事秘密情報の保護に関しての両国間の約束であることが分かる。つまり、軍事上知り得た情報を両国間で保護し、他に漏らさないということを主眼に置いている。アメリカの同盟国である日米韓の連携を取るにあたり、互いに知り得た重要軍事機密を保護することを約束するからこそ、北朝鮮関連の情報や、東アジア全体の情報を忌憚なく共有することが出来る。もしGSOMIAを破棄したら、知り得た軍事情報を保護しないことになるので、ダダ漏れ状態の国に軍事情報なんか知らせない。また、GSOMIAが仮に破棄されても、それまでに知り得た情報も漏らしてはならないと条約に規定がある。
これは、アメリカに対し、後ろ足で砂をかけるに等しい行為だ。
アメリカは独自に日韓両国と情報を共有しているが、北朝鮮や中華人民共和国に関する機密情報は日本が保有している部分も多い。日本はアメリカとはそれら情報を共有できるが、アメリカは日本から知り得た情報を韓国に伝えることが出来なくなる。日韓間の軍事情報機密保持の条約が無ければ、アメリカが日本に対して条約違反をしたことになるからだ。
韓国の今回の感情的な判断は、元々、北朝鮮がGSOMIA破棄を訴えてきたことにも端を発する。まるで、韓国の宗主国が北朝鮮であるかのような行いだ。つい先日まで、韓国を相手に短距離ミサイルの発射実験を行いながら米朝関係を優先する姿勢を見せ、尚且つ文在寅大統領の南北統一を目指すという発言を、「これほどのバカがいるか？」と罵られた上で、北朝鮮が主張するGSOMIA破棄に踏み切った文在寅は、軽挙妄動などとは言えないほどの愚策を演じたことになる。
ただし、冷静に見たとき日韓関係が2016年以前に戻っただけとも言える。
韓国政府関係者は、常に日本を上から見ている節があり、GSOMIA締結にあたっても自分たちが優位に立つ形で進めようとしてきた。これは旧民主党政権が韓国に対してGSOMIAを結ぼうぜ、と声をかけ続けてきたから結んでやったという態度が見られるからだ。実際、GSOMIAを結んで得をするのは韓国であり、韓国国内にいる親北朝鮮勢力だ。労せずして日本が持つ東アジア情勢の軍事機密を入手できるからだ。北朝鮮がGSOMIA破棄を訴えているのは外交上のブラフであって、旧民主党政権時に入手し放題であった日本政府の情報が、安倍政権になって一切、入手できなくなった。GSOMIA破棄と言いながら、親北朝鮮政権である文在寅を利用して、日本政府の情報を得たい北朝鮮は、情報戦の一つの道を絶たれたことになる。
北朝鮮を宗主国と崇める文在寅大統領は、金正恩に媚を売る代わりに、金正恩首領の逆鱗に触れることになるだろう。まして、金正恩はトランプにしか目がいっていない。文在寅は自らの外交の手柄が欲しいばかりに、アメリカと北朝鮮の両方に喧嘩を売ったことになる。そして、日本しか入手できない東アジアに関する軍事機密を得られないことで、韓国軍部内にも動揺が走るだろう。最悪は、軍事クーデターまであり得る。文在寅は無能である。
自らの手柄が欲しいばかりに、何をどうして良いのか分からないから、保身に走った結果、全ての信頼を失った文在寅は、韓国史上最低の大統領となるかも知れない。来春の総選挙を見据えているのだろうが、文在寅支持派の3倍はいると言われている保守派は、現政権に鉄槌を下すことになるのではないか？
そうなると、稀に見る大統領二代にわたる弾劾ということもあり得る。
文在寅はバカな判断をしたものだ。
