倉沢良弦『ニュースの裏側』

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何故、野党は間違えるのか?その2

最初に話を戻すと、国民は旧民主党の体たらくに辟易して、第二次安倍政権を選択した。
そもそも、安倍総理改憲論者で、その安倍総理が就任し、自民党が圧勝したことで、株価は一気に上昇し国民はアベノミクス政策に期待した。
その結果として、有効求人倍率は上昇し、失業率はほぼ完全雇用というところまで下がり、株価は旧民主党時代の3倍近くまで跳ね上がった。非常に興味深いのは、それでも急激な円安が起きていないと言うことだ。これはまた別の機会に触れてみたい。
結局、国民生活を支えるのは経済である。経済の指標が順調な時、人は政府に不平不満を持たない。旧民主党が崩壊したのは、デフレ不況から抜け出せなかったからだ。よく、野党は政治の素人だから政権運営が出来なかったとか、東日本大震災の時の政府の対応の不味さが国民の不満を増長させたと言う人がいるが、そう言う国難が起きる可能性は常にある。日本は地震大国だし、今回のコロナショックのように目に見えない脅威は、いくらでも私たち周囲に転がっている。しかも、今回のコロナショックはChinaを発端としていて、人類がこれはマズいと気づいた時には、既に手遅れになっている場合、Chinaを責めても仕方がない。遅かれ早かれが、早く来たと言うだけの話だ。
少し時間を戻せば、第二次安倍政権誕生以後、森友学園問題、加計学園問題、公文書改竄問題、桜を見る会の問題と特定野党は必死に、実に足掛け3年以上に亘って政府を追及してきた。
森友問題は元々、大阪の市議会議員が野党幹部に持ち込んだ話で、それに便乗して名をあげたかった記者や自称著述家が、近畿財務局に日参して役人に猛プッシュをかけていたオッサンを利用したと言うだけの話だ。
加計学園問題は、お亡くなりになった加戸前愛媛県知事の悲願であった獣医学部開設を阻止してきた玉木雄一郎議員をはじめとする獣医師会閥議員が護ろうとしていた岩盤規制を打ち砕くもので、それ自体は称賛に値するものだったのだが、加計孝太郎氏が安倍総理の友人であったと言うだけの理由で、追及したと言うバカバカしい話だ。
唯一問題視していいのは、公文書改竄が官僚の手によってなされたことで、これは政府として真摯に受け止める必要がある。
ましてや、桜を見る会の一件など、アホらしくて開いた口が塞がらない。
これら、バカバカしい特定野党議員の茶番劇の思考回路の本質は、憲法改正もしなければ物凄い強力な首相権限が無いにも関わらず、第二次安倍政権が盤石なのは、安倍総理が表に出ない強権を発動しているからで、それを暴けば政権は倒れるという勘違いに尽きる。
そもそも、国家の政権を転覆するのも、イデオロギーを先にだしその理念に従って民衆を煽動するものという欧米にありがちな革新思想が野党各党の議員にはある。所が、日本の政治の歴史においてイデオロギーが政府を変えたと言うのは戦前、戦中、戦後の動乱期に見られただけだ。戦争という苦い経験を踏んだ日本人は、政治信条の争いではなく、自分たちにとって正しいか正しくないか?を政権選択の中心に据えた。
これを分かりやすい言葉で言えば、自民党的か自民党的でないか?ということだ。
言い換えるなら、日本には保守とか革新の対立や、右派と左派といった対立構造は政治家とメディアが勝手に言っているだけで、自民党的なものか自民党的で無いものか?しかない。
これは、過去多くの政治記者や評論家が指摘している点であって、別に目新しい視点ではない。
もっと有り体に言えば、政治の世界で言えばこの日本という国には右派も左派も、保守も革新もいない。日本は自民党の国なのだ。
ここ数年で言えば、立憲民主党の枝野氏が、立憲主義を掲げ、立党した。これは彼の悲願であった。そこには自民党的なものからの脱却があったのだ。そして最近離党した山尾しおり議員は、立憲主義の理念を掲げて立党した立憲民主党が、その理念と逸脱し政局に堕したと判断して、法律家としての矜恃を持って離党した。このことがどれほど大きな意味を持つか、立憲民主党幹部は理解できているのだろうか?別に贔屓するわけじゃ無いが、森法相以上に法務大臣を担えるのは、山尾しおりだと私は思っている。彼女の私生活はともかく、改憲議論から法律の解釈論まで、超絶エリートの法務省官僚、内閣法制局官僚と対等に渡り合えるのは、現状の国会議員の中では彼女くらいのものだ。少なくとも、法律論で言えば、レンポーをはじめとする名だたる野党議員は彼女の足元にも及ばない。元検事という肩書はダテではない。

話をもとに戻せば、要は今の特定野党は、何故、第二次安倍政権がこうも長期政権で、しかも支持率が落ちないのか、全くわかっていないのだ。
政治の世界における常道とも言うべき、イデオロギーの標榜や、憲法を改正して独裁政権を維持しようとする習近平プーチンとも違う。総理大臣に大統領並の権限が付与されていて、総理大臣の前には全員がひれ伏すしかない、という法的な権限もない。
ただただ、この7年余りの間、選挙で勝っているというだけの話だ。総理大臣の唯一にして最強の権限は解散総選挙であるが、それにしたって、旧民主党の野田元総理が捨て鉢でやった解散総選挙の惨状を見ればわかるであろう。優秀な宰相とは、期を見て敏なる人だ。そこには狡猾さも必要になる。良い例が小泉純一郎だ。あれほど、ずる賢くて図太い神経の政治家もいない。
特定野党の議員の脳は、イッパシに革新的な政治思想を学んだばっかりに、長期政権は何か目に見えない強権を使って、周囲を脅しながら政権維持をしているという誤った見方がある。
第二次安倍政権はそんな特定野党の脳では理解できない外側の理屈で動いている。だから、ありもしない疑惑だの何だので政府を追及するしかない。彼らはそれがあるはずだという妄想で突き進んでいて、元々ないものだから、堂々巡りするのだ。
特定野党がもっと理解すべきは、この国は自民党的なものか自民党的ではないものか、の2極しかないということだ。