倉沢良弦『ニュースの裏側』

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給付金に群がるハイエナに注意せよ!

現在の自粛要請の中にあって、休業要請に従わないパチンコ店が問題になっている。パチンコユーザーは、それがギャンブル依存であろうがなかろうが、パチンコで生計を立てていようがいまいが、店舗が開いているとなれば、少しくらいの距離など厭わず、出かけていく。

パチンコ店の言い分としては、店を開ければお客さんが来ることが分かっているので、従業員の賃金、経費の回収、家賃を考えると、営業せざるを得ない。また、パチンコユーザーは、開いているのだから行って何が悪い?ということになる。

大阪府は、休業要請に従わないパチンコ店について、新型インフルエンザ等特別措置法第四五条を適用し、パチンコ店の公表に踏み切った。その際、開けている店舗の宣伝になるという反発もあった一方、店舗名の公表によって休業要請に応じる店舗も出てきた。

今回の全都道府県に対しての緊急事態宣言に当たって、橋下徹氏が指摘しているように、旧民主党時代に作られた本法案に付帯事項を加えたのみの、今回の新型インフルエンザ等特別措置法は、抜け穴が多く、欠陥法となってしまった感は否めない。それが、休業要請に応じない大規模興行場へ人が集まる事態であり、クラスター化の原因を作ることになってしまった。

現在、大阪府だけがメディアで取り上げられているが、同様の出来事は日本中で起きているだろう。

緊急事態宣言下で、特定警戒都道府県に指定されている地域について、大阪はその対象地域のため、より優先度を高めて吉村知事が要請に従わないパチンコ店名の公表に踏み切ったわけだが、次にそのパチンコ店は何を考えるだろうか?

今回、国民一人当たり10万円の給付金が配られる。その配布のあり方は、未だ賛否両論があるが、いずれにしても、家族構成によっては、相当金額の給付金が入ってくる。今回の休業要請に対して事業が進められなくなったパチンコ店は、コロナショック後に減益した収益を改善するために盛大にPR活動を行うのではないだろうか?その目的は今回の給付金だ。

ただ、すでに営業許可を出している地元警察は、射幸性を喚起するイベントについては、規制が行われているため、事前のイベント告知やパチンコ番組、パチンコ動画の収録等の事前告知ができなくなっている。そこで、各店に会員登録制度を設け、直接メールを発信することで、間接的なイベントを行っているのは、もはや周知の事実だ。とするならば、コロナショック後を当然、パチンコユーザーも期待しているはずである。

また、今回の給付金について野党その他が指摘しているのが、世帯主に家族全員の給付金を配布することによって、必ずしもそのお金が家族のために使われないのではないか?という点だ。上記のようにパチンコにドップリはまり込んでいる人は、入金されたお金をそのままパチンコや公営ギャンブルに浪費することは誰でも考えられる。まして、年金生活者等、収入の道が途絶えていない世帯は、今回のコロナショックに経済的な影響は無い。それは公務員や国会議員、地方議員も同様だ。確かに、野党その他が警戒しているように、収入に変化が無い家庭にとって、今回の給付金は余剰のお金となる。多くの経済アナリストは、今回の給付金の半分程度が預貯金に回るのではないか?との見方を示しているが、公営ギャンブル、パチンコ等の遊興に浪費している国民は、人口の2〜3%程度はいると考えられるため、1,000〜2,000億程度は、これらギャンブル等に回されるだろう。

 

加えて、コロナショック後、給付金を目当てにしているのは、何もサービス業、飲食業に限らない。

得体の知れない反社会勢力も、このお金に触手を伸ばしてくるだろう。

私は今回の給付金は、コロナショックで落ち込んだ経済へのテコ入れ、また収入が激減した家庭への支援と位置付けているので、使うことに意味があると考えているし、使わなければこの給付金の意味が無い。

今回、財務省が給付金に対して多少の抵抗を見せてはいるものの、消費税減税を行わないことをバーターに給付金にOKを出したのは、その後の消費によって得られる消費税収で、総給付額、各種貸付金等で給付額の20%程度は税収に跳ね返ることを知っているし、仮に赤字国債を発行しても、100年程度で元が取れることを知っているからだ。

確かに財務省は、財政均衡の呪縛にあるし、報道各社にも議員にも各種のブリーフィングを行う際、この点を強調する。

反面、彼らが絶対に言わないのが、緩やかなインフレさえ起きれば、実は赤字国債は大した問題ではないことを知っているからだ。

 

拙コラムでは、パチンコ業界を例にポストコロナショックについて触れてきたが、注意が必要なのは、今回の給付金を目当てに群がる連中が多く出てくるだろうということだ。

特に、コロナショックに影響を受けていない年金生活者、公務員等は真っ先に狙われる。

このことを今から、自覚しておいた方がいい。