倉沢良弦『ニュースの裏側』

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何故、外出自粛が必要なのか?

政府は、現在の緊急事態宣言の期間延長を決定し、約1か月間程度とすることを発表した。

当初見込みのゴールデンウィーク明けから、さらに6月初旬までの期間延長を盛り込む。これは、専門家会議の意見を踏まえ、決定し、同時に補正予算が本会議を経て即時施行されるため、経済的に困窮している国民生活に、一定程度の安心感を得られるとの見方が含まれる。

この決定が出されたことで、むしろこれまでの補正予算では弱いとする意見も多く、それは与野党問わず出ている。中には、さらなる二次補正が必要だとして、特にいわゆる真水と呼ばれる現金による手当を呼びかける声が自民党内から出ている。

 

外出自粛の動きについては、これまで同様、中小零細や個人事業主の経済活動を圧迫するものとなり、そこについて、支援策を講じるのは当然であろう。

だが、その反面、ワクチンも特効薬も無い今回のCOVID−19(Coronavirus Desease 2019:新型コロナウイルス感染症2019)は、医学的には大きな悪影響を与えている。

致死率は季節性インフルエンザの中でも強力なA/H3N2やA/H1N1より少し高く、感染力は季節性インフルエンザより少し弱い、ということが研究で分かっている。ただ、COVID–19の厄介な点は、基礎疾患や呼吸器疾患、心疾患を抱えている患者に対し、発症リスクが極端に高い点があると言われている。実際、今回の新型コロナウイルスSARSCoV−2)の発祥地である、中国湖北省武漢市でも多くの患者データから、これら基礎疾患患者の致死率の高さが指摘されてきた。

従来、言われている感染してもほとんどの人は発症することなく、或いは風邪症状を経て、体内に抗体ができるが、仮に発症しても8割の人は軽症ですむというのは、あくまでも健康体の人に対してであり、基礎疾患患者、呼吸器疾患患者、心疾患患者、また他に免疫力が低下するような疾患を抱えている患者には、極端なまでに致死率が上がる。

死亡原因の大半は肺炎症状であるが、肺炎自体は、今回の新型コロナウイルスを原因とせずとも、毎年、多くの死亡者を生んでいる。2018年の統計では、肺炎を死亡原因とするのが11万人以上とされ、今回の新型コロナウイルスは5月1日現在で415名だ。全体として見れば、データ的にはそれほど恐る数字ではないように思えるが、基礎疾患患者その他の、高い感染リスクを負っている患者が家族にいる場合、その不安感は拭いきれない。

これで、特効薬でも見つかればいいのだが、アビガン(ファビピラビル)、レムデシビル、ロピナビル、ヒドロキシクロロキン、シクレソニドのいずれも、一定程度の効果はあるものの、未承認のままだ。

 

実際問題として、これら基礎疾患等の患者は、極端に感染リスクを恐れて外出を控えているが、健康な人が感染を拡大させているのだ。

もちろん、健常者であっても、発症リスクはあるわけで、感染しても健康だから発症しないとは言えない。しかし、もっと重要なのは、その健常者同士で感染拡大し、それを介して多くの基礎疾患患者等に命の危険が迫っているということなのだ。

ここに、是非思いを致して欲しい。

パチンコ店が、従業員の賃金、経費等の問題から、休業要請に反して開店していたことが問題になっていたが、そこには、信じられない数のお客さんが群がっている。テレビのインタビューでは、罹る時は罹るんじゃ無いですか?などと、呑気な言い回しで、あれを観た私は憤慨してしばらく怒りが収まらなかった。

少し、想像力を働かせれば、自分が感染源となって人の命を奪う事態になることが、容易に想像できるはずなのに、自分の財布の中身を膨らませたいと言う欲のために、他人を犠牲にすることをなんとも思わないと、白状しているようなものだ。

 

これは本当に当たり前のことだが、ほんの少し想像力を働かせて、ほんの少し我慢して、不要不急の外出を控えることの大切さを考えて欲しい。

 

https://www.ryumachi-jp.com/information/medical/covid-19/

https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(20)30079-5/fulltext

http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/2019ncov_ippan_200203.pdf