倉沢良弦『ニュースの裏側』

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政府方針にブレーキを掛ける野党

産経が報じたところによると、自民党内での駆け引きが強くなっているとのこと。
現在、庶民生活が自粛ムードの中で経済活動が停滞していて、特にパート、アルバイト、非正規雇用の立場にある人々の生活困窮家庭が増加するとの懸念から、政府は大規模な対策を講じるべく協議を進めているが、その具体案の段階で与党内での駆け引きが起きているらしいのだ。

https://www.sankei.com/premium/news/200327/prm2003270008-n1.html

そもそも、自民党内での経済対策案の策定が遅れているのは、党内派閥の領袖による駆け引きによるものだ。
次期総裁候補の呼び声が高い岸田氏は、総裁直接の命により原案策定に乗り出しているが、党内での影響力を誇示したい二階氏は、森山国対を通じて野党筆頭の立憲民主党の安住氏に声を掛けた。つまり、与野党一致の構図を描いているのだ。
これは、とっくに立憲民主党不要論が大勢を占める世論を理解していない、旧来の国対同士の馴れ合いでしかない。この時期、野党として具体策を出しているのは国民民主党日本維新の会だけだ。立憲民主党から声が上がらないのは、素案策定しても後塵を拝しているため、むしろ与党内で出されている5月実施に向けて与野党一致して対策したという既成事実を作り出したいだけだと思われる。
二階幹事長の協議会を作るという岸田政調会長を無視した態度は、立憲民主党の小賢しい安住国対を利するだけである。他の野党とは違う立場で与野党一致体制を見せつけることで、是々非々で動く姿勢を演出したいのだろう。
事実、現在の参議院での予算委員会では、相変わらず森友問題を話題にし、どうでもいいような総理夫人の花見で騒ぐことで、時間稼ぎをしているに過ぎないのだ。立憲民主党が本気で与野党一致して対策協議会を作り、前向きに一刻も早く国民重視の対策を行うなら、堂々と予算委員会の場で、政府に対応を迫ればいいのだ。二階幹事長を筆頭に森山国対と安住国対で水面下で小賢しく動く様は、滑稽でしかない。そこに国民生活重視のあり様は見られない。

東京五輪が約1年延期になったことで、コロナショック鎮静化後の解散総選挙の動きが活発化するかもしれない。総理は四選は否定しているが、与党内で安倍総理四選を止める動きは、岸田派と二階派だけだ。二階幹事長は安倍総理四選を支持しているが、今回の協議会を作る動きは必ずしもそうとは言い切れない。これは、まさに現代の55年体制そのものではないか。
既に立憲民主党のホームページには与野党協議会について、如何にも立憲民主党が前向きなフリを装っている。逢坂幹事長は与党に要請したと言うが、実際に話を持ちかけたのは森山国対だろう。
これは、立憲民主党が来る解散総選挙まで見据えた票取りのバーターを行なっていると愚考する。
今の森山・安住の体制なら、それくらいのことはやりかねない。どちらにも益する内容で、安住国対のことだから先々で思いっきり恩義を着せてくるだろう。
一つには、自民党内で若手議員を中心に、直接的な経済対策として30兆円規模の素案が出された時点で、更に上乗せした大規模な対策案を策定出来なかったという党内事情がある。要は大所帯が故の身軽さが欠けている。ただ、国民の期待感を煽るだけ煽って、有り体に言えばショボい対策案しか出て来ないとなれば、次期総選挙で自民党は苦戦を強いられるだろう。
それこそ、姑息な手口に終始する立憲民主党を利するだけだ。

国民の声は、「早急に大規模な対策案を出せ!」「悪夢の旧民主党時代に戻すな!」に集約されていると思えてならない。