倉沢良弦『ニュースの裏側』

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中国撤退を決めきれない経営者たち

チャイナリスクの高まりは日毎に増すばかりだ。

特に目立つのが、中国国内の経済を回す為の石炭となっていた不動産市況は下落の一途であり、不動産関連会社のデフォルトは続く。

中国の地方政府もまた中国国民も資産形成に不動産を使っていたが、売れない、作れない状況が続く中、仕方なく中国なりの不良債権処理として、安値で不動産売却を行う動きが加速している。そもそも、売りたくても買う人がいない状況で、不良債権処理など出来よう筈もなく、結果、資金難に陥った不動産会社はデフォルトすることになる。

もはや、中国国民は、一時的なデフォルトも敢えて容認して、とにかく、投資金を回収するか、建築途中の不動産を完成させて住めるようにしてもらうかしか無くなっているのだろう。

不動産関連の業界に関わっていた労働者は、資金難で賃金が払われない、材料の調達が出来ない不動産業者が増えたことで、働き手も不動産業界、建築業界から遠のく状況になれば、ますます、ゴーストタウンが広がるばかりになるのではないだろうか?

中国共産党のアキレス腱は、革命思想の党なのに革命の可能性を潰していってるところのある。そもそも革新的なイデオロギーだった筈なのに、自らが独裁体制を作ると、それに反対するしたり文句を言う連中を軒並み粛清し、革命を許さない社会を作っている。革命しないと言うことは進歩しないと言うことで、つまり中国は共産党が誕生した100年以上前から、何も進歩していない。だから計画経済として国家資本主義をでっち上げた後、それが暴走してしまったら止める術を知らないのだ。何せ、国家資本主義を否定することは独裁者習近平を否定することになる。習近平の否定はつまり、革命思想なのだ。

革命を標榜し、資本主義を打破することを目的とすることを党是とする中国共産党にとって、民衆が共産主義を打倒することを目的にしたら、それは自己矛盾になってしまう。資本主義を打倒する革命思想が、自分たちを倒す革命思想に負けてしまうことは、共産党には許されないことだ。革新政党なら本来、そのような革命思想そのものを賛美しなければいけないのに、倒されるのが自分たちであることを認めることはない。つまり、保守主義だ。

100年間、変えられなかった政治思想を新しいものに変革することを認めないのだから、保守主義だろう。まるで社民党日本共産党のようではないか。自民党改憲しようと革新的な提言をしようとするのに、それを否定するのである。憲法は一言一句、変えてはならないと言うのだ。これほどの矛盾は無い。立憲民主党の小西ひろゆきなども、改憲を否定するのだから、保守主義者と言って差し支えないだろう。彼は自分のことを憲法学者と言ってるようだが、同時に自分はリベラルな政治家だとも言っていて、リベラルならより時代に合った革新的な思想であるべきなのに、憲法を変えることは絶対否定する。

日本の護憲派中国共産党は、その意味で広義で同じだ。両方とも、現在の体制、現在の在り方を変えることに意を唱える。リベラルであり革新派である筈なのに、だ。

バブルが崩壊し、日本の製造業は、一気に不況とは何か?を経験することになる。
そして、追い討ちをかけたのがアジア通貨危機リーマンショックだ。冷え込んだ景気は、急激な円高と共に製造業が安い人件費を求めて中国に進出することになった。これらの経緯は必然とも言えるもので、日本に限らず先進国は安い人件費を求めて中国に進出した。その中には、アップルや大手電化製品メーカーや大手自動車メーカーなどがいて、部品供給のインフラとして中国の工場をそのネットワークに加えた。

日本の製造メーカーのうち、部品供給する中小企業や、メーカーが一貫生産にこだわった結果、より賃金の安い中国に日本の技術を持ち込み、日本で作る製品と同程度の品質を維持しようとした。

中国と世界の製造業の関係性と併せ、中国と日本の製造業との関連性とその問題点については、経産省のまとめにその詳細を見ることが出来る。

製造業を巡る現状と課題
今後の政策の方向性

このレポートを見れば、一目瞭然だが、日本の製造業はコロナショック後の早期の回復を示しているものの、やはりそこには中国頼みの面は否めない。

日本の製造業以外の企業も含めると海外に事業展開しているのは、全体の0.25%しかないが、製造業全体の売り上げは54%を占めている。

また、法人企業統計のうち輸出額の実に90%を海外事業体が占めている。これは一重に中国に生産拠点を置く企業が貢献していると言える。金額こそ80兆円程度で中国のGDP全体に占める割合は少ないとも言えるが、しかしこの数字は中国が日本を強請る材料としては十分だろう。中国に言わせれば、中国経済が頼みの綱だろ?と日本に言いたいのだ。

また、この点の裏付けとして、英文になるが、2014年のRIETI(独立行政法人経済産業研究所、英語名称:The Research Institute of Economy, Trade and Industry)のレポートに、国内企業との関係性の詳細が書かれている。

The Impact of Multinationals' Overseas Expansion on
Employment at Suppliers at Home: New evidence from
firm-level transaction relationship data for Japan

 

amzn.to

 

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