#検察庁法改正に抗議します、のハッシュタグがTwitterのトレンド上位にランクインし、朝日新聞をはじめとしたメディアが取り上げる事態になった。一時、ハッシュタグを付けたツイートが200万を超えたことで、今回のツイデモに一定程度の効果があったと見る人がある一方、一つのアカウントが100回以上ツイートしているものも見られた為、Twitterジャパンがスパムと判断し、トレンドから外す事態にもなっている。
Twitter上では、それら特定のアカウントによる複数投稿の事例を紹介したりしているが、この動きに芸能人も便乗して、余計にお祭り騒ぎになってしまったようだ。
宮本亜門氏は、昼間のワイドショーに出演したおり、芸能文化に関わる人々への支援策が弱いことを嘆き、それも現在自粛状態にある芸能人が、今回のハッシュタグ祭りに参加した大きな要因だと思う。
日頃から政治的な発言が目立つタレントが、真っ先にこのハッシュタグ祭りに参加し、最もらしく今回の検察庁法改正の問題点を指摘したつもりになっている。また、メディアが今回の法改正と、黒川検事長の定年延長を重ね合わせて報じるという印象操作を繰り返す為、そのにわか知識で発言するタレントが、余計に問題を肥大化させている。
確かに、日頃から日本の若者に人気のあるタレントが、政治的な発言をすることは、好ましいものではないという風潮はあった。私はそれには反対で、情報というものは万人に公平に平等に与えられているものであり、その情報に基づいて政治的発言をすることは、有権者の一人として、国民全員に権利がある。
ただ、今回のハッシュタグ祭りに参加している多くのタレントは、正しい情報に基づいて発言しているのだろうか?
また、芸術文化に携わる人の多くは、政治的な主張に囚われることなく、むしろ体制を積極的に批判するべき立場にあるという意見もある。演芸の世界では体制を面白おかしく滑稽に演じて見せることで、庶民に笑いを通じて権力者批判を行うということもあるだろう。それを否定するものではないし、むしろそれが文化の発展に寄与するなら、大いにやればいい。
ただ、それをオーディエンスの立場で見聞きする我々は、タレントの発言の要旨を理解し、正しい分析をする必要がある。
情報とは大抵、一方的に発信されるものだ。それは短文でわかりやすいセンテンスに満ちていて、色々な批判を短い言葉に含意する。それは笑いであったり、歌だったり、演劇だったりするだろう。しかし、その批判自体が正しい知識に基づいているのか?の判断は、我々側に責任がある。
言い換えるなら、視覚聴覚に訴える主張に対して、我々自身が判断できる力を持っていなければ、今回のツイデモのような、深い意味のないお祭り騒ぎでしかなくなる。
ほんの少し注意して、情報を見つけ、冷静に判断すれば、今回の騒動の多くはトレンドに振り回されているだけのことだということが分かる。
何百万人ものフォロワーを抱えるタレントの発言は、そのフォロワーの何%かに影響を与えるのは事実だ。
そんなことは、日本に限らず多くの国で起きている。しかも、それは自分の掌大の世界で起きていることで、誰もがほんの少し指を動かせば出来てしまう日常の些細な出来事でしかない。そこに深い考察も思慮も存在しない。
だからこそ、危ういのだ。
今回のハッシュタグ祭りについて、多くは間違った情報に基づいているし、大いに政治的力が働いている。
情報を発信する側と受けての双方に問題があるし、それを表象させた現象であって、それには大きな危険性を孕んでいることを知るべきだ。