倉沢良弦『ニュースの裏側』

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西村経産相と国民との約束

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-13/QA53ETT0G1KX01

ブルームバーグにおける西村経産相のインタビューで、日銀と政府が連携して企業の資金繰り支援に乗り出すとのことだが、問題は財務省が考える増税路線との擦り合わせが出来ているのか?という疑問が拭えていないという点だろう。
個人の給付に関しては、方向性も定まり、支給が開始された。個人消費という点で見れば、これまで幾度も触れてきたように、生活の支援という目的がある以上、この給付は消費に回る。小売業者の多くが、この個人への給付金頼みになっている筈で、政府の思惑の一端はここにあることは再三触れてきた。
中小零細への支援策も固まり、残りの個人事業主への新たな支援策、またアルバイトで学費、生活費を賄っていた学生への支援策も盛り込まれた第二次補正の骨格も固まってきた。
今般の西村大臣のインタビューでは、日銀と政府がタッグを組んでいくという点に、最初に触れた財務省の動きがきになるところだ。
多くのリフレ派の学者や評論家が懸念を表明しているのは、基本的対処方針等諮問委員会の、経済面での対応を審議するメンバーについてだ。
大竹文雄大阪大大学院教授(行動経済学)、井深陽子慶応大教授(医療経済学)、小林慶一東京財団政策研究所研究主幹(マクロ経済学)、竹森俊平慶応大教授(国際経済学)のいずれも増税路線、緊縮財政論者ではないのか、という懸念だ。東日本大震災後、復興増税やむなしという論調を作り上げ、結果的に経済再生がなされないままに、10年が経過した。財務省増税路線の裏付けには、GDPの伸び率、有効求人倍率、失業率に基づく、好調な景気判断があると言われている。二度の見送りとなった消費増税を推進したのも財務省財政均衡派の強力な後押しがあったと言われている。

庶民感情からしても、この重大なコロナショックの経済対策に対し増税路線に動くというのは、何とも理解に苦しむところであって、グローバルな視点で見れば、世界のサプライチェーンの復旧には最低でも年内一杯、更に新たなサプライチェーンの構築も考慮すれば、3年程度影響が長引くとの指摘もある。
途上国における経済損失も含めると、累積で850兆円もの損失が見込まれると、IMFWTOが指摘している。しかも、それは最小でだ。
日本のGDPの落ち込みは、10%を超えるかもしれない。
一次補正も含めた経済対策は100兆円規模になったが、二次補正、三次補正でどこまで真水を供給できるかによって、文字通り日本の経済再生の道筋が見えてくる。
そのいみで、私が以前から指摘している、コロナショックは経済ショックなのだから、バブル崩壊から、ずっと続いてきたデフレからの脱却に向かうカンフル剤としての役割を担う、今回の財政出動に対し、弱腰でいてはならない。

市場で経済活動を行う我々も、その辺りの注視をしておく必要がある。
西村経産相は大きな任を負っているが、それは同時に国民からの期待でもある