倉沢良弦『ニュースの裏側』

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日本も欧米も南米も感染拡大のルーツは共通点がある?

China湖北省武漢市に端を発する今回の新型コロナウイルスショックについて、表向きChina国内は沈静化が進み、これ以降は国内企業の工場再会と、国内物流、そして人の移動が再開する段階を迎えた。
日本は、確定診断にPCR検査を使うという手法をとり、国民全体で感染拡大を予防していく方針を継続している。ところが、3月26日以降、都内の病院における院内感染のクラスター化が見られたことで、日量の感染者数の増加が続いた。東京都は引き続き感染経路の特定と濃厚接触者の割り出しを徹底していて、更なる感染拡大を阻止しようと懸命だ。
日本では、各国で入港接岸を拒否されたクルーズ船の接岸受け入れを決め、2月3日にアジア諸国を周遊するクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号(以下、DP号)が横浜港に接岸し検疫を行なった結果、船内での感染拡大が明らかとなり、ウイルスをクルーズ船内に留めおく形での上陸阻止の手法が取られた。
2月の段階で、入港接岸させたまま、クルーズ船内に乗客を留め置き検疫を行う、或いは経過観察を行う手法に対して、賛否が分かれることなったが、その後同様のクルーズ船の乗客を下船させた結果、爆発的な感染拡大に繋がった欧州の事例を見れば、日本政府の判断は間違っていなかったと言っていいだろう。
実際、現在でも世界各地で入港接岸を拒否されているクルーズ船が数隻、幽霊船のように各地を彷徨っている。国際法により、その国の領海内の航行は許可されたとしても、航行中は船籍の所属する旗国の法律が船内では適用される。つまり、最終的にはその旗国が船内の乗客に関して責任を負わなければならない。また、ある国の領海内での停船した時点でその国の法律が適用されるため、今回のような船内感染が懸念される場合、航行は許可されるが停船は許可されない。つまり、今回のDP号に対する日本政府の対応は異例中の異例なのだ。

https://apnews.com/c6eaeeb74dc2a2e4e561cdb8929ae60b

欧州での感染拡大の一つと言われているクルーズ船の乗客であるが、それ以外にも多くの懸念材料がある。
APが報じているのは、ハイチのPORT -AU -PRINCEというリゾート地で、ハイチで初の感染者が見つかったことについて、世界各地を回っている欧米富裕層が持ち込んだ可能性が高いことを指摘している。この記事によれば、感染者は既に回復したとのことであるが、例えばハイチをはじめ南米のリゾート地などは、富裕層がこう言ったウイルスを持ち込むことに対する懸念が非常に大きいと指摘しているのだ。一般的にリゾート地があるのは地方都市が多く、医療インフラは脆弱で、今回のような新型の感染症に対して、ほぼ無防備状態だ。しかも公衆衛生の観念も設備も先進国に遠く及ばない。
APは、今回のような感染経路は富める者が貧しき人々を圧迫する不公平性を内包していると指摘している。
その意味で、経済大国はその経済規模故の課題がある一方で、今回のコロナウイルスショックは途上国への影響力が最も問題となっている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56693720S0A310C2000000/

WHOは3月11日の会見で、今回のコロナウイルスショックはパンデミックと言っていいと、初の見方を示したが、その後、世界がその感染リスクに備よと、軌道修正した。
この修正の意味は、先進国には経済的な影響を、途上国には死亡者数増加の懸念を指摘したものだった。
途上国の人々の多くは敬虔なカトリックイスラム教信者が多い。
フランシスコ教皇バチカンサン・ピエトロ大聖堂内でたった一人で世界中のカトリック教徒に対してのミサを行い世界中に結束を呼び掛けた。
「神」なるものに祈りを捧げてどうにかなるものではない、という嘲笑は傍に置いておいて、そうでもしなければ身の置き所が無い不安と焦燥に駆られている信者が世界中に数億人単位でいるのも事実なのだ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200328/k10012355071000.html

今のところの試算では、途上国への経済支援だけで200兆円は最低でも必要だろうとの見方もある。
地球上の富が偏在しているのは間違いない。
このような見えざる敵に怯えなければいけない人類は、誠に貧弱な存在だが、その弱々しい我々の中でも、いつの時代も貧しき人びとが最終的に辛い目を受け持たなけれいけないことの方が、実は哀しい現実だ。